901 肘のカンタン自己操法

第901号 2016年6月8日
▼  肘のカンタン自己操法

肘に問題を抱えている人が多いですねえ。というと、私は何ともない、という反論が返って来そうです。

ところが、肘の先の肘鉄(肘頭)の周辺をぐっと押さえられると、あいた、となる人が多い。自分では痛みがないつもりでも、押さえられると痛い。こういう人は肩や膝にも問題を抱えていることが多いものです。

肘鉄の周辺をあちこち押さえてみてください。どこも痛いところはありませんか。

もし痛ければ、どうして治すか。カンタンな方法があって、抜群によく効きますから試してみてください。

まず、痛みがあった肘頭を反対の掌で包む。次に痛くない方の肘頭も痛みのある側の掌で同様にします。つまり腕組みを、肘と掌でするわけです。

後はこのまま数分の間じっとしている。それだけです。

またまた「数分」とは、どれくらいですか、などと初歩的な質問をする人がいるといけないので、言っておきますが、数分というのは目安で、当然、人により、体の状況により、違います。2分で止めて痛みが取れていなければ、もっと続ければいいだけのことです。

あまりカンタンすぎて、信じられない。そうでしょう。でも、やってみればわかります。

肩が悪い人、膝が悪い人にお勧めです。

ただし、この操法をいくら続けても痛みが取れない人は、症状が深刻化しているわけで、そういう人は、ただちに朱鯨亭に駆け込んでください。

「肘のカンタン自己操法」について、その効果を知らせてくれた方が複数あり、ご紹介しておきます。

●大阪府在住のMさん

先日、腰痛で来られた時に、「友人に教えたら、1分もしないうちに効果があったみたいですよ」と。そして、もう一人の人に勧めたら、肘だけでなく、腰まで治ったようです」とのことでした。

●静岡県在住のOさん

丁度良いタイミングで、妻が肩と膝と腰が痛いと言ってきましたので、早速、肘の操法を試してみましたところ、おっ!肩も膝も腰も良くなった! とお褒めの言葉を頂きました。

というわけで、この操法(具体的には、前号を参照してください)は、膝や腰にも効果があるようです。

肘を治すと膝が治るのは、昔から言い習わされていることで、特に珍しくありません。ですから、膝が痛くて困っている人は、この操法を繰り返し行なって肘周辺の痛みを治しておくと、膝にもよい効果があるに違いありません。

ですが、腰が治るのは、どのような理由からでしょうか。肘を治すと、肩の動きが改善します。ということは、肩から背中にかけての影響も変化するということです。背中の状態が変われば腰が変わるというのは、操法をしている人なら、いつも経験している現象でしょう。

こんなふうに、肘が変わると腰も変わります。人体には、このような連動性があちこちに観察できますから、連動制の体系をとらえることは、操法に取り組む人の大きな課題であると思います。

900 ファッションに学ぶ

第900号 2016年6月3日
▼  ファッションに学ぶ

私は時々、まるで畑違いの本を読みます。歴史や天文学の本を手にとってみることがあります。今回は、Kさんという女性から本を送っていただきました。それも畑違いも甚だしい、ファッションの本です。絶対に私が手に取りそうもない本を送りますというようなメッセージがついていましたから、Kさんは、このあたりの私の習性をよくつかんでいらっしゃったのでしょう。慧眼に驚きます。

というわけで、今回取り上げる本は、お勧めの本というわけではなく、たまたま手に取ってみた本という位置づけです。

豊川月乃
『あっ、モデルかな?と思ったら 私だった』
ダイヤモンド社(2016年3月、1400円)

まずは、気になる項目名を列挙してみましょう。

前髪を見ると姿勢が意識できる
高いヒールは誰でもラクラク履きこなせる
歩けば歩くほど美しくなる
残念な人は「開いている」
顔への思い込みを外す
バッグを持ち替えたくなる持ち方

例えば、少し引用してみましょう。

──意外なことに、前髪は体の歪みの原因になります。前髪を斜めに流している女性は、前髪を触るタイミングが多く、その場合は顔や体を傾けながら触っているため、たいてい前髪を流している方向に体が傾いています。

──モデルがウォーキングレッスンをするのは、週に1回、1時間半~2時間程度です。鏡張りの部屋でずっと自分の姿を見つめて歩き、その時間中は先生に 「首が前に出ている」「姿勢が崩れた」 などと言われ続けます。・・・

ですからみなさんも、「毎日がウォーキングレッスン」 というつもりで過ごしてください。歩けば歩くほど、360度どの方向から見ても美しいモデルに近づけるのですから、たくさん歩きましょう。

──ハイヒールを履くときは、まるで履いているように感じさせないのがいい歩き方。雲の上を歩いているようなイメージで歩いてください。

私が若い女性だったら、いえいえ若くなくても、ぜったいこの本をじっくり読んで見たいと思うでしょうね。

899 粒子状物質がいたずらをしている?

第899号 2016年5月29日
▼  粒子状物質がいたずらをしている?

一昨日の金曜日は、西日本で粒子状物質(以下 PM と略称)の濃度が高かったようです。私も外出から帰って初めて、のどや鼻、目の様子がおかしいことに気づきました。

その日の夜中に目覚めて、寝苦しいな、と感じ、いろいろ考えていると、ひょっとしてこれは、PM の影響ではないか、と思いました。PM の影響で交感神経が緊張しているのではないか、そう思ったわけです。

なぜ、こんなことを考えたか、と理由を聞かれても、的確に答えることはできません。ただ、こういう考えが生まれて来た時は、素直に従うことにしています。

アイデアが下りてくる時間として、昔から厠上、床上、馬上と言われますね。私の場合は、圧倒的に 「床上」 です。つまり布団の中。夜明け前に目が覚めて、布団の中でもぞもぞしている時に、いろんなことを思いつく時があります。

ちなみに「厠上」 はトイレの中。「馬上」 は現代ではさしずめ車や電車の中。

交感神経が緊張しているかどうか、どこで判断するか。耳の後ろの乳様突起です。乳様突起が大きく張り出している時は、交感神経が緊張型になっています。

そういう研究結果を出している誰かがいるのではなく、私が経験的にそう思っているわけです。逆に乳様突起が出っ張っていないときは、自律神経が副交感神経優位の側になっていて、安定している状態と考えられます。もちろんこの状態は個人差が大きいので、一般化すると、問題があるかもしれません。

私の骨格(側頭骨)が過敏になっていて、そういう動きをするだけかもしれません。

で、夜中に目覚めた私は、自分の乳様突起に手を触れてみた。なるほどね。かなりデカくなっています。いつもはここまで出っ張っていないから、これはPM の仕業に違いない。

昨日の日中は花盛りの植物園でゆっくり花の色と香りを楽しんできましたから、交感神経が立っているわけはない。なのに、乳様突起が出っ張って来ているのだから、心は寛いでいるのに、身体は緊張していることになります。

