850 操法にある即興的な要素

路地裏の整体術 第850号 2015年11月6日
▼ 操法にある即興的な要素

昨日の集中初級講座でのできごと。参加者のTさんが急に激しいセキこみです。どうされたのか、と尋ねてみますと、この時期にのどがおかしくて、よくセキこむことがある、と言われます。

セキを止めるには、どうすればよいか。普通に考えれば呼吸器の問題ですから、胸椎の4番~6番あたりを調整すればいいことになります。しかし、この時は、「毒出しツボ療法」 の考え方を採用してみようと思いました。

つまり、セキが出るのは、胸の上部にある打撲痕が原因だと考えるわけです。そこで、上胸部を緩めるという考え方です。「毒出し」 の方法に従うなら、上胸部の打撲痕を指圧棒などで擦ることになりますが、女性のTさんに対して、それはやりにくいので、代わりに足の甲に愉気してみようと考えました。足の甲に愉気すると、上胸部が緩むことは、これまでに何度も経験しているからではありますが、かなりひねくれた判断、まがりくねった判断をしたことになります。

なぜそういう判断が出て来たのか、と聞かれてもうまく答えられない。誰でもうまく答えが出て来ないけれどある判断をしてしまうことは、あるのではないでしょうか。

というか判断というものが、そういうものだ、とも言えます。手近な例を挙げてみると、ご飯を食べに行くのに、和食なのか、イタリアンなのか、はたまた中華なのか、どうして決めるのか、と聞かれても、「何となく」 とでも答えるしかないでしょう。

「何となく」というような曖昧なことで操法を判断していいのか、と詰め寄られると困ってしまうのは、こういうことがあるからです。言い換えれば操法というものには、本質的に即興的な要素があります。ジャズ奏者が、なぜそんな音が出てくるのか、と聞かれても、うまく答えられないでしょう。ともかく、その時の感覚で、そういう音が出てきた、その音には、調和がある、と感じる、というのが奏者の言い分です。ピアノもドラムもベースも、そう感じて、それぞれの音を出している。

ここのところは、理屈で説明できないでしょう。理屈では説明できなくても、それでうまく行けば、操法として成功していることになります。ですが、こういう時の呼吸を教えてほしいと言われても、うまく教えることは不可能です。即興の感覚は、操者(奏者)が自分自身で磨くしかない。

さてそんな判断をして、私はTさんの足元に坐り、足首に手を当てて、愉気を続けました。細かくみると、親指を内くるぶしの下、中指を外くるぶしの下、掌を甲の部分に当てて、じっとしているだけです。これでセキが止まる自信があるわけではありません。ともかくやってみるしかない。でも、何となくセキが止まる気がする。

そうすること数分。ころはよしと愉気を止めて、自席に戻りました。Tさんは楽になりましたと言われるけれど、こういう時のこうした発言は好意的なものになりがちで、私はあまり信用していません。その後、どんな反応が出るかをじっくりと観察することが必要です。でも、見たところ、頭部・頸部・上胸部の続き方を見ると、楽になっているように感じられました。

この日、講座が終わってからPCにTさんからのメールが届いていて、そこに 「セキがピタッと止まり驚きました」 とありましたから、これでうまく行ったことになるのでしょう。ああ、よかったと私は胸を撫で下ろしたという次第。

849 大転子操法

路地裏の整体術 第849号 2015年11月1日
▼ 大転子操法

「だいてんし」 と聞くと、私は 「大天使」 を思い浮かべますね。ミカエル・ガブリエル・ラファエル・ウリエルという4大天使が有名です。ある時セミナーで大転子を説明するのに、洒落をいうつもりで、「大天使ウリエルではありません」 と言ったところ、参加者の一人から、「うちのネコの名前はウリエルなんです」 と即座に反応があって驚いたことがありました。

ウリエルは大天使たちの中でも末位で、さほど有名ではありません。歴史的には、大天使から外されていた時代もあるそうです。その時、私がなぜわざわざ 「ウリエル」 を挙げたのか自分でも不思議ですが、それがネコの名前と一致していたというのは共時性というものでしょうか。

閑話休題。さて身体の 「大転子」 の話しでした。股関節の横にある出っ張りを大転子と呼んでいます。骨盤の下にある寛骨臼という窪みに大腿骨が嵌っていますが、その大腿骨が途中で曲がった形になっています。その曲がり角のところが出っ張っていて、それが大転子です。

股関節の横を押さえると、左右の大転子に触れるはずです。そこを強めに押さえてみると、どちらかに圧痛を感じる時があります。そういう人は、左右のバランスがいい位置に来ていなくて、大転子の位置がどちらかに偏っている人です。ところが、こんな人が意外に多い。あなたは、いかがでしょう。左右両方の大転子を少し強めに押してみてください。

腰痛・坐骨神経痛などの症状がある人には、大転子の左右バランスが悪くなっている人が多いのではなかろうか。そして大転子に圧痛を感じる人が多いのではなかろうか。例えば、右の大転子が突出していて、左の大転子がやや窪みがちになっているとすると、右の大転子のところに圧痛が出ます。

