路地裏の整体術 第865号 2015年12月25日
▼ カフェイン中毒(続)
前回のカフェインについて、九州のUさんから次のような体験談をいただきました。
──私も20代前半の学生時代に、ゼミの発表資料を深夜まで作成していて、何杯ものコーヒーを飲んでいたことがありました。午前2時過ぎだったか、ふと煙草に火を付けた時(現在は煙草を嗜んではおりません。)、急な、激しい動悸に襲われました。経験したことの無い、脈の速さと、顔から血の気が引く感じとともに、息苦しさを感じました。経験したことの無い苦しさだったので、自分で救急車を呼ぶという事態に陥りました。
カフェイン 、ニコチンという血管の収縮に影響を与える物質を、継続的に摂取していたら、心臓に影響があるのは当然ですね。カフェインはニコチンや、アルコールと同じような刺激物です。
この【刺激物】であるという認識が一般に薄いのは事実でしょう。特に神経に対する作用がある。それが子どもにでも飲める状態で供給されているところに問題がありますね。
しかしカフェインについての記事を色々読んでみると、この刺激物には一筋縄でいかない複雑さがあるようで、一概に有害と決めつけることができない点があると思われます。
その複雑さの一因は、「耐性」 と 「依存性」 ではないでしょうか。【耐性】 というのは、続けて飲んでいると、次第にカフェインの作用に耐えられるようになり、少々飲んでも平気になること。逆に私のように普段まったくカフェインを飲んでいないと、カフェインの作用に弱くなって、少し飲むだけでも、強くその作用が出るということがある。
よく私はお客様にコーヒーは一日に何倍くらい飲みますか、という質問を投げかけますが、コーヒーは好きではない、という答えもあるものの、2~3杯という答えも多い。
仮に3杯のコーヒーを一日に飲んだとして、カフェイン量は、どれほどになるか。ウィキペディアの 「カフェイン」の項目に上がっている数値を元にすると一日、約 300mg となります。「カフェイン中毒」 の項目にある記述によると、250mg /日で「焦燥感、神経過敏、興奮、不眠、顔面紅潮、悪心、頻尿、頻脈などの症状が現れることがある」となっています。(コーヒー以外の飲料に関しては、ウィキペディアに上げられた数値をもとに計算してください)
現実には、これくらいの量を多くの人が平気で飲んでいるわけで、これらの人では、かなり耐性が生じていると考えられます。私も昔は、それくらい飲んでいましたから、おかしな症状が出ても不思議ではなかったのでしょうけれど、そんな記憶はありません。でも飲まなくなって、今では耐性が失われています。
その一方で 【依存性】 もある。カフェインを飲んで現れる効果に依存するようになること。これは自分自身ではそのようなことがあったかどうか今となっては分かりませんが、コーヒー好きの人を見ていると、確かに長時間飲まないと辛抱できなくなる傾向があるように見えます。
場合によっては、コーヒー好きの人がコーヒーを止めると、離脱反応が出るかもしれませんが、はっきりしたデータはないらしい。
さて、このようなわけで、カフェインの作用には難しいところがあり、一概に結論を出すのが困難なのかもしれません。
冒頭に上げたUさんは、次のように書いておられます。
──今回の報道に接して、私が一番心配しているのは、エナジードリンクなどは、未成年の購入が禁止されていないということです。あまりに気軽に手に入り、コーヒーなどと比べてジュースのようで、もし子どもが過剰に摂取した場合にどうなるかということです。・・・
私自身も一日2杯程のコーヒーを飲みます。しかし、嗜好品=刺激物という認識が、大量消費の影響でかなり薄れているように思われます。これらの嗜好品は本来、一日一回程度の、まさに「嗜み」であるべきなのかもしれません。
という穏当なご意見でした。
私としては、不整脈の心配もさることながら、カフェインは交感神経を刺激
する方向に働くわけですから、それでなくても交感神経を刺激する緊張の強い
生活をしている人達が、それにカフェインで拍車をかけることになっているの
ではないかという心配です。
自分自身に 【自律神経失調の気味があるなと感じている人は、カフェインの
摂取を控えた方がいいのではないか】 というのが結論です。
緑茶については、タンニンがカフェインの作用を抑えるという記述があるので、
コーヒーほどの問題がないのかもしれません。しかしタンニンはコーヒーや
紅茶にも含まれているので、それはどうなるのか。ともかく食品についての
データには不明な点が多く、正反対の議論が両方ともまかり通っていることが
あります。よく分かりません、と言っておくしかありませんね。