806 頭の形

路地裏の整体術 第806号 2015年6月12日
▼ 頭の形

頭蓋骨は硬くて、頭の形は変化しないものだと思われているかもしれません。ところが、詳しく観察してみると、けっこう変化しているものです。

他人の頭を触って、その形がどうだこうだと論評するのは失礼にあたるかもしれないので、自分自身の頭の形を調べてみれば、どうでしょうか。

まず、寝る前に自分の頭部を押さえてみて、ほぼどんな形になっているかを覚えておきます。後頭部の左が出っ張っているな、とか、頭頂部が硬くなっているな、とか、色々感じることがあるはずです。

次に、朝起きた時、その頭部がどんな形に変化しているかを感じ取ってみるわけです。

夜中にトイレに立つようなことがあれば、その時の形も観察しておきます。

すると、寝る前、夜中、起床時で、それぞれ形が微妙に違っていることに気づくことでしょう。

昼間の偏り疲労で、体幹部が歪んでくる。それが寝ている間に、徐々に修正されて行くことに気づくことができると思います。

だからどうなのだ、と尋ねられても、結論はありませんが、毎日の生活の中で、身体が変化し、それが睡眠によって自動的に修正されているのは、生命の叡智というべきでしょう。

毎朝、自分の顔を眺める人は、顔がどのように変化して行くかを観察してみるのも興味深いかもしれません。

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804 片側ラジオ体操

路地裏の整体術 第804号 2015年5月25日
▼ 片側ラジオ体操

第801号「偏り疲労」で行きやすい方へ動かす方法をご紹介しました。これを読んで長野県のTさんが「片側ラジオ体操」を試しにやって見られた。ラジオ体操は左右・前後を平等にする体操ですが、これをやりやすい側だけやってみようというわけです。Tさんのメールにあったのは、次のような提案でした。

──今回のメルマガを見て、こんな事をやってみたら面白いかも!!と思ったことがあります。ラジオ体操のやりやすい側をまずチェックして、その後やりやすい側だけ通しでやってみる。その後左右両側でもう一度通しで体操してみる。どんな感じになるか、試してみます。(^o^)

なるほど、これは面白そうですね。何事にも実験精神を持って挑む人が私は好きです。で、続報は、次のようでした。

──あれから1週間、片側ラジオ体操やってみました。

(どちらがやりにくいに傾向はあるか?)
正直、左右の差が微妙なものも多く、判定がしづらいものもありましたが、結構毎日変化しました。前日・当日の偏り疲労が体に現れてきているのでしょうか? 自分は毎日同じ動作を行う仕事ではない《林業だそうです──編集者注》のですが、工場のラインで作業している人など決まった体の使い方をする人は、同じ側にやり
にくさが出てくるかもしれません。

(ラジオ体操10番目の体を回す体操について)
これは、何度やっても片側だけだと目が回り(時には気持ち悪くなり)、慣れませんでした。明らかに両側とも体操した方が気持ちいいと感じます。

(体操すると楽に感じる場所)
脊柱起立筋

肩甲骨周り

余談ですが、自分は疲れると腰周りに問題が出るのですが、この1週間でそれが大きく改善するほどの効果は得られていません。

(その他)
この体操を行うにはラジオ体操を2回分、検査を含めて10分以上かかります。正直結構手間です。
どんなに良いものでも、手軽にできるものでないと、なかなか継続できるものではない、と自分は思うのですが、
この体操はそういう意味ではちょっとクエスチョンマークかもしれません。しかしながら効果自体は感じられるので、13種類ある体操をひとつかふたつ抜き出して、たとえば呼吸法と合わせてやってみるな どはいい方法かもしれません。

また、複数の方で実験すると、どんな結果が出るのだろう?とも思っています。

こういうことを考慮した新しい体操が誕生すればいいですね。ただ、一人ひとり違ったことをやるとなると、ピアノに合わせて、というのは少し無理かもしれません。毎日、パソコンと取り組んでいる人がこの体操をやると、どうなるか。興味が湧くところです。

手をついた

路地裏の整体術 第803号 2015年5月21日
▼ 手をついた

久しぶりに来られたFさん。肩が痛いのだと言われます。どうしたのですかと
伺ってみると、転倒して手をついた時から痛くなったそうで、手をついて肩が
痛くなるのは、よく見かける例だと思います。Fさんは腰も調子が悪いという。

手を地面につくと、上半身の重みが手首にかかります。で前腕の橈骨と尺骨の
間が開いてしまうと同時に、橈骨と尺骨のあいだの関節の動きが悪くなります。
「下橈尺(か・とうしゃく)関節」と呼ばれる関節です。