操者は、仰臥しているこの人の左側に来て、左手で圧痛のある大転子を手前に押える。そして右手の親指で左の大転子をぐっと強く押してパッと放す操作をします。つまり反動をかけるわけです。これだけの操作で、右側の大転子にあった圧痛が消える場合があります。

一度で消えない場合は、消えるまで何度か同じことを繰り返せばよろしい。そうして立ってもらうと、それだけで、腰痛やら坐骨神経痛が消えていることが珍しくない。お試しください。自分でもできます。

このことから分かるのは、腰痛や坐骨神経痛は、骨盤の左右バランスが崩れただけであるということなのかもしれません。少なくとも、そういう場合の多いことが分かると思います。腰痛で来られた人が、これだけの操法で痛みが消えて、不思議そうな顔をしておられたことがありました。

848 アタマを抜く

路地裏の整体術 第848号 2015年10月24日
▼ アタマを抜く

今年一年、つづけて見学に来られたSさんから紹介された本の内容です。健康のために何が一番大切か。

───さて、「何を」するか。そこも確かに重要です。
しかし、それより手前で、もっと大切なことがあるのにお気づきでしょうか?
それは「人は変われる」と、わかっておくことです。
健康な人と、病気がなかなか治らない人の、いちばん大きな違いは、ここです。

こう始まる190ページの本のキーワードは「アタマを抜く」。著者の田中さんは和歌山市で漢方医を営んでいる方です。笑顔の素敵なお医者さん。

田中一『病気は脳が作っていた──「動物脳」を解放すれば元気になる!』
(現代書林、2015年7月)

この中には、漢方の極意のような記述はほとんどありません。どうすればアタマを抜くことができるか、その一点に絞って書かれています。「アタマを抜く」というのはもちろん比喩で、頭の中に無駄なエネルギーをためてしまっている人は、それを抜いてみたらどうか、という勧めです。

ところが、そう言われてもアタマを抜けない人が多いのではなかろうか。通勤電車の中でスマホとにらめっこでは、アタマの中にエネルギーがたまる一方でしょう。

───迷い癖、悩み癖、アタマでっかちの人を見分けるのは、実に簡単です。
「なんでやろ」 が多い人です。
「なんでやろ」 を全部 「しゃあないなぁ」 に置き換えることで、自らの脳の癖で
苦痛を増幅することがなくなります。その分、改善が数倍容易になるのです。

「きょうは朝から腰が痛い、なんでやろ」 と考えずに、取り敢えず 「しゃあないなぁ」 とつぶやいておくというわけです。

田中さんは、考えるのに体力が必要だから、考えずに体力を温存することを勧めています。人は変われるのに、考えすぎて 「動物脳」 が働かなくなり、変われなくなってしまっているということでしょう。

では私も考えるのを止めて、この辺で失礼することにいたします。後は、田中さんの本をお読みください。

私自身のアタマの抜き方もご紹介したいところですが、それはいずれ改めて。

847 もやもや血管

路地裏の整体術 第847号 2015年10月23日
▼ もやもや血管

膝などの痛みは「もやもや血管」が原因であるとする理論が出ています。詳細は次の本を御覧下さい。

奥野祐次 『長引く痛みの原因は、血管が9割』 (ワニ、PLUS新書)

「もやもや血管」という名前は、もともと脳の「もやもや病」の原因として指摘されたもののようですが、それが脳だけではなく、膝や肘、腰など痛くなりやすいところにも出来ていることが見つかったということのようです。上記の新書は、理論中心で、具体的な対処法は専門的な方法しか紹介されていないのですけれど、今回、次の雑誌に具体的な対処法が紹介されています。

「夢21」 11月号 奥野裕次 「ひざ痛が今度こそよくなる!」 55ページ以下

私はこの種の健康雑誌は(読んでも役にたたないから)ほとんど読まないのですが、たまたま書店で見つけて、読んでみて興味を持ちました。それは初めに上げた新書を読んでいたからです。そうしてやってみました。これは見ごとに効果がありました。

肘などについても、同様に使えるようです。

膝痛で困っている方々は、ぜひ試して見られたらいかがでしょう。ただし高齢で膝そのものがカチカチになっている方の場合は難しいかもしれません。そういった場合は、これ以外にも、色々な方法を使って膝を柔らかにして行くことが必要なようです。

具体的な方法を教えてほしいとおっしゃるのですか。書店に出かけるくらいの労力はかけてください。あと、からだほぐし教室にお越しになれば、お教えします。すでに教室で取り上げました。

846 スマホの影響で肩が・・

路地裏の整体術 第846号 2015年10月19日
▼ スマホの影響? で肩が・・

近頃、首がおかしい肩がおかしいと言って来られる方が多い。昨日もそんな方々が続きました。

こんな場合、手と腕を調べるのが常道ですから、手を触ると決まったように常に感じることがあります。

共通しているのは、環指(かんし、くすり指)と示指(じし、ひとさし指)の中手骨(ちゅうしゅこつ)、つまり指の付け根から手前に続いている細長い骨ですが、これらの甲側が硬くなっている人が多いことです。

環指・示指は、手と全身との対応関係でいうと、腕に相当します。その中手骨は、肩甲骨に対応しますので、腕から肩甲骨に至るラインが硬くなっているという現象を示していると感じられます。