近頃は 「PM2.5」 などと気軽に呼ばれていますが、もちろん PM2.5 だけが問題というわけではないことを肝に銘じておくことが必要です。

PM は Particulate matter の略、つまり 「粒子状物質」。詳しくはウィキペディアを読んでみましょう。

──粒子状物質(りゅうしじょうぶっしつ、英: Particulate matter, Particulates)とは、マイクロメートル (μm) の大きさの固体や液体の微粒子のことをいう。主に、燃焼で生じた煤、風で舞い上がった土壌粒子(黄砂など)、工場や建設現場で生じる粉塵のほか、燃焼による排出ガスや、石油からの揮発成分が大気中で変質してできる粒子などからなる。粒子状物質という呼び方は、これらを大気汚染物質として扱うときに用いる。

黄砂とともにやってくるというので、中国を悪者にする言説が多いようです。確かに分布図を見ると、中国に大きな汚染源があるのは間違いないでしょうが、それだけだろうかという疑問が浮かびます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B2%92%E5%AD%90%E7%8A%B6%E7%89%A9%E8%B3%AA#/media/File:Modis_aerosol_optical_depth.png

この図から考えて、黄砂がもっとも大きな汚染源かもしれませんが、その他、ウィキの説明にも、「燃焼による排出ガス」とあることから、自動車の排気ガスも原因の一部をなしているはずです。そのほか、火力発電所であるとか、工場や建設現場からの粉塵なども原因の一部をなしているでしょう。

要するに、人間が出しているものが人間に降りかかって来ているということです。

具体的に、どのような被害があるのか、どんな時期に PM が増えるのか、など、有用な情報をまとめて掲載してくれている次のようなサイトがあったので、ご紹介しておきます。
http://marthanew.com/archives/2667.html

ただし専門家が作成したサイトではない、と断ってありますので、その内容の信ぴょう性については、読者それぞれで検討してください。

乳様突起の状態についても、あくまで私の個人的見解(感受性)ですので、その前提でお読みくださればさいわい。まあ、こういうこともあるかもしれない、という程度に読んでいただければ、いいと思います。

【結論】 乳様突起が飛び出している状態になっている時に、交感神経を鎮める方法はあるのか。手の平の小指側、知能線の終わり付近と感情線の起点とのあいだあたりを、知能線の終わりから始め、感情線の起点に向けて、指先方向にさっと、手の側面をなでればよろしい。すると、あらら不思議、乳様突起がへっこみますよ(下がっていた側頭骨が上がるといってもいいでしょう)。

なぜ。こんなところが、と不思議に思う人は、『共鳴法教本』 で顔の操法を研究してください。

898 カフェの風景

第898号 2016年5月26日
▼  カフェの風景

奈良市内のとあるカフェで、壁際に一列にならぶ座席に坐ってジュースを飲んでいると、二つ開けて隣に30歳代の男性が坐っています。ノートPCに向かって、懸命に作業中の様子です。

彼は私が横から見ているのに気づいていません。机の上に置かれたPCの画面に目を近づけているため、横から見ると、顎を突き出した猫背、という形になっています。典型的な姿なので、参考のため写真を撮っておこうか、と考えたほどに、見事な形でした。

人の頭部の重さは体重の1割あるそうで、彼の体形から見て、体重は平均並みの60キロ程度として、6キロの重さを支えていることになります。

このごろは仕事場でもノートPCという人が多いそうですから、こんな姿は、いまでは、ごく当たり前の光景なのでしょう。なるほど疲れるだろうなあ、と思わずにいられません。

そのせいかどうか、近頃、首が痛いと訴える人が多い。くだんの彼も、作業が一段落したのか、傍らのコーヒーを啜る。その後、首を捻じって 「コキッ」 と言わせた。首にストレスが溜まって来ているのでしょう。

首のストレスというか、首が凝る、首がつっぱるという症状が出てきたら、どうするか。

おそらく、この男性のようなことをするか、凝っている方をぐっと伸ばそうとするか ── そんなところでしょう。

けれど、ここでは逆のことをお勧めしておきたいと思います。

例えば首の右側が凝っているとしましょう。右側がつっぱって痛みがある。右側の筋肉などが突っ張っているわけです。突っ張っているというのは、そちら側の筋肉が縮んでいるのですから、縮んでいるところは、さらに縮めてやる、というのが原則です。

それなら、突っ張り感のある右側を縮めてやればよいわけですね。つまり、右側に首を倒してやればよい。普通に人がやろうとする方向の逆に動かすのがよい。そうして、しばらくじっとしています。すると少し楽になるのではありませんか。縮んでいるものを伸ばそうとするから、うまく行かない。

897 手の指が痛い

第897号 2016年5月22日
▼  手の指が痛い

Sさんは、県内の某研究施設で、研究活動をされている中年男性。手を使ってけっこう力をかけることがあるそうです。

そのためか、時々あちこち痛くなって、いらっしゃいます。今回は、手の指が痛いという訴えでした。

ところが普通の指の痛みとは様子が違います。たいていは関節のズレで痛くなるのですが、関節ではなく、関節と関節のあいだの甲側が痛いという。

初めどこから取り組めばいいかと思案をしました。甲側が痛いとすれば、小さいながらも伸筋(しんきん)があるはずです。

筋肉には伸筋(しんきん)と屈筋(くっきん)の区別があり、上腕の力こぶは屈筋の代表選手です。つまり肘を曲げる(屈曲する)時に働きますね。一方、上腕の後ろにある上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)は伸筋で、肘を伸ばす(伸展する)時にはたらきます。

指の甲側(爪側)に存在している伸筋は、指の関節を伸展する時に働きます。Sさんの手の指でも、とくに拇指(ぼし)つまり親指が痛いと言われる。痛いだけでなく、拇指の動きがおかしいとも。確かにカクカクとぎこちない動きです。

そこで、伸筋のあるところに愉気をしてみることにしました。

その前に腕の異常を治すときの鉄則を。それは橈骨の下がりを修正すること。これを忘れてはなりません。橈骨の上端と下端に指をあてて、そっと微圧をかけます。これで橈骨がいくぶん上がり、拇指の付け根の圧迫が除去されたはずです。手や肩も含め、腕のどこかに異常がある時は、必ず、この操法を最初に行います。

それから異常箇所の対処にかかると、うまく行きやすい。

というわけで、指の伸筋の愉気にかかりました。確かに触りごこちが硬い。ふわっとした感触ではありません。その硬いところに愉気を続けます。数分も続けたでしょうか。様子をみてもらうと、かなり痛みがとれたらしい。

── 「かなり」 というのは、まだ 「少し痛い」 という意味ですか。
──もうほとんど痛くありません。
── 「ほとんど」 というのは、まだ 「痛みがうっすら残っている」 という意味ですか。

われながら 「しつこい」 と思われるほど質問します。こうしないと曖昧な状態で終わると、再発してしまうことがありますから、確認の作業は 「しつこい」 くらいでちょうどいいと、いつも思います。「痛くないでしょ」 と誘導尋問をする操者はあまり感心できません。

両手とも同じところが痛いそうなので、反対側の手も同じようにします。

これで両手の指の痛みが改善しました。ここで、感想。

親指を反らせると、ぐっと思い切り反る人がいますが、あれは、拇指の伸筋が縮んでいるか、硬くなっているのだと思います。反るのが嫌だという人は、拇指の伸筋に愉気をしてみれば、反りが弱くなるのではないでしょうか。

