膝ががくがく

路地裏の整体術 第777号 2015年2月22日
▼ 膝ががくがく

武道の世界に「見取り稽古」という言葉があるそうです。
「日本事典」というサイトに「見取り稽古」の項目があり、次のように書かれ
ています。http://www.nihonjiten.com/data/42044.html

──ほかの人の稽古や試合を見て学ぶこと。優れた技や剣風、あるいは一本
を評価できる「眼」も重要な技能であり、見取り稽古はその意味でも重要で
ある。

この「見取り稽古」ほど役に立つ稽古はないと言っても間違いないでしょう。
順序を踏んだ講習にも、もちろん意味はあるけれど、どこがどう悪いのか見当
もつかない人に操法しながら、どこに根本原因があるかを探りだしていく過程
は、一人ひとりで違うだけに、簡単にマニュアル化して伝えることができません。
具体的な過程の中で立ち現れる操法の順序や、どんな操法を選ぶか、とい
った点を学ぶには「見取り稽古」しかない、と言えるでしょう。

さて、最近、操法を受けに来る人は難しい症状の人がじつに多い。こんな症状
をどう扱えば解決するのか、と頭を抱えそうになる人が多数来られます。簡単
な腰痛の人など骨法で一発というケースも多いのですが、どういうわけか殆ど
そういう人は来られなくなりました。

難しい症状の人では、どこに根本原因があるかを探り当てることが大きな課題
です。場合によっては、何度か操法を繰り返して、やっと根本原因に迫ること
ができる人もいます。今回、タイトルに掲げたNさんという男性も、そのよう
な方の一人でした。

見学する立場からすれば、難しい人ほど見応え(?)があるに違いない。初め
にN氏がおっしゃった症状を上げておきましょう。

──立ち上がる時に立ちくらみのような目まいがする。じっと立っている
と、膝ががくがくして、場合によってはグルグル回る目まいになり、救急
車で運ばれたこともある。そのため通勤電車で立っていることができず、
朝早くの空いている電車で坐って通勤する。歩くには問題がない。

この人の操法にSさんという武道をしている人が見学にこられた。この症例
をどうすれば解決に向かうか。              (続く)

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生姜の薬効

路地裏の整体術 第772号 2015年1月30日
▼ 生姜の薬効

この頃「しょうが」が流行らしくて、雑誌の記事なども見かけるようになり
ました。しょうがは身体を温めるという薬効が注目されているからでしょう
が、少し注意が必要です。この話題は「からだほぐし教室」で出たものです。

確かに「しょうが」は漢方薬の成分でもあり、多くの漢方薬に「しょうが」
が含まれているようです。

山下弘『漢方薬全書』(緑樹出版)の一部を引用してみます。

──乾姜(乾生姜)しょうがの根を乾かしたものであるが、乾姜という
場合は、ヒネショウガの根を芋を洗う時のように水の中で洗って表皮を
取り、それからしばらく熱湯で煮た上で日で乾かしたものである。
大体しょうがは漢方薬にとって非常に多方面に使用されているが、そ
の中の乾姜は熱性興奮剤であって、新陳代謝を活発にし、冷え、嘔吐、
せき、めまい、腹痛などに効果がある。

これに対し、ウィキペディアでは次のようになっています。

──表面の皮を取り去り、蒸して乾燥させたものは乾姜(かんきょう)
と呼ばれる。興奮作用、強壮作用、健胃作用があるとされる。生姜より
も熱性が強い辛熱の性質があるとされるので胃腸の冷えによる機能障害
では乾姜を使う場合が多い。

加工方法についての記述が異なっていますが、いずれにせよ、しょうがの
成分に「ジンゲロール」があり、加熱・乾燥加工すると「ショウガオール」
に変わるということのようです。このショウガオールという成分の薬効が
強い。→ 二つの成分について、ウィキペディアに項目があります。

ところで、NHKの「試してガッテン」でしょうがが取り上げられていま
した。→ http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20100825.html
この実験結果が正しければ、しょうがは生で食べず、乾燥させてから食べ
るのがよいということになります。詳しくは、上記の記事を見てください。

『なぜ、健康な人は「運動」をしないのか』

路地裏の整体術 第771号 2015年1月29日
▼ 『なぜ、健康な人は「運動」をしないのか』

刺激的な名前の本です。『──病気の9割は「運動」が原因』と副題がつい
ています。この題名は出版社が付けたのだと思われ、表紙のどぎつい赤色と
相俟って、刺激だけで売ろうという本のように見えます。新刊書店で見つけ
て興味は持ったものの、買わずに済ましました。ところがこれが古本で出て
いたので、値惚れして、思わず買ってしまいました。