ここがなぜ硬くなるのか。色々なことが考えられますが、一番はスマホやタブレットの影響ではないでしょうか。スマホにせよ、タブレットにせよ、かなり重さがあります。操作する時は、それを同じ位置でじっと支えているわけですから、手に大きな影響があって不思議ではありません。

もちろん、どんな持ち方をすれば、どこに影響が出るかを追求することになると、色々と比較研究が必要になるでしょうが、ここでは、その重みが手の骨に影響しているのではないか、という仮説を立ててみたいと思います。

中手骨の状態と並んで、感じるのは、下橈尺関節が硬くなっている人が多いという事実です。これは、手首を動かさずにジッと固定していることを示していないでしょうか。

以上のことを逆に言えば、中手骨や下橈尺関節(かとうしゃくかんせつ)の動きが回復すれば、肩がよくなる可能性がある、ということです。操法については、過去のメルマガやHPをご参照ください。

843 HB鉛筆が消える?

路地裏の整体術 第843号 2015年10月14日
▼ HB鉛筆が消える?

withnews というニュースの投稿サイトに、

子どもたちの鉛筆は、これまでHBが標準でしたが、次第に硬いHBが使われなくなって、2Bが主流になって来ているという記事が出ています。筆圧が低下しているからだ、というのですが、、、
http://withnews.jp/article/f0150628001qq000000000000000W00o0401qq000012160A

ついでに同じところに「学習帳の表紙から昆虫が消えた」という記事も出ていて、えっ、と思いますね。先生も生徒も気持ち悪がるというのです。
http://withnews.jp/article/f0141127002qq000000000000000W00o0201qq000011196A

昆虫の話題はさておくとして、鉛筆の記事を耳にした方から、次のようなご意見をいただきました。

───先だっての「小指の関節数」ではありませんが、身体の変化のスピードが増しているよ     うな気がしてきます(他の国の事情はよく分かりませんが)。

そしてその向かう方向は「適応」や「進化」といったものではなく、パタゴニアのヤマナ族な     どが「服を着」始めて絶滅したとか、エスキモーが野菜や果物、加熱食品を食べるように    なってから激減したとか、そういった悲しい方向であるかのような不安感を抱かせます。

いわゆる西洋文化、西洋の生活洋式は我々日本人には馴染まないのではないか?  ア    タマで受け入れ、(表面的に)マネしてみても、根本的な所(それが遺伝子レベルなのか      他のレベルなのか分かりませんが)でボタンが掛け違っていて、いつまでも 「ちゃんと着      れ」 ないのではないか?と。

ちなみにある小学校の教員曰く、『一年生になってもオムツをして寝ている子が近年激増     していて(お泊り学級のときなど)苦労する』のだそうです。

という話しになると、さてどうしたものか、と天を仰ぎたくなってくる。

「進化」と捉えるか「退化」と捉えるかは、価値観の問題かもしれませんが、

マーリーン・ズック著 『私たちは今でも進化しているのか?』

という本があります。著者はミネソタ大学の生物の先生。大冊なので、皆さんに読んでみてくださいとお勧めする気はありませんが、中身を少しばかり紹介しておきたい。

───進化には途方もない時間がかかるという考えは誤りだ。乳製品の摂取も高地への順応     も、数千年の間に人類に起きた進化の結果なのだ。

その例として、チベット人が高地に住めるようになったことなどが挙げられています。チベットの高地に人が住むようになったのは3千年から6千年前と考えられているそうです。「チベット人の血中ヘモグロビンの増加は見られないが、安静時の呼吸が速くなった」。そのため高山病が生じなくなったという。

人間以外では、ハワイに住むコオロギが進化を遂げて鳴く器官を失い、鳴かなくなるのに5年かかっただけ、という例が挙がっています。

要するにズック先生が言おうとするのは、次のようなことでしょう。

進化に万年単位の時間がかかるという考え方は誤りで、わずかの時間で変化が起きることがしばしばある。我々の身体が現実に適応できなくなりつつあるとしても、石器時代の生活に戻ったからといって問題が解決するわけではない、ということのようです。

筆圧が落ちたことも、小指の関節の数が減ったことも、進化の過程なのかもしれません。ついでに昆虫を「気持ち悪い」と感じるようになったことも?

843 梨状筋操法

路地裏の整体術 第843号 2015年10月13日
▼ 梨状筋操法

「梨状筋症候群」と呼ばれる症状がありますね。例によって、ウィキペディアを見ると、

───梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)は、梨状筋の中を走る坐骨神経が外傷やスポーツ活動などで圧迫されて引き起こされる疾患群のこと。これにより坐骨神経痛を引き起こす要因にもなる。
臀部痛と坐骨神経痛が特徴である。座位で増悪し、歩行、起立で改善する傾向がある。

とあります。「痛み」 が出るとは限らず、「痺(しび)れ」 が出ることもあるようです。脚全体に「痺れ」 がでる場合もあり、趾に痺れが出たり、足裏に痺れが出る場合もあると思われます。