896 元気なおばさん

第896号 2016年5月8日
▼  元気なおばさん

昨日は、はるばる兵庫県から来られたNさんという女性。正坐ができません、と言いながら、足を横に出して、私の前に坐られます。

お名前や、ご住所やを伺って、お歳は、とお聞きすると、今年80歳になります。え? どう見たって79には見えません。とまどいながら、80にしておきます。

時々坐骨神経痛が出るらしく、それが出ると、鎮痛剤のロキソニンを飲まないと激痛でのた打ちまわる、とても耐えられない、とのことでした。あと膝痛が少々。

まず、椅子に坐っていただいて背中を拝見します。背骨は曲がっていませんし、骨盤が歪んでいる様子もありません。背中の左右に厚みの差があるということもない。「きれいですね」 と私。「80って、嘘でしょう」 と尋ねると、「嘘を言ってどうなるものでもないですから」 という答え。そりゃあそうですが。

スポーツはなさっていますか、と尋ねると、「テニスを少々」。「ゴルフも」と。しかしテニスをしている人は、たいてい右後ろ、左前の捻れが入っているものですが、それがまったくと言っていいほど、ありません。「うーん」 と唸っているしかない。

たまに、こういう元から丈夫な人がいるんですね。

あちこち調べてみて、坐骨神経痛の原因らしいのは、大転子の位置が左右で違うことくらい。坐骨神経痛のある右側に大転子が少し出ています。

圧痛のない左側から、大転子をぐっと押さえて、反動法で、さっと抜くと、左右差が消失しました。これで、立っていただいて、どうですか。と訊くと、いいえ、普段は何もないのです。時々突然痛くなるだけです。

「それじゃあ、痛くなった時にロキソニンを飲まずに来ていただかないと、分かりませんね」 というと、「ロキソニンを飲まないと、とてもここまで来られたものではありません」 という返事です。

というようなわけで、ともかく膝を整えて、終わりました。膝もお皿がよく動いて、固まっている様子は少しもない。不思議なおばさんです。感嘆している他ない。

確かに皮膚に少し衰えがあるかな、とは思いますが、それ以外どこを調べても、おかしなところがない。テニスとゴルフのせいで元気なのだとすると、テニスはからだに悪いなどと冗談を言うわけにも行きません。

正坐ができないとおっしゃったけれど、これなら座布団を挟めば正坐ができるでしょう。と座布団を差し出すと、坐れます。正坐したのは何年ぶりなんだろう、とひとりごつ。正坐ができないという人は、坐れないんだ、という思い込みで、坐れなくなっていることが多いので、思い込みを打ち破ることがまず第一です。

Nさんが元気いっぱいなのは、意識が明晰であることじゃないかな、というのが終わってからの私の感想です。ともかく、しゃべり方がはっきりしていて、どこにも淀みがありません。耳が少し遠いらしく、時々聞き直される他は、とても80歳の声ではない。

人は、声から老化が始まるという仮説を立ててみたい方でした。

895 斜頸とは何か

第895号 2016年5月7日
▼  斜頸とは何か

首がいつも左に傾いている。心配だというメールをいただきました。7歳の女子です。仮にRさんとしておきます。

こういう症状には 「斜頸」 という病名が付けられるのでしょうが、でもちょっと待ってもらいたい。本当にこれは 「斜頸」 という病気なのかどうか。

このメールを頂戴した時に、それは背骨が曲がっているだけでしょう、という意味の返信をしました。

そして操法の当日。Rさんが入室して来られたのを見ると、なるほど首が左に傾いています。お母さんとしては、大丈夫なのかと心配なのは無理もありません。まして整形外科で、将来 「顔が歪んできます」 と言われたとなれば、なおさら。

これは背骨が曲がっているに違いないと目星をつけていましたから、さっそく椅子に坐ってもらうと、案の定、腰椎が左に曲がっています。胸椎の歪みはほとんどない様子なので、整形外科では 「側弯」 とは言われなかったらしい。

うつぶせになってもらいました。「うつぶせ」 というと今は 「死語」 になっているのか、「あおむけ」 と 「うつぶせ」 が、どちらがどちらかと迷う人が多い。でもいじわるなので、私は常にこの言葉を使い続けています。ところがRさんは、即座に 「うつぶせ」 に寝てくれました。うんうん、あなたは頭のいい子だ。

まず、背骨の弯曲があれば、尾骨の歪みがあると見ていいでしょう。ですから尾骨を触って歪みを確認し、「お尻を打ったことはありませんか」 とお母さんに訊いてみるのですが、記憶にない、とのことでした。

(いま中学生の時から側弯を修正するのに通ってくれている高校生女子がいますが、その人の場合は、はっきりと尾骨を打つ事故に会っています。側弯のきつい例では尾骨の異常があると睨んだ方がよさそうに思えます。)

尾骨に対しては黒川操法(尾骨の歪んでいない方を3回、3呼吸間隔でなで上げる操法)を使いました。これで、背骨全体の緊張が少し緩んだはずです。

その次は仙骨、腰椎、胸椎と背骨全体の歪みを少しずつ修正して行きました。それから、両腕。数日前のことで、いまとなっては、どのような順序で操法したか、正確には覚えていませんが、足首にも問題があり、右足首、特に距骨を触りました。

そうして椅子に坐ってもらうと、心なしか首の傾きが改善しているように見えます。「どうですか。少しまっすぐになって来たのではありませんか」 というと、付き添って来られていたおばあちゃんが、「そうですね。少し傾きがましになっていますね」 と言われる。

こう言われたことの暗示効果もあったと思いますが、Rさんは首の動きがよくなっているのを感じたのでしょう。さらに一層、首がまっすぐになってきました。

大人の斜頸の場合は、こう簡単に行かないでしょうが、Rさんの場合は背骨の硬化が進んでいなかったと思われます。

腰椎が左に弯曲する理由は、骨盤が右向きに傾いていることです。お母さんは、なぜこんなことになったのか、その原因を尋ねられたが、Rさんが小さい頃から横すわりの癖があったのではないでしょうか。1回横すわりしたからといって、腰椎が弯曲してくるというわけではありませんが、横すわりの癖が何度も続くとやがて背骨の周辺組織が硬くなって、弯曲を起こします。これは子ども限らず大人でも同じことです。

ですから横すわりの癖が強い人、つまり、右横座りと、左横座りとで、座りやすさが異なる人は、腰椎が歪んでしまっています。腰椎が弯曲を起こしている側に首を傾ける癖があることでしょう。いつも傾けているわけでなければ、斜頸とは言われないので、本人も気づきませんし、周囲の人たちも気づきません。

というわけで、斜頸という病気、異状な状態があるわけではなく、骨盤の傾き、腰椎の弯曲が首の傾きという状態を生んでいるだけのことです。

病名を与えられると不安になってしまう。という心理が確かにありますから、病名を付けるというのは、罪作りなのではないでしょうか。まして 「将来顔が歪んできます」 などと言われるのは。

