頚椎と腰椎の対応

路地裏の整体術 第789号 2015年4月7日
▼ 頸椎と腰椎の対応

頸椎(けいつい、頸の背骨)と腰椎(ようつい、腰の背骨)とが対応している
という趣旨の記述や図表などを本でみかけることがあります。この意味を気に
も止めていなかったのですが、事実として、腰椎を調整すると頸椎が整うので、
皆さんに確かめていただこうと、からだほぐし教室で試すことにしました。

頸椎がおかしいとか、どこかの整体で頸椎を整えてもらったら、逆におかしく
なってしまったとか、頸椎の故障を訴える人をたびたび見かけます。頸椎には
横に肋骨のような骨が付属していないために、変に力がかかると、大きな変化
を起こしやすいのは事実です。そのため頸の骨を急激に動かして調整する方法
は危険だとして厚生労働省が禁止の通達を出して(しかし事実上、この操法を
やって頸椎をおかしくしている不慣れな操者が多数)います。頸椎の横を徒に
ゆるめるのも感心できません。頸椎の横が硬くなっているのは、頸椎がぐら付
くのを防ぐという自然の智慧が働いているというべきです。

そこで、どうするか。伏臥(ふくが、下向き)に寝てもらって、腰椎の棘突起
(きょくとっき、背骨の一つ一つの骨の突起)の上に指先をおいて、静止させ
ておく。正確に言えば、歪みのある方向にわずかの圧をかける、ということに
なりますが、棘突起の上に2分ほど指をおいておれば、自然に調整できます。

腰椎を下から順に、腰椎1番まで調整し、最後に頸椎1番の後ろに愉気(ゆき)
をして終わりにしました。これで、坐って頸椎を動かしてみると、概ね動きが
改善していました。もちろん中にはこれだけで改善しない個所があるかもしれ
ません。そこには別の操法が必要ですが、まずは頸の動きがよくなります。

私は教室参加が初めての方と組んで、上の操法をやってもらいましたが、終っ
て頸を確かめてみると、見事に動きがよくなっていました。つまり初めての人
でも頸椎を改善できると実証されたことになります。

もちろん、詳しく言えば、仙骨を整えた方がよいとか、尾骨の調整も忘れずに
やった方がよいとか、色々な条件がありますけれど、大まかに痛みが消えれば
よい、という程度であれば、誰でもできます。

特に、頸椎2番は頭痛と関係していますし、腰椎2番は膝痛と関係しています。
ですから、膝痛と頭痛は2番同士の対応を通して関係していると思われます。
分かりやすくいえば、頭痛のある人は脊柱の左右バランスに問題があり、膝痛
の人も脚の左右バランスに問題がある。頸椎の左右バランスは頸椎2番の位置
にあり、腰椎の左右バランスも腰椎2番の位置にあるという結論になります。
そして、その根源に左右の足の距骨のバランスがあります。

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「坐骨神経痛」という症状

路地裏の整体術 第785号 2015年3月24日
▼ 「坐骨神経痛」という症状

「坐骨神経痛」 だ、と言って来られる人がこのところ多いように思います。ウィキ
ペディアによれば、

──坐骨神経の走行に沿い、一側の大腿後面から足まで放散する痛みが
特徴的である。low back pain より強い一側の下肢痛、足かつま先に放散する
痛み、痛みと同領域の異常感覚、ラセーグ徴候で陽性、1つの神経に由来する
神経症状によって坐骨神経痛と診断される、 その日の健康状態や体調によって
痛さや箇所が変わることもある。

ここで 「ラセーグ徴候」 とは何か。左右どちらか一方の脚をまっすぐに伸ばしたまま
挙げた時に、脚の裏側から膝にかけて痛みが出て、それ以上は脚を挙上することが
できない状態になることを指しています。原因についてウィキペディアには次のように
書かれています。

──原因はさまざまであり、坐骨神経の圧迫、脊椎神経根の圧迫、梨状筋症候群、
腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、腰椎すべり症などが原因とされている。
最も多い原因は腰椎椎間板ヘルニアであり、約90%の坐骨神経痛はこれが原因と
されている。

この記述が正しいとすると、ヘルニアや狭窄症・すべり症などが治癒しなければ
消えないことになります。しかし、そうだろうか。

先日の男性は、坐骨神経痛の症状を訴えて来られましたが、左脚をみると、腓骨が
異常に下がり、脛骨がたわんでいる状態でした。つまり体重が異常に左脚にかかって
しまっている状態で、どう考えてみても、この脚の状態で痛みが出ているのは当然
と思われました。「坐骨神経痛」 と言って来られた時、私は常に脚に注目します。
定説によれば腰も関係していることになるのでしょうが、どうもそうとは思えない。