「痛み」 まで至らない 「痺れ」 の症状にどう対応したらよいか。「梨状筋」 という筋肉は、仙骨と大転子とを結ぶ筋肉ですので、まずその位置を確認します。仙骨はお分かりでしょうか。「大転子」 とは、大腿骨の上の方、腰の左右を押さえると、出っ張っている骨があるでしょう。それが大転子です。大天使ガブリエル等とは字が違うので、お間違えのないように。

本人に伏臥(うつむき)になってもらいます。お尻の辺りに梨状筋の位置を確認し、左右どちらでも、片方ずつとりかかります。梨状筋の辺りに操者は掌を当て、ブルブルと震わせます。揺らすといってもいいでしょう。

ただし自分の意思で揺らそうとすると、腕がすぐに疲れてしまうので、活元を出すことができる人は、活元を腕に出して揺すると、疲れずに続けられます。腕の活元が簡単にできる人は少ないでしょうから、練習が必要ですが。昔々、大正時代から昭和初期にかけて、岐阜県の恵那市にあった 「太霊道」 では、このようなやり方を「顕動法」 と呼んでいたようです。

もちろん 「活元」 がうまくでない人は意識で揺すってもかまいません。ただ腕がダルくなってくるでしょうから、休憩をとりながらやっていいでしょう。

さて、本人に立って確認してもらいますと、痺れが消えています。どんな人でも、簡単に消えるというわけではないでしょう。その人によって体全体の状況が違いますし、症状の強弱もありますから、一度で消えない人もいるかもしれません。

そんな場合は、時間をおいて、再度取り組んでみてください。器用な人なら、自分でやることもできるはずです。

梨状筋症候群といえば、ゴルフボールを当ててグリグリやる方法とか、親指を使ってぐっと押さえてパッと放す方法などが知られていますが、何れもかなりの努力を必要としますし、すべてが解決するわけではありません。上記の揺らす方法だと、簡単で効果が上がりやすい。

脚や足が痺れて困っていらっしゃる方は多いようです。お試しください。

842 季肋操法

路地裏の整体術 第842号 2015年10月2日
▼ 季肋操法

「季肋部」 という表現があります。肋骨の季(すえ)、つまり肋骨の下という意味です。肝臓が悪いと、季肋部に痛みが出る、というような言い方をします。

ここでは、肋骨の直下という意味よりも、文字通り肋骨そのものの下部という意味で使いたいと思います。言い換えれば下部の肋骨ということになります。

この辺りに違和感があったり、肋骨の下の方が前に突出していたり、そういう人がいらっしゃるでしょう。特に肋骨の左下が何だか膨れている、という人が多いかもしれません。

肋骨が飛び出して来るとすれば、肋骨は背骨にくっついているわけですから、背骨に何かの歪みがあるに違いありません。それが肋骨の歪みとなって違和感を生んでいるのかもしれません。

ですから背骨を正常化することが大切だとはいうものの、本人にとってはすぐにこの違和感や痛みから逃げたいに違いない。どうすればいいでしょうか。

掌を使います。肋骨操法では掌の縦一文字を使いますから、今度は横一文字を使ったらどうか、そう考えました。感情線の起点から生命線の起点に向けて、横一文字にこすってください。たったそれだけのことで、大きく状態が変わると思います。

何にでもツッコミを入れるのが好きな人は、生命線から始めて、感情線に向うのではダメですか、と言うかもしれません。それでもいいと思いますが、どちからに決めておかないと、効果の検証ができませんので、とりあえず上のように決めて、やってみたわけです。そうしたら効果が上がった。

もちろん、いつものように左右のバランスを取るために、両手とも同じ操法をすることが大切です。

肋骨操法は、何度も繰り返してはいけませんが、この操法は、繰り返しOKです。季肋部が凸になっている人などは、少し時間をおいて繰り返せば、効果が出てくる、つまり凸になっていた肋骨が次第に凹んでくることでしょう。

(余談) 初めから生命線と感情線が一つにつながっている人がいます。これは手相の方面では 「ますかけ」 といいますね。調べてみると、人の上に立つ人に多いらしい。そうでなくても、自分の主義主張を強く押し通す人であるらしい。歴史上の人物でいうと、家康とか信長とかは 「ますかけ」 だったいいますが、本当でしょうか。誰が調べたのか。ま、神話のような話しでしょう。

「ますかけ線」 の持ち主は、この線を小指側から親指側へ横一文字にこすればよろしい。

842 浮き指(4)頸こりと食いしばり

路地裏の整体術 第841号 2015年10月1日
▼ 浮き指(4)頸こりと食いしばり

前回の 「浮き指専門サイト」 の説明では、親指を甲側に曲げて、直角を超えて曲がるようであれば 「浮き指」 であるとなっていましたが、このように概念を決めると、ほとんどの人が 「浮き指」 であることになってしまうようです。見かけ上、指が浮いていると見えない人も、曲げてみると直角に曲がる。

このサイトの笠原さんは、こういう 「浮き指」 概念が正しいとしています。概念は現実の認識に従って人間が決めるものですから、これはこれでいいので、別に文句をいう必要はない。しかし、次のような概念規定をしている人もいることを知っておいた方がいいでしょう。