このケースも、腰椎が歪んでいるだけだから、姿勢をよくすれば簡単に治りますよ、と言ってもらえれば不安になることもなかったでしょうね。

寝床体操の1番をするといいですよ、とお話して帰っていただきました。ずっと表情の硬かったRさんが、帰りには 「ニコっ」 と笑ってくれたのがうれしい。

894 連動という対応関係

第894号 2016年4月29日
▼  連動という対応関係

全身と手とが相応(対応)関係にあることは、このメルマガの読者の皆さんには、基本的なことがらであると思います。例えば足首は小指の第1関節と相応する。要するに手は全身の縮図になっています。

ところで、手の変化と全身の変化とは、どちらが先に起きるのか。たとえば、先日の実例。股関節が痛むという方でした。

股関節の痛みは、『共鳴法教本』 では薬指と小指のそれぞれの中手骨の間の溝の部分に手を当てていればよい、となっています。

ですから、その基本通りにそこに手を当ててみたのですが、何だか掌側の触り心地が落ち着かない。ごつごつして骨が飛び出しているような感触です。

おそらくは、薬指の中手骨が掌側へ転位して(ズレて)いるに違いない。そこでそこをわざとグッと強めに押さえてみると、「あ、そこは痛いですね」 という反応。

そこで、掌を敷物の上に押し付けてもらって、甲側から手でぐっと押え、パッと放すという反動法をやってみると、ズレが解消しました。そこで、股関節はどうか、と尋ねてみると、痛みが取れているようでした。

そうなると、股関節に異常があるから、手の相応箇所に異常が出たのか、それとも手に異常があるから、股関節に異常が出たのか、どちらともいえそうな状況です。

こういう場合は、一方が他方の 【原因】 であると捉えるよりも、手と股関節が 【連動】 していると捉えるほうが事実に近いのではなかろうか、と思いました。

つまり相応関係とは、他方が一方を映し出しているという関係であると捉えるより、互いに連動する関係と捉えるほうがいいのかな、とも考えられます。

そう考えてみれば、からだの各所に連動関係がありますから、各所にさまざまの相応関係が観察できるとしても不思議ではありません。「足つぼ」 なども連動関係なのかもしれませんね。

893 かかと呼吸

第893号 2016年4月22日
▼  かかと呼吸

中国の古典中の古典 『莊子』(そうじ) の中に次のようなくだりがあります。

「真人の息は踵を以ってし、衆人の息は喉を以ってす。」
(福永光司・他訳、ちくま学芸文庫「内編」・大宗師編第六)

現代語訳の部分には、どう書いてあるか。「真人の呼吸は踵の底でするが、普通の人の呼吸は喉でする」 とあります。「踵の底でする」 とは、どうするのか、もちろん、そんなところから呼吸ができるわけはありません。「真人」 とは何か。これも現代語訳を読んでみると、「天の営みを知り、天とともに自然に生きる人」 というくらいの意味らしいと思われます。

そこで、どうするのか、やってみました。踵の底で呼吸をする気持ちで息をする、ということでいいのではないか。つまりある種の気功法を表しているのではないか、と考えたわけです。

歩きながら、やってみました。ゆっくり歩きながら二歩進む時に息を吸います。次に四歩進む時に息を吐きます。この時、踵の底から息を吐くつもりで吐く。これをしばらくやっていると、足がぽかぽかと暖かくなります。足の気のめぐりがよくなったのでしょう。冷え性の人は、試してみる価値があると思います。

なぜ二歩と四歩なのか。まず奇数にすると、左右が混乱して歩きにくい、という理由があります。そして、二歩と四歩は、吸う息は短く、吐く息は長くという原則に合っています。

なお、念のために付け加えておきたいこと。歩き初めの一歩は、自分の重心側と反対側でやるのが望ましい。歩いている時には、自然に重心側に意識が行っているもので、例えば私は左側に重心があって、左に左にと行きやすい。そこで、意識的に左右を逆にするのは難しくありません。

すると、吸う息の二歩の最初の一歩は重心とは反対側を出していることになりますし、吐く息の四歩も最初の一歩は重心と反対側を出しています。

このようにして歩くと、自然に無意識の世界を書き改めることができるように感じられます。どちらの足から先に出すか、というのは無意識の世界でどちらかに偏っているもので、そういう無意識はなかなか変更しにくいと考えられていますが、そうでもありません。かかと呼吸をしながら歩くと、自然に無意識が変更される。

そして、ここが重要なところですが、かかと呼吸を続けながら、私の場合ですと、朱鯨亭まで30分あまりを歩いて行くと、自然にからだ全体がぽかぽかとしてきます。気功法をしていることにもなる。一石二鳥にも一石三鳥にもなる。

手が冷たくて悩んでいる人は、かかとでなく、手先呼吸をしてください。手がぽかぽかと暖かになってくるでしょう。

これであなたも 「真人」 になれるかもしれません。そういえば、私の玄祖父(おじいさんのおじいさん)は、「真人」 という名前だったらしい。「まこと」 でも 「まさと」 でもなく 「しんじん」 だったそうですから、名付け親は 『莊子』 を読んでいたのでしょう。ちなみに 『莊子』 を書いた人は、「そうじ」 ではなく、「そうし」 という名前でした。

891 臨床家の条件

第891号 2016年4月15日
▼ 臨床家の条件

医学の世界が、方向を見定める哲学を失っているのではないか、と正面から批判している歯科医がいらっしゃいます。丸橋賢さんという群馬県の方。

丸橋賢(まさる)
『全人的治癒への道』
(デンタル フォーラム、2004年、3500円)

少し前の本ですが、例によって奈良のF堂という古本屋で見つけたものです。

歯医者さんの中に、極めて優れた人がごく少数ながらいて、突っ込んだ深い思想を持っている。そういう人の一人ですね。色んな方面に目がいきとどいていて、思わず引き込まれます。

冒頭に、こんな風に書いてあります。

「歯科医師は、全人的治癒像という素晴らしい成果を、容易に達成できる立場にいる。歯周病やウ蝕を根本的に治し、予防するという限局された仕事に止まらず、体力が向上し、疲れにくくなり、風邪も引かず、アレルギーや不妊症まで治り、気力充実して生きられるようになる健康状態をも実現できるのである。膠原病が治り、精神科の管理から開放され、完全に社会復帰する例もある。」

「私は、歯科医師は素晴らしい可能性を秘めた仕事であると信じている。しかし、歯科医療の現実は、そのような達成可能な目標から、あまりにも遠く離れている。」

そして、本書の最後の方では、鮎川信夫の詩、大岡昇平の小説などが取り上げられています。

丸橋さんの書いていることを操法に取り組む立場から解釈しなおして、まとめてみましょう。第3章 「哲学なき科学を超えて」、第4章 「優れた臨床家の条件」、第5章 「歯科医療の荒廃を越えて」 の3つの章に丸橋さんの言いたいことがまとめられていると感じられます。

まず医学が哲学なき科学になってしまっているのではないか、という疑問。科学は確かに大きな成果を生み出したが、何をどう選択して行くかという価値観=哲学を確立していなければ、方向を見失ってしまうのではないか。いや、すでに方向を見失っているのではないか。