腓骨が極端に下がって外果が大きく出っ張っています。足首が内側へ曲がって
しまっていますし、異常な脚という印象です。そこで、腓骨を上げ、腓骨と脛骨の
間隔を締める方法を施しました。言葉だけで説明するのは大変ですが、次のように
します。

左脚の場合。操者は左側に位置する。腓骨頭を右手の親指で下方から押さえ、残りの
4本指は膝の皿に引っ掛けます。左手の親指を使って受け手の足母趾をつかみ、
本人の足首を外回りに(足の外側から内側へ向けて)回す。この動作を繰り返して
いると、腓骨が少しずつ上がり、脛骨のたわみが消えて行きます。時々母趾操法を
して、脛骨・腓骨間の開きを詰めて行く。

これを続けて行くと、外果の飛び出しが少しずつマイルドになり、足首周辺の
形の尖った印象が薄らいで行きます。腓骨が下がってくると、体重が外寄りになって
O脚もひどくなりますが、腓骨の下がりが改善するに連れて、O脚も改善して
きます。一見原始的な方法ですが、これがよく奏功する。

最後に腰椎の歪みを、操者のやりやすい方法で改善させる。そうして立ってもらい
ます。ご本人は、これで不思議そうな表情になって「痛くないです」と言うことに
なりました。腰椎の歪みは、骨盤が左に傾いて、体重が左に余分にかかる状態に
なっているために、左に捻れる状態になっているわけで、腰椎への操法は、その
状態を改善するだけでよい。狭窄症だとかすべり症だとかは気にしなくても、
そんなにひどい症状でない限り大丈夫です。

こんな説明でお分かりになったでしょうか。分かりにくいとおっしゃる方は、
朱鯨亭においでください。

いずれにせよ、「坐骨神経痛」 という怖そうな名前がついていますが、さほど
恐ろしい状態ではないということ。自分の症状に恐ろしげな名前を付けられて、
凹んでいる人がどれだけ多いことか。下手な名前は人を救うことになりません。
「ヘルニア」 とか 「狭窄症」 とかも同じです。手術しかないと覚悟を決めている
人は、名前の脅しに乗らないでほしいと、いつも思うことです。

論理のレベルについて

路地裏の整体術 第786号 2015年4月2日
▼ 論理のレベルについて

──私が、かくかくしかじかの操法をしてみたら、こうなりました。
なぜでしょう?

とか、

──私が、かくかくしかじかの操法をしてみたら、うまく行きません
でした。どこかが間違っているのでしょうか?

こんな質問を頂戴することがよくあります。講座の席上でも、メールでも。
でも、ちょっと待っていただきたい。

人の身体は、一人ひとり違っています。身体を取り巻いている状況も、その
時々でさまざまです。大げさに言えば、この世界で起きていることがらは、
すべて一回かぎりの【個別性】のレベルにあるからです。Aさんが操法する
のと、Bさんが操法するのとでは、当然違った結果が出ます。操者の違い
だけでなく、受け手の違いもあります。Cさんの身体の反応と、Dさんの
身体の反応とは当然ながら違いがあります。

テキストにこう書いてあったけれど、やって見たらうまく行かなかったと
いうようなことは、私自身がたびたび経験していることで、言わばそんな
ことは「当たり前」のレベルの話です。そういうことは前提としてテキスト
に含まれていると考えてもらわないと、無数の質問を受けて、私は身体が
いくつあっても足りないことになります。

また同じCさんの身体でも、全力疾走をした直後の身体の状態と、寝室で
熟睡した後の身体の状態では、まったく違うと言っていいでしょう。また
同じ人でも、心の状態によって身体の状態が変わることも珍しくありません。

ですが、そこに共通することがらも当然ながらあります。骨盤が右前に
捻れている人であれば、右前に捻れている人に共通の特性があるに違い
ありません。左前の捻れの人には、左前に特有の性格が見られるかも
知れません。右前の人に共通する【特殊性】とか左前の人に共通する
【特殊性】とかがあるわけです。

ですから操者として私は一回一回の【個別性】のなかに見られる【特殊性】
を意識して、この場合は、こう、その場合は、そう、と【特殊性】を整理
しながら操法をして行くことになりますし、講座で話をしたり、メルマガに
何かを書いたりしています。

お分かりでしょうか。一回一回の【個別】のレベルで体験したことを、その
まま「こうだった」と放り投げても、それは一回一回違うとしか言えません。
そういう質問は、質問にもならないし、時間の無駄にしかなりません。質問を
投げかけるなら、せめて、この【個別】の出来事の中にどんな【特殊性】が
隠れていたかを明らかにして、「こういう条件の時に、こうこうでした」と
問いかけるのでなければ意味がありません。