──親指の下に名刺のような小さな紙片を置いて親指でグッと押えつけるようにしながら、手で引っ張ってみるだけだ。
このテストをして、紙が簡単に抜けるようならば、親指が十分に機能していないことになる。つまり浮き指である。
松藤文男『「足の指」まっすぐ健康法』(KAWADE夢新書、2009年)

となると、どちらが概念として適当かは各人が研究して決めればよい。私は、松藤説を採りたい。笠原説では、あまりに対象が広がり過ぎて、何でもかでも悪いことになってしまうと考えます。

松藤さんは別に「足の健康度を知る簡単テスト」も提案していて、「台の上に足をのせて、親指をこぶしで叩いてみる」。軽く叩いただけでも痛みを感じる人は、「間違いなく親指が傷んでいる」と書いています。(原文は「痛んでいる」となっていますが、意味の上から「傷んでいる」が正しいでしょう)

笠原説に関して、次のようなメールも頂戴しました。

──でも、それ[笠原さんのいう治療]を続けているうちに本当の意味での治療がなされるかというと、個人的には懐疑的です。
変形の順序としては確かに足や足指からスタートしているのかもしれませんが、足首、膝、股関節、骨盤・・・と捻じれなどのアンバランスが全身を浸蝕してしまっている状態では、足のみの観察、施術では効果はさほど期待できない気がしています。

さて、どちらの説が正しいかはさて措いて、浮き指にどう対処すればよいかという観点からみれば、別の見方もできることが分かってきます。

浮き指になっていると、趾(あしゆび)の付け根に圧痛が出ることが多いです。趾の付け根を押えるなり、強くつまんだりすると痛む人が多いのではないでしょうか。ここで付け根というのは、必ずしも第3関節のことではなく、基節骨(趾の付け根の骨)の周辺というほどの意味です。その辺りに圧痛が出ないかどうか、試してみてください。すると、指によって圧痛に多少の差があることが分かってきます。

笠原説でも、松藤説でも、親指のテストだけで「浮き指」の判断をしていますけれど、趾の付け根の圧痛を調べる方法ですと、一本ずつ「浮き指」かどうかの判断ができます。こうやって調べてみると、中指の「浮き指」が一番多いということが分かってきます。中指はたいていの人が「痛い」といいますから。

こんな時、圧痛の出る趾の中指の付け根を揉んでみる。中指の付け根を揉んでやると、次第に付け根の痛みが弱くなって、消えてゆきます。揉むのが嫌な人は、付け根をじっとつかんで、愉気をしてやるのでもよい。

不思議なことに、この操作によって下顎がまともになる。逆に言えば、下顎に歪みがあれば趾の中指を操法してやればよい。

面白いことに下顎が整うと、頸の痛みが消えることもあります。事実を確認したければ、頸が痛いと言っている人の、痛みと同側の足中指の付け根を揉んでやればよい。頸の痛みが消えて行くはずです。

こういうことが事実として成り立つのは、下顎の緊張が頸を引っ張っているという現象が起きているからでしょう。「頸凝り」という症状は、顎にも原因がある。まとめると、趾→下顎→頸という凝りの連鎖がある、ということです。

だから頸が凝っているからと言って、頸を揉んでやってもダメで、根本にある趾の凝りを解決すれば、頸が正常になるわけです。頸の凝りがさまざまな病気の原因になっていると主張している人がいますが、それが正しいとすると、趾に凝りがあるというところまで遡らないと根本解決にならないと思います。

付け加えると、「喰いしばり」とか「歯ぎしり」と呼ぶ現象も、趾と関係しています。こういった現象が下顎の状態と関係があるからで、「頸凝り」だけでなく、こういった現象も、足の中指の付け根を揉んでやると、改善する可能性があります。心当たりのある方は左右の中指の付け根を試しに操法してみて下さい。

840 浮き指(3)

路地裏の整体術 第840号 2015年9月25日
▼ 浮き指(3)

浮き指の問題について、極めて詳しいサイトを見つけました。次のところです。

浮き指専門サイト http://www.ukiyubi.net/

浮き指について、私の考えを書こうと思って、この連載を始めましたが、この
記事を読むと、そう簡単には終わらない感じになってきました。内容が広いので、
私自身このサイトの内容を検討していません。無責任のようですが、各人で判断
なさってください。今後少しずつ読んで行きたいと思っています。

ここに書かれていることが正しいとすると、足について、考え方を改める必要が
あるな、と思いますが、ようするに、靴を履いて、舗装道路の上を歩いている、
足の裏を使っていないということに尽きるのかもしれません。さて、みなさんは
どう感じられるか。ご意見をお寄せ下さると、ありがたいです。

839 浮き指(2)

▼ 路地裏の整体術 第839号 2015年9月21日
▼ 浮き指(2)

第1回の内容を読んでメールをくださった方があり、概要つぎのような内容でした。浮き指と関係があるような、ないような。

──知り合い女性(50代)に聞いた話です・・・。ある日足の小指を箪笥だかにぶつけて、いつまでたっても痛いままなので病院に行ったそうです。そこで診てもらうと 「あなたは足の小指の関節が一つ足りない」 と。