著者は「東京都健康長寿医療センター研究所」に所属する医師・青柳幸利さ
んで、出身地である群馬県中之条町(群馬県の中央部です)で長期にわたる
くわしい調査「中之条研究」をし、その結果に基いて結論をまとめた本だと
いえば、常識に挑戦するだけの怪しげな本ではないと分かるでしょう。でも
わざわざ買う価値があるかとなれば疑問です。僅かの内容を薄く引き伸ばし
一冊にまとめたような感じを受けます。立ち読みで十分だと思いました。

取り敢えず、この本のエッセンスだけを紹介しておきたいと思います。

中之条研究から得られた結果は、運動には量と質とがあって、量ばかり多く
てもいい結果にならない。質も強い運動をすればいいというものではない。
中程度の質の運動を中程度に続けるのが望ましい。老人がマラソンやジョギ
ングなど強い運動を続けると却って悪い結果になる。弱すぎる運動では結果
が得られない。結論をまとめると中程度の動きを20分ほど含む8000歩ほどを
歩くのが一番効果的である。

と、こういう常識的な結論になります。強すぎず、弱すぎずの運動を続ける
ことが、中之条町の人で健康で長生きの人の秘訣である、と言っているわけ
です。中程度の運動とは、どの程度のものか。著者が書いていることを私の
身体で試したかぎりでは、寒い中をうっすら汗ばむ程度に歩くのが中程度に
当たると思います。それをずっと続けるというのではなく、それが20分ほど
含まれていればよい。あとはぶらぶら歩きでもOKということです。頑張り
すぎないこと、という注意もついています。もちろん中程度とはどの程度な
のかは、人それぞれで、その人にとってちょっと強めと感じる程度にどどめ
るのが賢明ということだと思います。

中之条研究の結果から、これを続けることで予防できる病気として、要支援・
要介護、うつ病、骨粗しょう症、骨折、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、心
疾患、脳卒中、認知症、がん、が挙がっています。

「運動」をすれば健康になれるという常識に挑戦しているところが、この本
の価値だろうと思います。強すぎず弱すぎず、中程度の運動をすることが健
康につながりますよ、というのがこの本のメッセージのまとめでした。特に
早朝のきつい運動は危険だ、という警鐘も鳴らされています。

操法の効果

路地裏の整体術 第769号 2015年1月26日
▼ 操法の効果

しばしば的確な内容のメールをいただいて、ありがたい思いをする東京都のMさん
から次のような便りがありました。

──尾骨操法で背骨が真っ直ぐになり、肩の位置が整うとご紹介いただきましたが、
やって見ましたら、驚くほど整いました。今までもやっていましたが、意識を
変えて丁寧に行うことで更に効果が出ることに、改めて体は不可思議だと思い
ました。

これは、[第767号] の「ふたたび尾骨の重要性について」に言及したものです。
さて、ここで取り上げたいのは、尾骨の周辺を緩めることによる効果そのものは
さておき、「意識を変えて丁寧に行うことで更に効果が出る」という部分です。

多くの操法は手で行いますから、手の動きが同じなら効果も同じかというと、そう
ではないことが多い。同じ動きをしても、効果が高い時と効果が出ない、あるいは
出にくい時があります。

人によっても効果が違います。Aさんがやったら効果が出たが、同じことをBさん
がやっても効果が出ないということは、しばしばあることです。こんな差を一つの
原因に帰することはできません。効果が出るに当たって、さまざまな条件が取り巻
いているからです。患部の状況が違う、全身の状態が違う、手の触れ方が違う。力
の掛け方が違う、など、さまざまな差があって、一つの条件だけで比較するのは難
しいことが多い。

ところが、これこれの操法をやってみたけれど、効果が出ないと質問してくる人が
います。こういう質問には答えようがないわけです。私としては、色々なケースに
試してみて、この操法は使えると判断しテキストなどに載せています。ですから、
条件が変わると、効果が出ないことも当然あります。逆に、私としては効果を感じ
なかったから削除してしまったとか、テキストに載せていないとかいう操法を試し
てみたら効果があったという人もいるに違いありません。

こんな、人と機会の違いによる差は、常につきまとうことで、これは操法について
語る時の難しさでもあるし、また面白さでもあると私は思っています。操法は本当
は一回限りのもので、普遍化すると、すでに違うものが入り混じってしまうのかも
しれません。そんなことを感じることもあります。