確かな哲学をそなえた人物の例として丸橋さんが上げているのは、ヒポクラテス、ゲーテ、湯川秀樹、です。

例えばゲーテの 『若きウェルテルの悩み』 の一部を引用してあります。

「ぼくは流れ下る小川のほとりの深い草の中にからだを横たえ、大地に身をすり寄せて数限りないろいろの草に目をとめる。草の茎の間の小世界のうごめき、小虫、羽虫のきわめがたい無数の姿を自分の胸近く感ずる。・・・
そんなときぼくは万感胸に満ちて、こう考えるのだ。ああ、こんなにも豊かに、こんなにも暖かく己の中に生きているものを表現することができたらなぁ。」

このような感動が臨床家の資質として必要だといわれます。

「好きこそ物の上手なれ、ということわざの通り、臨床を好きになることが最も大切である。が、現実に現在の歯科医師をみるとき、臨床を愛し患者を愛し、仕事に生きがいを感じている人はごく少数であるように見える。大多数はあまり情熱もなく、惰性的に保険制度に毒され、半ばいやいやながら仕事をしているように見える。」

厳しい見方ですが、さて、操法の世界はどうでしょうか。セミナーや講座に参加して来られる方々の表情をみていると、操法の世界では、多くの人が情熱を失っていないように私には感じられます。

ただ、臨床家としての資質を持つために、幅広くいろんな分野に関心を持ち、いろいろな取組を続けることが求められているでしょう。ゲーテはよく知られているように、文学に親しんだだけでなく、自然科学の本を何冊も書いています。例えば 『色彩論』 が有名です。

ゲーテの天才を真似ることは無理でも、せめて色々な分野に興味を持って接したいものと思っています。

890 いきなり走ると ・・・

第890 2016年4月11日
▼ いきなり走ると ・・

いつも走っていない人が、いきなり走るとどうなるか。結論を先にいいましょう。

危険ですから、おやめなさい。

50代の女性さんは普段、何も運動をしていないので、走ってみようと考えた。

強い走りにならないように、そろそろと走られたそうです。でもダメだった。

足首が痛くなったからです。足首がどうなったのか。

踝(くるぶし)の辺りが痛くなった。困って朱鯨亭に来られたという次第です。

さっそく拝見しますと、あまり見ない症状でした。左足の外踝も内踝も痛いという。(解剖学では外果、内果と書きますが、ここは一般的にこう書いておきます)

いろいろ試みました。最終的に距骨(足首のベアリングになっている骨)が内側へズレていて、それがどんな方法を使っても元に戻ってくれない。

「えらいことをしてしまった」 と後悔の言葉を残して帰られた。

どういうわけで、こんなことになったのか。

普通は、こんなことにまではならないものです。下腿の脛骨と腓骨とが、互いに開いてしまうというのは、普通によく見られる現象であることは、すでに何度も書きました。

Aさんの場合は、その範囲を逸脱して、外踝と内踝が開いてしまった。

ここは、通常は、そんなに開かないように靭帯が頑張っている場所ですが、それが緩んでしまって脛骨と腓骨の下端が開いてしまったんです。

こんなことはないはずだが、と思って他の人を観察してみると、こんな状態の人が結構いるようです。

どうすればいいか。

硬い舗装道路の上を走るのをやめることでしょう。

走ると、歩く時とくらべ、遥かに強い力がかかると書いている人がいます。その通りだろうと思います。走ると、瞬間的に飛び上がっているのですから、そりゃ強い力がかかるはず。

かかった強い力が外踝と内踝を広げる力として作用してしまった。

いまの世の中には、「健康信仰」 やら 「運動信仰」 やらが新宗教として定着しているように感じます。「筋トレ信仰」 も困ったものです。

こんな信仰が払拭される時代がくることを私は待ち望んでいます。

888 鎖骨になぜ左右差があるのか

第888 2016年4月1日
▼ 鎖骨になぜ左右差があるのか

鎖骨は人体の中で、左右対称になっている典型的な場所として、捉えている人が多いのではないでしょうか。確かに水着姿の女性の鎖骨など美しいと感じる人もいるでしょう。

ところが、よく調べてみると、さほどでもないことが分かります。見かけ上、左右が対称であるように見えても、胸鎖関節を押さえてみると、圧痛を訴える人が多い。

さらに鎖骨の部分をはだけて、よくよくみると、胸鎖関節の位置が左右で違っていることも多い。

【胸鎖関節とは、喉の下にグリグリが二つありますね。それです。胸の中央にある胸骨と、鎖骨のつなぎ目なので、胸鎖関節と呼ばれている】

先日、私自身の胸鎖関節が左右でえらく違って来ていることに気づきました。触って見なくても、関節のところに違和感があります。

同時に、背中の胸椎のどこかが痛む。えらいことになって来たと思って、どうしようどうしようと少し焦りぎみになった。胸椎を通常の方法で整えてみても、痛みが変わりません。

その前日のこと。『共鳴法教本』を使って講義をしていたので、そこに胸鎖関節の直し方が書いてあったのを思い出しました。書いた本人が自分で読んで役に立つこともある。

【『共鳴法教本』についてはHP参照。→http://shugeitei.com/stext.html

鎖骨と対応する場所は普通に考えれば中指の付け根、手のひら側ということになります。確かにそのあたりでも効果が出る場合もありますが、そこより中指の第二関節の横紋のところ(つまり手の平側)、をクルッと撫でると良い。

なぜ、こんな場所が鎖骨と対応しているのか。それは頚椎、胸椎の関係から考えれば、ここの場所が頚椎・胸椎のつなぎ目の裏側にあたるからでしょう。

で、この操法をやってみました。すると、驚いたことに、鎖骨が正常になっただけでなく、背中の痛みも消えてしまった。今に至るまで痛みが出ていません。

共鳴法の操法には強い効果の出るものが色々ありますが、これほどの操法は私の記憶の限りでは初めてです。

以上の経験を総括してみると、鎖骨の左右差は、胸椎の歪みと連結していることが分かる。つまり胸椎のどこかがゆがんで、それに伴って鎖骨の左右差が出てくるわけです。考えてみれば、当然のことですが、当然のことも経験してみないと、なかなか分からないものです。

言い換えると、あなたの左右の胸鎖関節のどちらかに圧痛があれば、あなたの胸椎のどこかが歪んでいるといえる。それが中指の横紋をクルクルっと撫でただけで解決するといえるわけです。

からだほぐし教室で、この操法をやってみた時に、Fさんが、クルクルと撫でた瞬間、頭にピキッと来た、とおっしゃっていました。

これは想像ですが、鎖骨のような横長の骨は互いに連動することがあるらしい。横長の骨とは何か。足の舟状骨、膝の半月板、鎖骨、そして頭の中の蝶形骨です。これらは連動することがあるらしい。

ですから、中指の横紋をクルクルっと撫でる操法で、実は蝶形骨も整ってしまう可能性があるだろうと思います。

昨日、緑内障の方の足首を整えたところ、目が楽になったとおっしゃっていましたが、これは舟状骨が整ったために、蝶形骨が動いた結果かもしれません。

横長の骨が互いにどのように連なっているかは、興味深い研究課題です。と同時に、足を整えることによる効果が、どこまであるか、これも深い研究課題だと思っています。【これについては、いずれまた書きたいですね】

人体の不思議は尽きることがありません。

887 第一肋骨の変異が起きると、どうなるか?