当人も長いこと人間をやってきて初めて知ったらしいのですが(笑)、その医者曰く、「昔は100人に1~2人だったけど最近は30~40人いる。歩いたりふんばったりすることがなくなったから退化的に進化しているんじゃないか? アメリカあたりでも同様の事態になっている。」 とのこと。

その医者的には 「だからまぁ、心配することではない」 というニュアンスだったそうですが、また聞きの私からしてもうすら怖い内容です。

またその医者は 「そのうち指の数も減るんじゃないか?」  と笑っていたそうですが、なんだか全く笑えない ・・・。

同感ですね。『私たちは今でも進化しているのか?』 という興味深い本があり、「炭水化物ダイエット」 に反論するのが著者マーリーン・ズックさんの論点のようですが、進化が起こるのに、数万年というような長期間を要するという考え方は誤りで、いまもどんどん進化が起きている。私たち人類にも進化が起きているということのようです。

「進化」 と呼び、「退化」 と呼んでも、同じことで変化の方向が違うだけですから、足小指の変化も、案外急速に進んでいるのかもしれません。

そこで検索にかけてみると、足小指に触れた記事が結構みつかります。例えば、

http://matome.naver.jp/odai/2139022131366864001

に詳しい記事があります。日本人は、小指の関節が少ない人が多い、というのですが、さて、あなたの小指はいかがでしょうか。

838 浮き指(1)

路地裏の整体術 第838号 2015年9月17日
▼ 浮き指(1)

まぐまぐニュースに次のような記事が出ています。
http://www.mag2.com/p/news/15688

(以下引用)
──真っ直ぐに立てない子どもたちが増えているという事実、ご存知ですか? 子育てに関する具体的なノウハウを配信する『子どもが育つ「父親術」』で今回取り上げられているのはその「浮き指」という症状。放っておくと学力にまで影響するという浮き指の防止・改善法を紹介しています。

親子でできる簡単浮き指防止・改善法
また、ネットで気になる記事を見つけてしまいました。題名は「まっすぐ立てない子どもたち」。mixiニュースでも見かけたので、ご覧になった方もいるのでは? その記事で取り上げられていたのが「浮き指」という症状。「足の指が床につかない」というのですが、想像できますか??

浮き指になると、立ち姿勢でのバランスがとりにくくなるのでまっすぐ立っていられなくなるとのこと。その他にも「膝を曲げてゴリラのように歩く」「座る時の姿勢も崩れて猫背になる」などの影響が出るようです。

浮き指になってしまう原因は、小さい頃に必要な運動が不足していたからと考えられているそうです。「必要な運動」と言っても、そんなに特別なものではありません。

つかまり立ち
伝い歩き
歩行

など、どの子も放っておけば勝手にやるようなことばかりです。

ところが・・・記事中に紹介されていた都内の小学校では、全校児童の8割以上が浮き指だったとのこと。そのため、全校集会で『姿勢体操』なるトレーニングを取り入れているとか。

これは、危機的と言える状況でしょう。

この小学校が悪いわけではありません。むしろ、この異常事態に真摯に対応していると思います。問題なのは、小学校に入るまでの6年間もの間、浮き指になってしまうような環境・状況に子どもたちが置かれていたこと。

いろいろな要素はありますが、これは親の責任でしょう。体力は、全ての活動の基礎になるもの。これを育むのは、まぎれもなく親の責務です(基礎的な体力は、学力にも影響します。このお話は次回に・・・)。

(ここまで引用)

さて、問題の「浮き指」ですが、要するに趾(あしゆび)が付け根の関節から、上に折れ曲がって、上がっている。そのため趾が地面についていない、というものです。程度の差は色々あっても、大人にもよく見られます。「よく」というより、子ども達と同じように「8割以上」の人に見られると言った方がよいくらい蔓延しているのではなかろうか。あなたの趾は地面にしっかり着地しているでしょうか。靴下を脱いで確かめてみてください。少し上に曲がって、
浮いているのではありませんか。

とすれば、あなたも子どもたちと同じ運動不足だということになりますね。どこへ行くのにもクルマという時代ですから、止むを得ないことなのかもしれませんが、趾のこの状況のために、操法をする者は苦労を強いられることになります。つまり身体の全体をしっかりと整えたと思っても、趾が悪いために、すぐに逆戻りしてしまう、という現象が広く見られるようになってきたように感じます。

次回は、この問題を詳しく考えてみます。

837 肋骨操法

路地裏の整体術 第837号 2015年9月15日
▼ 肋骨操法

今朝、目覚めて布団の中でゆっくりしていると、急に肋骨が痛くなってきました。肋骨のどこが痛いのか、は言い難いのですが、肋骨の全体がだる重い感じになり、これは異常だ、と思わせられました。

こういう時は肋骨操法をするに限る。肋骨操法と呼んでいるのは、非常に簡単で、操法と呼ぶのも申し訳ないようなものです。薬指の中手骨の掌側を手首から指の付け根に向けて、さっと撫でるだけです。これを両手とも行います。ただし何度も撫でてはいけません。1回か2回ほど、です。あまり回数を増やすと、鎖骨の下が痛くなって苦しむことになっても、私は責任を持ちません。