つまり操者がこういう条件にあって、受け手がこういう条件にあり、その
結果こうなった、なぜか、と問いかけるなら、問われた方も、その条件なら
こうこうです、と答えやすい、ということです。

論理のレベルということで言えば、さらに【一般性】のレベルもあります。
この場合はこうだ、という【特殊】な場合と(たとえば右前の人ではこうだっ
たというような)、別の【特殊】な場合(たとえば左前の人ではこうだった
という)とをつなげると、右前であろうと、左前であろうと、こういう操法
を施すと、こういう結果になるという【一般性】(普遍性といってもよい)
にたどり着きます。ここまで来ていれば、質問にも大いに意味があります。
(いうまでもないことですが、うまくいかない場合もここに含まれています)。

質問するというのは、実は【個別】から【特殊】を経て【一般】のレベルまで
を含んでいるので、生易しいことではないと言えます。質問をする時は、
自分が【何を尋ねたいのか】を自覚して、頭の中をしっかり整理してからに
していただきたいと思います。

これは時間を無駄にしないための、私からのお願いです。

毒出し法、その後の後

路地裏の整体術 第780号 2015年3月6日
▼ 毒出し法、その後の後

昨日のからだほぐし教室で、毒出し法の効果について報告がありましたので、
ご紹介します。今朝、Mさんがメールで詳しく送ってくださったので、それを
以下に転載します。これは参考になります。

──やり方は第四指と第五指の間に、足指パッドをはさんで靴下を履き、寝る
だけです。

効果は

▼朝目覚めた時、ドライマウスで口のなかが、カラカラになるのがマシだった。

▼目覚めた時の背中・首の違和感が軽減されている。

▼日中も肩甲骨周り・首の違和感が軽減されている。

▼仰向けに横になる時 めまいがでない。(普段Mさんには、この症状がある)

▼睡眠が深くなった。

以上です。私にはありがたい技です。今夜は手の指にも挟んで寝ます。

手当て【続】

路地裏の整体術 第782号 2015年3月16日
▼ 手当て【続】

前号の「手当て」について、Oさんから次のようなお便りをいただきました。
とても興味を唆られましたので、ご紹介します。

──整体の仕事をしているわけではないのですが、記事がいつも面白いので拝
読しています。「手当て」のメルマガを読んで、お伝えしたいことがあった
のでメールしています。

実は私のパートナーが、この手当てができる人なんです。

専門があるらしく、彼は火傷を治すことができます。患部の広さにもよりま
すが、手のひらもしくは指先を、近距離でありながら触らない距離に当てて、
動かすのです。魔法をかけられているようにも見えるのですが、こうして火
傷による熱を取り除いているそうです。

ある日、湯たんぽのお湯がこぼれて私の太ももに熱湯がこぼれ落ちて、3度
の火傷を負ったことがありました。皮膚がめくれ上がって、とても痛くて、
泣き出しそうでした。いえいえ、しっかり泣きました。パートナーが手当て
を40分ぐらいしてくれたのですが、その後は痛みがなくなって、通常通りと
変わらず眠ることもできました。子供の頃から火傷は何度かしていますが、
大抵、痛みが続くものです。とても不思議でした。

あとで、パートナーが言っていましたが、実はこの夜ビールを飲んでいて、
ちょっと酔い気味だったので、効くかどうか分からなかったとのこと。しか
も、この手当てをするには、エネルギーも消費するので、疲れているときに
は効果が、 元気な時と比べて低いこともあるということも触れていました。

パートナーがどのようにこの手当ての方法を得たかというと、母親から譲り
受けたのだそうです。決まりはひとつ。お金を取らないこと、と言われたと
言っていました。世の中には、このような手当てができる人が沢山いるよう
ですが、暗黙の了解で本来なら経済的な利益を得てはいけない、ということ
があるようです。

★私も同じような経験がありました。妻は肩が凝っていると、肩にカイロを貼っ
ていたのですが、そのうちにうたた寝をしてしまい、起きてみると、肩の皮膚
が赤くなったと騒ぎ出したのです。低温やけどをして病院に駆け込むと、大変
な「治療」をされるようで、私も少し焦ったのですけれど、気をとりなおして、
長時間手当てをしてみることにしました。手当ての時間は通常は数分程度です
が、この時は1時間やりました。すると赤変していた皮膚が普通の色に戻って
おり、痛みもありませんでした。やれやれ。

Oさんは「近距離でありながら触らない距離に当てて、動かす」とお書きです
が、私の場合は、衣服に直接当ててやりました。動かしていません。「経済的
な利益」はもちろんありません。

手当て

路地裏の整体術 第781号 2015年3月9日
▼ 手当て

──痛いとき、自分で何かやるとして、どうしたらいいですか?