第887 2016年3月14日
▼ 第一肋骨の変位が起きると、どうなるか?

最近の「復習会」は、おかげで盛況で、昨日は12人のご参加がありました。
→ http://shugeitei.com/review2.html

参加予定の方々の中にお1人欠席がありましたから、その方が参加されると、ほぼ満席状態です。朱鯨亭2階は寒さをはねのけて熱気むんむん。暖房のために、私は頭がぼおっとしていました。

参加されていたNさんから、腕神経叢のあたりが痛いというご質問です。(腕神経叢は、鎖骨の上の窪みのあたりにあり、押すと何事もなくても嫌な感覚を感じる場所です。ですから普通、ここを押すのはご法度です)

このあたりが痛いとすれば、神経の損傷なども可能性としてはあるでしょうが、そんなに深刻な症状とは思えません。

ただ、ここに痛みがあるという訴えは最近の記憶にありません。どうするか。思案のしどころです。こういうケースは、類似するケースを探ってみることだ。

この辺りで痛みが出るケースといえば、第一肋骨(肋骨1番)の変位です。この辺りは筋肉でいうと、斜角筋群があるところで、斜角筋の緊張があると、第一肋骨が引っ張られて変位することは考えられます。

ちなみに 「第一肋骨」 とは、一番上の肋骨。多くの肋骨の中で、もっとも短く目立たないです。胸椎1番から左右両側に出ているのが第一肋骨です。

第一肋骨の変位を確かめるには、どうすればよいか。この骨が他の骨と繋がっている関節に圧痛が出ていないかどうかを調べれば分かります。

背中側は、胸椎1番と繋がり、胸側は、胸骨と繋がっていますので、その両方の関節周辺を調べてみれば分かるはずです。胸椎1番の横を押えてみると、大変硬くなっていて、少し違和感があるようです。

(話しが分かりにくいという方は、解剖図などを参照しながら読んでください)

胸の中央にある胸骨との繋がりである胸肋関節は、のどの前にある2つのぐりぐり=すなわち胸鎖関節の左右斜め下の骨を押さえてみれば分かります。どうも、ここにも違和感があるらしい。

ですから、これで第一肋骨の変位で、ほぼ決まりでしょう。

そこで、まず胸椎1番の2側(2側とは、指2本分椎骨から離れたところ)両側に愉気をします。そして具合を聞くと、少し楽になっているとのこと。

次は胸肋関節です。ここにも愉気を続けます。胸椎と胸骨の双方に愉気することも可能ですが、これは首を締めてしまう格好になって、少しまずい。

これで左側に違和感が残ったものの、全体によくなったようです。

以上の教訓は、分からない症状を聞いた時は【類似例で考える】。これですね。

肩こりとか、首こりとかの症状で、うまく解決しない時は、第一肋骨の変位があるかもしれないので、調べてみてください。

885 スイスの遠隔治療とは?

第885号 2016年2月27日
▼ スイスの遠隔治療とは?

所変われば品変わる、といいますが、スイスに行くと、遠隔治療はどんな具合にやられるのか、という話です。そう、スイスにも遠隔治療があって、病院が公然と勧めるのだといいます。

Oさんという方からご紹介があってお知らせするものです。原文はこちら→(英文です)
http://houseofswitzerland.org/swissstories/society/mystery-faiseurs-de-secret

以下は、その要約と説明。

スイスのフランス語地域(スイス西部のフランス語を話す地域)には、秘伝の呪文を唱えて患者を直す faiseur de secret ファズル・ド・セクレ(フランス語、日本語にすれば 「秘術使い」 か)と呼ばれる人々がいて、この人達に治療を頼む人が多い。その方法は科学的に説明がつかないが、多くの病院もその効果を認めている。

このファズル・ド・セクレというヒーラーたちが唱える、呪文(祈りの言葉)による方法は、民間療法由来のもので、伝統的な医学に反するものと考える人もいるが、数世紀にわたって人々の経験知を集めたものである。

同じような方法が存在しているものの医学界から禁止されたり拒否されたりしているヨーロッパの他の地域とくらべ、スイスのフランス語地域では、禁止されたり・拒否されたりすることなく行われている。ファズル・ド・セクレたちの電話番号は、病気の種類に従って分類されたリストになっていて、簡単に知ることができる。

【疾患】唱える短い呪文は、たいていが宗教的な性質を持つもので、病気を癒やしたり軽減したりする効果がある。やけど、出血、デキモノ、捻挫、皮膚炎、などが対象。
例えばやけどの場合、相手を対象に呪文を唱える。ヒーラーは自分自身の身体で、相手のやけどと同じ位置に十字を切ることもある。祈りの言葉は聖人に向けたものが多く、プロテスタントの場合は三位一体やイエスに向けた祈りを行う。

【方法】あるヒーラーによれば、方法は次のようだ。電話を受けると、依頼者の名前と誕生日、身体の問題箇所を尋ねる。呪文を唱えると、効果は即座に現れる。一度でだめな時は、同じことを効果が出るまで繰り返す。

問題ごとに違った呪文が使われることが多い。患者が直接コンタクトするのがよいが、動物や子ども、電話が難しい人の場合は、代わりに家族が看護師に連絡して、ヒーラーに取り次いでもらう。

この方法は、スイスでもフランス語地域、イタリア語地域でよく知られ、ドイツ語の地域ではそれほどでもないが、多くの州で行われている。自然療法(超自然療法)の一種として分類されている。宗教的な習慣とみなされることもあるものの、依頼者が信者である必要はない。ヒーラーは「信仰の問題ではなく、信頼関係の問題だ」と説明している。動物にも効果があるので、プラセボ効果によるものではありえない。

【継承】 伝統の継承が重要で、その知識は保護されている。悪用されてはいけないという理由ではなく、能力の保持者が後継者を選べるように、という理由からだ。秘密保護の規則は以前は厳格だったが、伝統の維持が難しくなっているので、規則は緩やかになっている。現在の唯一の責務は、若い人に秘法を継承させることだ。

【実例1】 スイス出身で南アフリカ在住の女性が慈善団体で働いている。彼女が電話をかけて来ていうのに、彼女の住む貧しい地域では、掘っ立て小屋の住人が火事を出してやけどを負うのは珍しいことではない。あるこどもが家に一人でいる時に火を出してしまったが、親は治療を受けさせる金がない。助けてもらえるだろうか、という。もちろん、と承諾して、数千キロ離れたスイスから電話で遠隔治療を試みた。一週間も経たないうちに、「こどもが完璧に回復した」と慈善団体の女性にところへ連絡があった。彼女は信じられなかったという。

【実例2】 ある人の息子がドイツで事故に遭い、右腕が壊滅状態になった。医師団は切断が不可避であると判断し、スイスに移送するのはダメだと言った。傷が化膿していて、搬送はリスクが高すぎるという。両親は絶望した。隣人が教えてくれたのは、スイスのジュネーブに感染症の治療で知られたヒーラーがいる、ということだった。アドバイスに従ってみたところ、翌日には、息子の腕の状態は劇的に回復した。医師たちは、我が目を疑った。それだけでなく、息子は、翌日スイスに戻ることができた。カルテには、「信じられない改善」 と書かれていた。回復とリハビリに長期が必要だったものの、現在ではほとんど正常になっている。驚いたことは、ファズル・ド・セクレの電話で即座に効果が出たというだけでなく、彼女が息子の身体と性格について描写できたことだ。