これをしたお陰で、肋骨の違和感はすっかり消えました。でも原因は何だったのかが気になります。

原因は明らかです。夕べ、私は寝る前に寝床の中でロナルド・ライト『マヤ文明の旅』という本を読んでいたのです。それも仰向けで読んでいましたから、久しぶりに枕をしていて、枕を外さずに、そのまま寝てしまったというわけです。

それだけのことで、なぜ肋骨が痛くなるのか、とお尋ねですか。枕をして寝ると円背が夜中のあいだ強調され続けていたことになります。背中が丸くなり、胸の側は縮んでいたわけです。それが明け方になって、異常な状態にまでなっていた。

ということは、円背(猫背)傾向の人は枕をしない方がいい、という結論になります。枕をすると、円背を強調する結果になりかねない。円背になりたくない、と思っている人も枕はしない方がいいのではないだろうか。適切な枕をしなさい、体のために、という意見はよく見かけますが、胸椎や腰椎のことを考えていない意見ということになります。

私の場合と少し状況が違うのですが、次のような例もありました。

──背部痛がここ1週間以上続いております。右側、肩甲骨の下あたりから肋骨の下あたりまであり、腹部ではないんですが、前の肋骨下あたりくらいまで激痛が走ります。

心当たりはあります。娘と一緒に夏休みの工作を作っていた時に背中を猫背にして布を計っていました。その時、かなり伸びました。
痛くなるだろうな…っと思っていましたら案の定、酷い今までにない痛みです。痛み止めが効きません。寝返りもうてません。

かれこれ、10日くらい痛みが増してきてます。猫背になると楽な気がしますが、また痛くなるのが怖く…すぐ伸ばしてます。色々、姿勢を試したんですが、胃の辺りから下腹部に掛けて、腹筋みたいに力を入れて動くと、痛みが和らいだ感じがしました。

この方は、遠方の人で、こんな風に直し方を尋ねて来られて、困ったのを覚えています。こんなひどい症状をメールだけで解決するのは無理だろう、と考えたのですが、苦し紛れで、さきほどの肋骨操法を書き送りました。そうしたら驚いたことに「楽になった」という返事が帰ってきました。

背中も痛む場合は、掌側を手首から撫で上げると同時に、甲側を手前方向に撫で下げるといい場合もあります。こういう症状が出たらお試しください。くれぐれも何度もやらないこと。1回か2回に留めてください。

836 肩と頸の関係

路地裏の整体術 第836号 2015年9月14日
▼ 肩と頸の関係

今朝は頸を直したら、肩もよくなったという報告です。

先日のNHK「試してガッテン」に「ハンガー療法」というのが取り上げられたと聞きました。その詳細は「ハンガー療法」で検索すると、数多く出てきます。

針金ハンガーを少し歪めて、窪みを作り、この窪みをこめかみに当てると、脳の誤作動が正常化して、頸の回旋が楽にできるようになるというものですが、それならハンガーなどとややこしいものを使わなくても、指をこめかみに当てれば、同じ効果が出るのではないだろうか──。

そう考えてやってみると、思惑どおり、頸の回旋が正常になりました。

さて、昨日のお客様はフラメンコをやっているという50歳くらいの女性Oさんです。すでに何回か、腕が痛くて内旋できない、という訴えで来ておられます。

腕を内旋させて、肘を曲げ、外に開こうとすると、肩の前がつぱって痛いという話しです。こういう動作は皆がする動きではないでしょうが、Oさんは踊りの時に、こういう動きをされるようです。

例によって、肩が痛いという人は、必ず手か腕に問題がありますから、手と腕を操法して、かなり改善して来たのですが、まだ決定打が出ない状態でした。

この日は中指の第一関節が時々おかしいという。触ってみると確かに硬くなっています。ヘバーデン結節かな、と思って、「コーヒーはお好きですか」と聞いてみますと、ミント入りの紅茶がお好きのようで、一日に何度か、それを飲まれるそうです。カフェインの作用もあるのかもしれませんが、関節に触ってみると、ズレがある感じを受けたので、関節の操法(誇張法)をしてみました。ズレのある方向へ、少しばかり気持ちだけ動かした感じにしてじっとしているわけです。

そうすると、やがて第一関節が少し柔らかな感じに変ってきました。これでよし、として、肩を動かしてもらうと、少しましになったと。まだ症状は残っています。肩がおかしい人の問題は、指のつぎは、手首関節の異常が多いですから、下橈尺関節を調整します。すると「さらによくなりました」。

ということは、まだ何か残っているわけです。この辺りで止めると、残っている歪みが核になって症状が再発してしまいます。

頸が少しおかしいとおっしゃっていたので、今度は頸をやってみよう。そこで、ハンガー療法を思い出して、指でやってみたわけです。右肩がおかしいので、右のこめかみに指先を当てて、数分。頸を回してもらうと、左右の回旋が揃っていました。

肩はどうですか、と試してもらうと、「なくなりました」と。肩が頸から引っ張られていたのでしょう。通常とは逆の順序ですが、こういうこともあるわけです。Oさんは、一か月後の予約を求めて帰られました。