これは操法だけでなく、武術の技などでも同じような事情があるかもしれません。
「論理」として整理しておけば、それぞれの操法に、一回かぎりの【個別性】と、
常になりたつ【普遍性】とがあり(ここで、あり、というのは、ばらばらにあると
いうのでなく、個別性と普遍性とが複合しているという意味)、この2つを明確に
区別し、意識して使えれば操法がうまく使えるようになるのではないかと思います。

特に差を生む大きな違いは、操者の【意識】ではないでしょうか。ある操法に取り
組む時に、操者がどのような思いを持って取り組むのか、その違いが結果に大きな
違いを生むようです。Mさんの指摘されているのも、この点ですね。ところが注釈
がここで必要になります。【意識】だというと、操法の時に、「この骨、動け」と
思いながらするのですか、と尋ねる人が必ずいます。私の使う操法にそういう方法
もありますが、特殊な場合だけで、通常は、そういう意味では、何も【意識】して
いない。

というと、一方で「意識が大切」と言いながら、一方で「意識しない」というので
は、どうすればいいか分かりません、という人がいるでしょう。もう少し解説して
みましょう。「意識が大切」という時の「意識」は、意識の中で「個別性」と「普
遍性」とを意識して区別することを指しています。ですから、操法の時には、その
「意識」は消えて背後に退いているわけです。「意識していない」というのは操法
する時に、変化させようとしている動きを「意識していない」ということで、操法
は淡々と行なう。しかし、その背後に、問題の部分についての「意識的な」分析が
行われている、ということです。

操法にとりかかる前に、問題部分に関する分析が意識して十分に行われている必要
がある(もちろん腕組みして、じっと考えているわけではなく、分析は瞬時に行う)。
その上で、操法する時には、きばらず、淡々と行ないます。

ここで、Mさんのメールに戻ります。同じことをやるにしても、その操法をするの
は、どういう目的であるかが意識されているかどうか、そこのところの違いが操法
の成否を左右するのは、まことに不思議である、とそういう意味に私は読みました。
「骨が動け、とうんうんうなりながら」操法するという意味ではありません。

こういう話は、いわば上級クラスの話しで、単にこうすればいいと手をとって教え
られることでもありません。本人が実際の操法を繰り返す中で、会得する他ないと
思いますが、そのきっかけは提出しておきたいと思って、今回のマガジンを書きま
した。

ふたたび尾骨の重要性について

路地裏の整体術 第767号 2015年1月15日
▼ ふたたび尾骨の重要性について

本誌では、尾骨の重要性について繰り返し書いています。興味のある方はHP
を見ていただくと、その項目が出て来ます。

Aさんとしておきましょう。歳のころは70歳すぎ、たいていは、操法を始める
時に背もたれのない椅子に坐っていただいて、背中の様子を見せてもらいます。

そうするとAさんの背骨は上の方が右へ右へと曲り、右肩が下がっています。
こういう時は、左腕に問題があって、胸椎の上の方が左へ引っ張られている
ことが多いものです。そこで左腕を調べて、できるだけ緩めるようにしてみた
のですが、肩の高さが変わりません。背骨も右へ右へと曲がったままです。

背骨の歪みは、尾骨に原因のあることが多いものですから、尾骨を調べてみま
す。すると、尾骨の先が左へ大きく曲がっています。そして、その付近に拘縮
があります。「拘縮」と書くと、何だか難しそうですが、ようするに凝り固ま
っている硬いところがある。尾骨の左と右を較べてみると、明らかに左右差が
あって、左が圧倒的に硬い。

これまで尾骨は、共鳴法を使うか(これが一番簡単で効果も高い)、黒川メソ
ッドの方法を使うか、どちらかで、拘縮をほぐしてみたことはなかったのです
が、この時は、これをほぐしてみようと思いました。この時使ったのは、指圧
棒(百均で売っています)です。

拘縮を緩めた後は、足の毒出し点(第4趾と第5趾の中間)を指圧棒でぐるぐ
ると刺激します。「毒出し」というと些かの問題があって、顔をしかめる人も
いるかもしれません(どんな問題であるかは敢えて書きません)。しかし、私
が色々やってみたところでは、効果が確かにあります。

何事でもそうですが、レッテルを貼って、それで批判した気持ちになる人が多
い。批判するなら、よく調べてからにしないと勿体ないことがある。よく調べ
試してみて、効果がないとか、逆効果ということになれば、捨てればいいと、
私は思います。