【謝礼】 ファズル・ド・セクレは、男性のことも女性のこともある。自分の仕事以外に、ヒーラーの仕事を兼ねている。患者は封筒に何がしかのお金を入れて謝意を表すこともあるが、たいがいは無料で行われる。ビジネスにしようという動きは、たいてい猛反発を引き起こしている。

【医師との関係】 この地域では、科学で説明できない神秘現象や説明不能のものごとを許容する余地などないが、科学的な証拠がないからといって、研究者が民間療法を迷信やハッタリであると切り捨てることはない。多くの目撃者の証言から、この種の民間療法の効果は認められている。心の広い医師の中には、ファズル・ド・セクレと一緒に仕事をするのを承諾する人もいる。例えばガン専門医で、放射線治療による火傷を直すのに、やけど専門のヒーラーの治療を受けるようにアドバイスする人がいる。

治療を受けた人たちの言葉──大切なのはなぜ効くのかではなく、効くという事実だ。

884 いい加減の勧め

第884号 2016年2月26日
▼ いい加減の勧め

例えば、橈骨が下がっている時、それを調整するのに、橈骨茎状突起を上向きに押える方法と、下向きに押える方法と、二つの方法があります。

(*橈骨茎状突起:手首の親指側にあるグリグリのこと。橈骨の下の端なので、こういう名前がついている。)

講習の時に、こういう話をすると、必ず 「どちらがいいんですか」 という質問が出てきます。

「どちらでもいいんですよ」と答えると、みんな怪訝な顔をする。人によっては、「そんないい加減な」 という声も出てきます。

いい加減 ──でいいじゃないですか。

皆さん学校で ◯× 式の教育を受けて来たから ◯× か、どちらかでないといけないと思いこんでいます。確かに、鳥類か哺乳類か、と聞けば、どちらかしかないかもしれない。でもカモノハシという変わりだねもいるわけですね。

◯ でも × でもある、という変ったのがいるわけです。コウモリなんていうのもいるしね。あれは哺乳類だ、と力んでみても、確かに鳥類の側面もある。

どちらでもいい、という存在を積極的に認めるという発想法が重要じゃないか、と私は思っています。積極的というのは、どちらでもいいような存在に出会った時に、それは例外的なものだと考えるのではなく、迷った時に、そういう中間的な存在を進んで認めようじゃないか、ということです。

あれか、これか、と割り切る前に。あれもこれも、と考えようじゃありませんか。

で、橈骨茎状突起の最初の課題に戻って、この場合にどう操法すればいいのか。上向きでも下向きでもお好きなように、ということになりますが、そう言われても困るのであれば、上向きと下向きの中間、つまりじっとしている、その人の好みに合わせて、上向きの直接法がお好みの人は、気持ちだけ上向きで、じっとしている。下向きの間接法がお好みの人は、気持ちだけ下向きで、じっとしていればよい── こういう結論です。

「そんないい加減な」  という発言をした方。これではまだ満足できませんか。

883 首こりをとる方法

第883号 2016年2月21日
▼ 首こりを取る方法

メルマガ [第799号]  で 「マップの効用」 というテーマを取り上げています。首の横にある筋肉 「斜角筋群」 について、その緩め方を取り上げたものです。

斜角筋群と総称される筋肉 「前斜角筋」 「中斜角筋」 「後斜角筋」 は、いずれも頚椎の横突起に始まり、肋骨に終わっています。ですから、ここに異常が出ると、頚椎にも異常があるはずです。

先日のお客様(70代女性)は、ここが引っかかった感じで、痛いと言われます。最近、ここが痛いという人が多いと感じています。多分スマホやPCの影響ではないか、首を前傾したまま、ずっと作業を続けることに原因の一つがあるのではないか、と考えられます。もっともこの女性がスマホにうつつを抜かしているとは考えにくいですけれど。

古い言い方なら 「肩こり」 というところですが、古典的な 「肩こり」 とは少しばかり違う感じです。「首こり」 という言い方もできそうですね。

で、799号で書いた方法は、手の中指の第2関節の手の平側の両サイドを指先へ向けて、「斜角筋、緩め」 と思いながら、さっと撫でるという方法でした。

この方法でもいいのですが、ここでは別の方法を試してみましょう。

(ところが図がないと説明しにくいので、『共鳴法教本』 の35ページの図を見ながら試してみてください。お持ちでない方は注文していただく他ありません。注文については、http://shugeitei.com/stext.html からどうぞ。)

図の頚椎6番から2番の各骨について、各ポイントを手首方向へツメサキで弾くようにすると、それぞれの頚椎が整って、斜角筋も楽になります。特にポイントで痛みがあるような場合は、よく効きます。お試しください。

いままで左右に回りにくかった首がスッとうまく回るようになって、気分がよくなること請け合いです。

ただ、余計な注釈をつけておけば、以上の操法は、いわば対症療法です。根本から痛みの原因を取り除いたことにはなりません。根本から頚椎の歪みを解消しようとすれば、背骨を尾骨から順に上に向けて整えて行くことになります。

882 寝床体操の改訂追加版【5番】

第882号 2016年2月11日
▼ 寝床体操の改訂追加版 【5番】

今回は、寝床体操の新版、第5番です。とはいえ、これはすでにどこかに書いているかもしれません。足パー操法の手バージョンと考えてくだされば、だいたい当たりです。

【方法】手の平を上に向けて、肘をしっかり伸ばします。手首を下に向けます。逆側の手でつきだした手の平を押え(親指も押えること)、抵抗を与えます。数秒間そのままにして、パッと押さえた手を離す。これを数回繰り返す。

【意味】前腕、つまり肘から前の部分には、橈骨・尺骨という二本の骨があり、この二本の間隔が開いてしまっている人が多い。すると、前腕が硬くなり、肩や肘、手首の動きを悪くしています。この体操をすることで、二本の骨の間隔が締まり、前腕の動きが改善します。

【対象】大抵の人に効果がありますが、特に、手首・肩・肘などに問題のある人は、やれば楽になる。ただし、強い症状のある場合は、試しにソッとやってみて、痛みなどが出るようであれば、やらない方がよいこともあります。

なお、この操法を写真入りで解説した電子ブックが今なら、無料でもらえます。昨年末に開業した「紫鯨亭」のメルマガの購読の申し込みをすると、もらえるのです。→ http://shigeitei.com/ からどうぞ。

「紫鯨亭」とは、怪しい。とお思いでしょうか。確かに「朱鯨亭」より怪しい。でも、そこの亭主は武術の達人で、「気」がよく分かる人ですから、一度、訪ねてみると、得るところが色々あると思いますよ。お勧めです。

881 寝床体操の改訂追加版【4番】

第881号 2016年2月2日
▼ 寝床体操の改訂追加版 【4番】

日々続けることで効果のある「寝床体操」というものをHPに掲載しています。

朝目を覚ました時に、寝床の中でもぞもぞとやるだけで一日快適に過ごせるという簡単かつ効果的な体操ですので、色々と不調で困っている方、不調に陥らないように予防したい方、どうぞお試しください。