こめかみに指を当てていると、首が正常化するメカニズムは分かりません。番組での解説にあるように、脳の誤作動が治ったのでしょうか。なぜ、これで誤作動が正常化するのか、私には分かりません。

835 踵正坐(四論)

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▼ 路地裏の整体術 第835号 2015年8月31日
▼ 踵正坐(四論)

踵正坐の効果について、滋賀県在住のMさんから詳しいお便りをいただいたので、ご紹介します。

その前に、踵正坐の復習。詳しい方法などについては、金聖一『朝30秒の正座で腰痛が治る』(ダイヤモンド社、2013年)をご覧ください。ただし、この方法は金さんの独創というわけではなく、他にも野口整体の一部など少しずつちがったやり方をしている人がいるようです。

要するに、左右の踵をくっつけて、その上にお尻を載せるやり方ですが、始めたばかりの人は、足首が痛くて、うまくできないかもしれません。朝30秒間だけ、少しずつやっていると、だんだん楽にできるようになってきます。痛すぎてできない人は、本を参照してタオルを使う方法を学んでください。

さて、Mさんのお便りから。

──先日、一緒に働いている子が、腰が痛くて朝起き上がれないといってて、その日店でもしゃがむ時に壁に手をつきながらゆーっくりしゃがんでいたので、試しに朝おきたら踵をくっつけて正坐してみーとゆってたら即 実行したらしく、2日後店に来たときは、「あんなに痛かったのがうそのよう~!!」と、すっかり治ったらしいです。やっぱりかなり簡単だけど、効き目はかなりありそうですね。

──そして、うちの姉はなかなかゆうことをきかないので[効果があると認めようとしない──編者注]、一人目がなおったらしいでといった時もまだ信じず、あれをやったらほかのところが痛くなった、といってまじめにやっていないようでしたが、、しかし痛みは訴える。。そして二人目も治ったでといったときは黙っていましたが、そのまま数日が過ぎて、今度は胃の調子が悪くなったらしく痛い痛いとこれまた訴えてきてました。。。。
そういえば腰痛の方は何も最近ゆわへんなとおもっていたら、先日、「あれはやっぱりけっこう効くみたいやわ」とぽつっとゆってきました。だまってやっていたのか、効き目があったようです。どうも意識がほかに移ったのと、踵正坐のおかげでだいぶよくなったとおもわれます。うちの姉が認めるのはかなりすごいですよ(笑)

私自身は、何度もやってみて、数分間坐ることもできるようになっています。痛くて坐れないと訴える人は、前頚骨筋の拘縮がきついのではないかと思います。この筋肉の腱が足の甲のところを通っていますが、これが痛むようです。

Mさんのような日常的なお話で結構ですので、色々と効果を教えていただければ、他の人の参考にもなります。どんな操法でも、効果の確認ができないと、みんなが使えるようになりません。皆さん、お知らせをどうぞ、よろしく。

効果がなかったとか、逆効果だったという報告も貴重ですから、よろしく。ただ、そういう場合は、その人の独自な身体の状況があるはずですので、それもお書き添えいただければ、ありがたいですね。

834 シンギング・リン

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▼ 路地裏の整体術 第834号 2015年8月24日
▼ シンギング・リン

先日、京都は麩屋町錦上るの「整体じかん」(森渉さん主宰)で、シンギング・リンの体験会が催され、私も参加してきました。整体の話じゃないのか、飛ばそうと思った人。そうじゃ、ありませんよ。どんなところに整体のヒントがあるか分かりません。まあ、心静かに読んでみてください。

シンギング・リンと言っても知る人が少ないでしょうから、少し紹介をさせてください。まずはこちら → http://www.sion-inc.com/singing_rin.html

要するに、チベタン・ボウルと、仏教具であるおリンを融合させた楽器ということになりますが、楽器というより、ヒーリングの道具と考えた方がいいと思います。

楽器がなぜヒーリングの道具になるのか。このボウルの中に水を入れて、音を鳴らしてみると、水面に六芒星が出現するから、そのことがわかるのです。
http://seitaijika.exblog.jp/ のずっと下の方を見てもらうと、6枚の写真がセットになっています。1枚めの奥に寝ている男性がいますが、それは私です。

右下に、ボウルの中に水が入っている写真があって、水面に六芒星が出現している様子がお分かりでしょうか。水を入れておいて、音を鳴らすと、水が振動に共鳴して、このような模様が現れるわけです。また、右上の写真で、男性にボウルをかぶせようとしている女性が演奏者の泉貞子(いずみ・ていこ)さんです。

さて、人体は7~8割が水だと言われていますね。人体のそばで、シンギング・リンを鳴らすと、体内の水がこのように振動して不思議ではありませんね。これがヒーリングの道具と言えるゆえんです。

全身に複雑な「ゆらし」の効果があるはずですね。私自身は、音を聞いた後、帰宅するまで、帰宅してからも、全身にけだるい感じがあり、音の共鳴が効いているんだな、という自覚がありました。

どんな音がするのか。YouTube に演奏例が数多くアップされていますから、「シンギング・リン」と入れて検索し、まずはお楽しみください。