で、指圧棒を使って、拘縮を緩め、毒出しをしてみた。そして再び椅子に坐っ
てもらった。すると、それだけで背骨はまっすぐになっていました。右へ傾い
ていた弯曲が消えたことになります。

尾骨周辺の拘縮が背骨全体にどれほど大きな影響があるか、ということが、
これで実証できたわけです。尻餅くらい、と馬鹿にできません。それも古傷が
何年も後になって影響しているのですから、古傷は怖い。何か深刻な症状を
持っている人は、自分の過去に打撲などがなかったか、よく考えてみると、
思い当たることがあるかもしれません。

尾骨周辺の拘縮を緩める方法は、以上に書いた方法でなくても構わないと思い
ます。あなたが得意な緩め方でいいのではないでしょうか。しかし、緩めた後
「毒出し」をしておくのは、理由はよく分からないものの、効果があると私は
思います。

肘の影響

路地裏の整体術 第763号 2015年1月2日
▼ 肘の影響

肘(ひじ)は上半身の中でも重要な個所です。ちょうど膝が下半身に与える
影響に相当する重要性を持っています。しかし、その重要性が必ずしも認識
されているとは思えません。このことについて、すでに[第751号 ある肘痛]
に書きました。今回は、さらにいくつか重要な点を付け加えます。

肘関節がどのような構造になっているか。これについては骨の写真を検索す
れば多数出てくるでしょうから、あえて触れませんが、肘の重要な構造は、
上腕骨で出来ていること、上腕骨の中に、尺骨が包まれて回転している関節
になっていることを頭に入れておけば、何が重要かは自ずから明らかです。

肘関節は、尺骨が上腕骨の中で前後に屈伸する動きだけをする。そう思われ
ています。大きく見れば、その通りです。しかし現実の肘をみると、そうは
なっていない。すべて関節には、独自の「あそび」があるのでしょう。独自
という意味は、この関節だけの独特な、という意味もありますし、その人の
肘に特有の、という意味もあります。

膝の場合には、「不等円運動」という「あそび」による運動があって、これ
が膝の自在な動きを確保しています。肘には、そのような「あそび」がない
ので、自在な動きというわけには参りません。膝と肘の動きで決定的に違う
のは、関節のところで捻れるかどうかですね。肘は捻れる構造になっている。

そのために何が必要かと言えば、屈伸の動きだけではなく、内外にあそびが
あることです。これは肘の動きからすると、利点ではありますが、そのこと
がアダになって、肘の故障が起きやすい。つまり肘は屈伸の動きをするだけ
と思っていたら、内外にも少し動いてしまうわけです。

特に前腕を内側へ捻る動きが多いですから、肘が外側に向けて変位すること
が多いようです。すると、肘頭の外側の凹みに圧痛が出る。その辺りを触っ
てみると、何か少し違和感を感じる人が多いことでしょう。人によっては、
さらに外側上顆炎(テニス肘)という状態になっているかもしれません。

こういった異常の直し方については何度も書きましたので、今回は肘の異常
が、どのような影響をおよぼすかについて。

大きな影響は、肩に及ぼすものです。これは肘の内側つまり採血点に現れる
もので、採血点から肩に向けて、上腕二頭筋に沿って引っ張るらしい。する
と、肩の三角筋のところに拘縮が起きて、スジ状の凝りが出てきます。たい
ていの人の肩を触ってみると、三角筋のところに拘縮があるものです。例え
ば五十肩の場合に、この拘縮が肩を固めています。だから五十肩の人を操法
する時は、肘を改善することが必須になります。

この関係は、五十肩に限らず、肩が重いという時にも、肘を改善することが
できれば重さが軽減するはずです。

もうひとつの影響は、同じく肩に及ぼすものですが、橈骨の捻れ・下垂に伴
って、上腕の後ろの上腕三頭筋に沿って引っ張るもので、ここが硬くなって
いない人はいないほどです。いつかも書いたように、ここが硬くなっている
と、両肩のバランスがおかしくなる。肩の高さが違う人は、上腕三頭筋の不
吊り合いを抱えています。

というわけで肘に異常があると、上腕の前後から肩を引っ張って肩の動きを
制限します。簡単に言ってしまえば、肩の運動制限があれば、肘をよく調べ
ること、と言うことができるでしょう。