時々、寝床体操を続けていたら腰痛を起こさなくなった、というような礼状をいただくことがあります。寝床の中でごそごそとやるだけの簡単な体操ですが、効果は小さくないと考えています。

時々少々の修正をしたりしています。今回は大幅に改訂追加します。(いまはまだ改訂していません、いずれ数日中に)

まず大きな変化は4番・5番の追加です。今日は4番。以前に「4番」というのを掲載していたことがありますが、それとはまったく違うものです。

これまでも「足パー操法」として、あちこちで紹介してきました。やり方を以下に説明します。

【方法】仰臥。両趾をパーと開く。そのまま踵を押し出し、ふくらはぎが緊張する状態を作る。そのまま5秒間ほどじっとして、パッと力を抜く。

以上を何度か好きなだけ反復する。ふくらはぎの違和感が緩和するまでやるのが望ましい。

【意味】この体操によって、下腿の脛骨・腓骨の開きが改善される。下腿がほっそりしてくる、下腿のむくみが取れる、下腿の硬さが取れて柔らかくなる。などの効果がある。これを続けたところ足の冷えが改善した報告がある。

【対象】誰がやってもよいが、特に膝が痛くて困っている人。下腿のむくみで困っている人、など。脚が太くて困っている人にもよいでしょう。足が冷えて困っている人にも。

880 複合症状【3】

第880号 2016年2月1日
▼ 複合症状【3】

【承前】一週間後、Aさんが来られた。「痛くなった」と言われるのではないか、
とこちらはひやひやものですが、開口一番が、こうだった。

──夜中にうずいて眠れないということはなくなりました。

ということは、胸肋関節のズレが解決したということです。

やれやれ。「ホッと胸をなでおろす」というのは、こんな時。ひどい肩の痛みは、肘関節と胸肋関節の二原因による複合症状だったわけです。

こういうことがあるから操法は難しい。ここでも、「なぜ」という質問に答えるのはさらに難しい。なぜ、こんなことになっているのか。二原因のあいだに必然的なつながりがあるのかどうか。これはAさんの生活を詳細に検討してみなければ判明しないでしょう。

でも、なぜ過去の例のように激痛が出ることはなかったのか。おそらく、その人の感受性による違いです。同じ操法であっても、人により時期により、その反応は違います。

一般論として言えば、「正體術」の高橋迪雄が書いているように、比較的柔らかな女性や子どもでは、強い操法を避けなければならない。それに対して頑健な男性や身体の硬い成人では少々強い操法でも大丈夫なことがある。そういうことでしょう。

という次第で、Aさんの場合は強い操法が正解であった、ということになります。しかしこれは事後に言えることで、やはり普通は強い操法を避け、緩やかな操法を採用した方が危険が少ない。

よく整骨院などで、グッと力をかけて押されたので、おかしくなったと言って来る人があります。そういうことは、くれぐれも避けなければなりません。Aさんの場合、いわば結果オーライといえますが、Aさんの身体は頑健なものだったのでしょう。

さて、Aさんの症状はまだすべて解決してはいません。肘と膝が残っています。この先、どうなるか、お知らせするに足る情報が含まれていれば、続きを書いてみたいと思っています。

879 複合症状【2】

第879号 2016年1月31日
▼ 複合症状【2】

【承前】寝た時に、肩がズキズキ痛むというAさん。尾骨の処理で背骨がまっすぐになったのに、肩が一向によくならない。さて、どうしたらよいか。

肩の高さが違う場合に、まず第一に調べるべきは、腕のうしろにある伸筋の上腕三頭筋です。肩の高さが違う人は、高い側の上腕三頭筋が硬くなっています。

これを、操者の好みの方法で柔らかにしてやれば、肩の高さは揃ってくる。だがAさんは、肩の痛みが強いために、上腕三頭筋が痛いかと尋ねられても、何が何だか分からないらしい。大して痛みを感じるほどではない、ということでしょう。

しきりに「この辺りが痛い」と腕の上の方を押えるだけで、何がどうなっているのかよく分かりません。そうすると、次に調べる候補は肘ですね。肘頭の周辺に圧痛があるかどうか。

ところが、肘も肩の痛みとくらべれば、大したことではないらしく、むにゃむにゃで終わりです。こうなると、こちらとしては打つ手がなくなってくる。操者にとっては苦しい局面。指を調べてみても、何ともない。

どこが痛いのかよく分からない人は難しい。何が難しいかといえば、こちらは症状を手がかりにして、次の一手を考えているからです。「むにゃむにゃ」では一手を考えようがないわけです。

こういう時に、こちらの体勢を立て直すには、どうすればいいか。方向転換。これですね。こういう時は。とりあえず「むにゃむにゃ」というところは置いておく。そうして、新しい方向の探求に向うわけです。そのうちに、さきほどの方も道が開けてくるものです。

すみません。このあたりは完全に操法をする人向けの話になっていますね。自分の症状を自分でなんとかしようと考えている方々には、興味のない話かもしれません。でも、自分でやる場合も、操者と受け手が同一人であるというだけで、実は同じことだと私は思っています。時に自分でやる場合でも方向転換が必要なことがある。

方向転換しても、いずれ道が開けてくるのは、全身がつながっているからですね。

で、この場合、どこに方向転換したか。肩が痛いというだけではなくて、胸の上部が痛いと言っておられたので、そこを見てみようと。胸が痛いというのは、肋骨の変位があるからです。それ以外に、肋骨にひびが入っているケースもありますが、Aさんの場合は、そういう軽い痛みとは違っています。ひびはまず考えなくてよい。

そうすると、ありうるのは、胸肋(きょうろく)関節のズレです。胸の中央に縦に存在している胸骨と、肋骨とのつなぎ目。それが胸肋関節です。ですから、一つではなく、肋骨の数だけあります。

痛みの場所から見当をつけて、3番の肋骨と胸骨との関節をぐっと押さえてみた。すると、「痛い!」と強い反応。ここに間違いありません。ということはAさんの肩の痛みの正体は、腕から来ているものと、胸肋関節のズレから来ている部分とが合しているから、分かりにくく、本人にとっては辛い症状になっていると思われます。

そこで、この胸肋関節の調整にかかります。右腕全体を、当該の胸肋関節の延長上に持ってきます。そしてグッと腕を引く。一度やっても、改善したという声がないので、もう一度ひっぱりました。この日は、これで終わりです。書いてみればこれだけのことで、何だ短いというようなものですが、やっている当人にとっては、長丁場です。

こういう複合症状を持っている人の場合、痛みが消えたかどうか尋ねてみても、よく分からない場合がある。そうすると、これでよくなっただろうという想定のもとに、終わりにしなければなりません。

ところが昔の話になりますが、胸肋関節のずれていた人を調整したら、翌日、激痛になったというケースがありました。ひょっとしてAさんの胸が今ごろさらに痛くなっていて、今晩あたり電話がかかってくるのではないかと、気が気ではない。あんな強い調整法を採るべきではなかったかと反省しきり。(続く)