第980号 2017年7月11日
▼ 側頭骨と肩こりの意外に親密な関係
肩こりの原因は、背中にあると思われていますし、現に足首をさわれば肩こりが解消するという考えもあります。ところが、どうもそれだけではない。側頭骨・後頭骨といった頭の骨の位置が肩こりに無関係ではありません。
特に最近のお客様の訴えを聞いていますと、肩こりというか、首こりというか、ともかく肩だけでなく、首が苦しくなっている方が多い。これが何に由来するのかは分かりませんが、PC作業やスマホと関係があるのかもしれない、と思われます。
先日来られた方は、「それ、首が凝っているのでしょう」とお聞きしても、「首ではなくて、肩が凝るんです」と言われる。肩か首か、という領域あらそいは、さておいて、どうもこれは首、しかも頭の骨が関係していそうだ、と思われたので、側頭骨をそっと上げてみました。すると、「楽になりました」と言われる。やはり。
側頭骨をそっと上げるとは、どうすればいいのか。側頭骨の位置を明確に表しているのは、耳たぶの後ろの「乳様突起」(にゅうようとっき)の位置です。「乳様突起」とは、耳たぶの後ろにあるぐりぐりの骨のでっぱり。これを左右さわって見て、大きさ(出っ張り具合)が違えば、大きい方の側頭骨が下がっていることになります。おおよその見当でいうと、右が下がっている人が多いという印象です。
この乳様突起を上げるには、どうすればいいか。手の小指側の側面、小指の付け根と、手首の中点が乳様突起の対応点、これを「乳様突起点」と呼んでおくと。この乳様突起点を指先方向に1センチばかりなでればよろしい。その後すぐに乳様突起を触ってみると、みごとに凹んでいるはずです。つまり側頭骨はこれだけの操法でカンタンに上がるということです。
逆にいうと、側頭骨が下がっていると、それが肩を引っ張って、肩こり・首こりを起こすということです。首を左右に回してみて、どちらかに引っかかりを感じる人は、このポイントを操作してみてください。ぐっと楽になること請け合いです。
ついでながら、このポイントはタッピングのツボとして使われているポイントでもあります。両手のこのポイントを軽く打ち合わせると、リラックス感が出て来る。ということは、側頭骨はリラックスの急所であるということもできるでしょう。足に力の入らない人は、側頭骨の上にある鱗状縫合のあたりにしばらく愉気をしてもらうと、力が入るようになるのと、何かの関係があるのかもしれません。ですから、手のこのポイント「乳様突起点」に「リラックス・ポイント」という名前を与えてもいいかもしれません。