ただし書きをつけておくと、肘を改善するためには、手首から前腕の開きを
改善することも必要です。どうすればいいかはお考えになってください。

膝痛の直し方

★メールマガジンに掲載した記事をHPに掲載する努力をしているものの、作業に時間がかるので、進んでいません。そこで、当分このブログに掲載することにしました。

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第760号 「膝痛(10)」 14/12/15

左膝が痛くなりました。年齢相応というべきか(来年は数え年68ですから)。電車の中だったので、余り怪しい振る舞いもできない。鞄に金と銀のペンが入っているはずなので、それを使うことにしました。

左足の靴下を脱いで(これだけでもかなり怪しいか)、足首の外側に金色の線と銀色の線と、二本の線を引き(めちゃめちゃ怪しい)、共鳴法を使って下腿を締めます(いよいよ髭面の怪人物に見えたでしょう)。

さて、これで理論的には痛みが消えるはずです。立ち上がって通路を歩いてみると、見事に痛みが消えています。以上の操法は、ひざ痛に対処する基本の操法です。

少しご説明しましょう。

膝の悪い人を観察してみると明らかな共通点があります。患側の下腿が開いていることです。下腿の脛骨と腓骨の間隔が開いてしまっています。結果、膝の半月板の位置が悪くなっている。そのために痛みが出るのだと考えられます。あるいは、半月板の周辺にある組織が伸びたり縮んだりして、緊張が生まれています。これが痛みを引き起こす。

脛骨と腓骨の間隔が開くと、どうなるか。下腿に緊張状態が生じます。言い換えると、下腿の二本の骨が互いに反対側へ突っ張る。そのため、下腿を誰かに強く握られると痛みを感じます。突っ張りの程度が低い場合は、握られると気持ちいいかもしれません。いわゆる「いたきも」というやつです。

江戸時代の旅人は、これを防ぐために下腿に脚絆(きゃはん)を巻いていた。いまでもネットで脚絆を売っているらしく、次のところで「大津脚絆」というのを売っています。

http://store.shopping.yahoo.co.jp/kameya/nm-5145.html 足袋のように「こはぜ」のついた江戸脚絆というのもあるそうです。

ですから、これらは下腿がむやみに開かないように当てているサポーターの役目をしています。ということは、膝が痛い人は、脚絆を当てると少し楽になるかもしれません。私は試したことがないので、これは当て推量ですが。

操法としては、どうすればいいか。下腿に対応するのは、小指の中節骨ですから、中節骨をつまんで、上下にパッと離すようにすれば締まります。この説明では分かりにくいでしょうから、詳しくは共鳴法教本をご覧ください。
http://shugeitei.com/stext.html 教本の「脛腓間を締める」の項目。

さて、脛腓間が開くとどうなるか。その影響で、足首がおかしくなります。足首の内側と外側の緊張関係が正常であれば、足首がおかしくはならないと思いますが、開いてくると、腓骨が開くだけでなく、腓骨が下がってくる。すると外側(外果の側)の緊張状態が強くなります。腓骨が下がることで、下にある距骨が内側へ押し付けられる。すると、距骨は内側へ寄ってくる。その程度がひどいと、内果の下に圧痛が出てきます。足首の「内反」という状態になっているかもしれません。《説明がくどくてすみません》

以上のような考え方が正しいとすると、下腿を締めると、内果の下の圧痛が消えるはずですが、やってみると、確かにそうなります。金・銀二本の線を引く操作は、距骨を引き締める効果がありますから、足首の側から、下腿を引き締めていることになります。ちなみに線の引き方はこちらです。

→ http://shugeitei.com/foot.jpg

足底から1センチほどのところに足底に平行に「銀線」を引く。長さは5センチほど。次に外果の下1センチほどのところに平行に「金線」を引く。長さは同程度。これで、銀を引いた踵骨が距骨の方へ引き締められる。と考えても、距骨が踵骨に引き締められると考えても同じですが、これで、内果の下にある圧痛が消えるはずです。ついでに、踵骨の周辺にある各種の圧痛も消えてしまうことが多い。

以上で踵骨・距骨のがたつきが改善します。次に脛骨・腓骨の開きを共鳴法で締めますと、膝の調子がよくなってくるという順序です。他の方法で締めても構いません。例えば母趾操法。このやり方は操法テキスト基本編にあります。→  http://shugeitei.com/stext.html

要するに、膝が痛いというのは、下腿や足首の骨が開いて緩み、それにより膝もガタついてきているという現象であることが分かります。O脚の人が膝を傷める理由もよく分かるというものです。

で、おれの膝はどうすれば治るんだといま思っている方は、上の説明の要点、線の引き方とか、下腿の締め方とかをやってみてください。