これはよく頂く質問です。もちろん場所によって色々な方法はあるわけです。
でも操法家が使う方法は、たいていが複雑であるか、またはそれなりのコツが
あって、一朝一夕で身につくものではありません。

その証拠に書店の店頭には、健康本が山ほど積まれていて、あきることなく、
次から次へと同じようなことを書いた本が出てきます。そういう本が成り立つ
のは、簡単に身につくようなことが書いてあるけれど、現実にはそう行かない
という証拠かな、と思っています。

そこでどう答えるのがいいか。私は断然「手当て」がいいですよ。と答えます。
痛いところがあれば、そこに手を当てる、不都合なところがあればジッと手を
当て続ける。「手当て」というのが一番だれにでも理解してもらえる言い方で
しょう。

昨日もそんなやりとりをしましたので、これは何度でも書いておいた方がいい
と思って書いています。もちろんHPには野口晴哉の「愉気」について書いて
いますし、「松本道別」の項目には「輸気」について書いていると思います。

しかし、「愉気」とか「輸気」とか言っても、一般の人たちに簡単に分かって
もらえるわけではありません。やはり「手当て」といった方がわかりやすい。

世の中には「手当て」専門の操法家もいて、それぞれの流派によって一家言が
あり、そのやり方を教えるだけでウン十万円などというところもあるようです。
難しく説明しだすと方法が色々あり、それなりの修行をしないことには、使え
ない、という考え方もあるのは、分かりますが、そんな難しいことはともかく、
痛いところに手を当ててみることから始めればどうでしょう。痛みが消えると
納得できて、次回から、こういう風にやってみようと考えるようになっている。
それが出発点です。

注意事項があるとすれば、手当て、といっても初めての人は力をかけてしまい
やすい。ぐっと押してはダメです。そっと触れている程度がいい。具合の悪い
ところにそっと指先を当てている、あるいは面積が広いところであれば手の平
をそっと当てている。それだけ。初めは家族にやって上げる。

色々試してやっているうちにやりかたも上達して行くかもしれません。腰痛が
直せるようになるかもしれない。皆さんのご精進を期待します。

毒出し法【その後】

路地裏の整体術 第778号 2015年2月28日
▼ 毒出し法・その後

先日、本誌で取り上げた「毒出し法」について三名の方からご意見を伺いまし
たので、ご紹介します。

【1】Mさん(東京都在住)この前の「小指と薬指の間にペンを挟む」という
方法を読みまして、以前お世話になった京都の先生のことを久しぶりに思い出
しました。http://yasuda-iin.jp/feature/#book
凝っている側の小指を丸めてティッシュ等を握っているとコリが取れる、また
歩きながら行うのも良い、とのことで歩きながら小指と薬指の間に(ペンでは
痛いので)ハンカチを折ったものを持っているとバランスが良くなる感覚があ
ります。(その時々で左右を変えます)

▼なるほど、ペンのような硬いものでなく、ティッシュやハンカチのような
柔らかいものを挟むとよい、というご意見ですね。これは試してみましょう。
ついでにこの安田先生のやり方は面白い。「ホムンクルス」という小人を身体
のあちこちに見つけて、それを使おうという「共鳴法」と同じ発想法です。
これも参考にさせていただきたいと思います。

【2】Nさん(山口県在住)(電話で)クルクル回す代わりに、毒出し点を
ぐっと指で押えると、上の方まで効いてくる。足の毒出しをすると、股関節の
辺りまで効いてきます。こんなポイントをよく見つけたものだ。

▼これは上記Mさんが「軟」派とすれば「硬」派というべきでしょうか。経穴
もそうですね。古代中国の人たちは、よくあれだけ(361穴 とかいいますね)
のものを組織的に発見したものだ、と感心します。「奇穴」という登録されて
いる経穴以外のポイントも色々とあるみたいで、これからも色々な新穴が出て
来るのかもしれません。

【3】Kさん(奈良県在住)(からだほぐし教室の発言から)教室で前回、
肩の高さが揃ったという方から──一週間後に、今でも効き目があるようで、
肩が揃ったままでした

▼このように、色々な方面からご意見をいただくと、非常に参考になります。
自分ひとりで試してみるのには限界がありますから。自分の身体だけで試して
結論づけてしまうのは、危険でもあります。これからも、小さな気付きも歓迎
しますので、何なりとご意見を送っていただけると、ありがたい。