この関節が大丈夫かどうか調べようとすれば、どうしたらいいか。この関節の
両側に「茎状(けいじょう)突起」と呼ぶ出っ張りがありますね。「手の踝」
と言っても間違いではない二つの出っ張りです。親指側には「橈骨茎状突起」、
小指側に「尺骨茎状突起」があり、この二つは橈骨と尺骨の末端をなしている。

そこで、この二つの茎状突起を、操者の手の指で甲側・掌側から挟み、動かし
てみましょう。どうするかと言いますと、例えば故障を起こしたのが右手だと
しますと、尺骨茎状突起を操者が左手の親指と人差指ではさみ、橈骨茎状突起
を右手の親指と人差指ではさみます。

そうして、どちらか一方を甲側へ、もう片方を掌側へと反対方向に動かしてみ
ます。次にどちらもその逆の方向へも動かしてみます。何も問題がなければ、
どちらへでも自由に動きますが、故障があると、動かそうとした時に、動きが
悪く、硬い感じを受けるはずです。

どちらが行きにくいかが分かれば、行きやすい方向に、わずかに動かす気持ち
で、しばらくじっと持続すると、動きがスムーズになります。

で、この下橈尺関節が正常になると、肩もよくなるはずです。手首の動きの悪
さが肩にまで影響しているわけです。Fさんの場合は、それにプラスして、肩
関節の前方転位を直す必要がありましたが、いずれにせよ、基本は下橈尺関節
の狂いにあったということです。

この関節は大きく動く関節らしい関節ではないので、あまり注目されていない
と思いますが、この動きが悪くなると、他の場所の故障につながります。例を
上げると、この関節がよくないと、腰椎5番が整いにくい。腰椎5番と仙骨の
間の腰仙関節は、全身でも重要な関節ですが、ここが整いにくいと、あちこち
影響が出てきます。だから、腰の悪い人の操法をする時には、手首を調整して
おいた方がよい、ということになります。

なぜ下橈尺関節が腰椎5番に影響するのかは不明ですが、事実として、そんな
関係があるようです。簡単にまとめると、腰椎は、両脚と両腕のバランスの上
に成り立っているのでしょう。

春風操法

路地裏の整体術 第802号 2015年5月18日
▼ 春風操法

足首は全身の中でも、決定的に重要な場所だと感じられます。足首が内向きに
なると、腓骨が下に引っ張られ、骨盤も引っ張られ、体側を遡って側頭骨まで
引っ張られます。

足首の状態が変わるだけで、肩こりが治ると操体法の橋本敬三さんは書いてい
ますが、なるほど、もっともと頷けるところがあります。

そこで、この事実を使った簡単操法を考えてみました。名づけて「春風操法」。

とても簡単なので、やってみてください。まずどちらの手でもいいので、手の
甲側から見て、小指の外がわの側面(尺側)を指の先から始めて、手首の線に
達するまでそっとなでおろす。撫でるのに、どの指を使ってもかまいません。
何度も撫でる必要はありません。1度で十分です。

この操作を両手ともやってみてください。それが終わったら、仰向けに寝て、
じっとしている。あまり動かない方がいいですが、少しくらいはかまいません。
時間にしておよそ11分。横臥では効果がありません。仰臥すること。

終わったら起きてみましょう。そうして全身の調子をみると、なぜ「春風」と
いうネーミングがされたかが、わかると思います。

手前に撫でると、引き締めの効果があるはずだ、という疑問を持たれる方も
いらっしゃるかもしれません。その通り、足首が内向きになっているのは、
体側を下に引っ張っているわけですから、その引っ張り力を上の方に引き締め
て解除するのですから、全体に無駄な引っ張り力が解除されて、楽になるわけ
です。

春風の入る部屋にねそべって、この操法をしてみてください。あなたの身体は
「春風」のように楽になりましたか。

特別な効果を感じられた方がいらっしゃれば、教えてくださるとありがたい。

偏り疲労

路地裏の整体術 第801号 2015年5月14日
▼ 偏り疲労

例えば、壁や柱につかまって、腰を左右に動かしてみます。フラダンスの練習というわけではありません。そうしてみると腰の左右差が感じられてきます。

私も今やってみました。私の場合は左へは行きにくく、無理に動かそうとすると少し痛みを感じます。右へは動かしやすく、すっと動きます。そういう左右差をどなたも幾分かは感じるはずです。

これは何がどうなっているのでしょうか。

簡単に言ってしまえば、腰周辺の筋肉の緊張状態が左右で違うことになります。緊張のある側は、動かそうとすると、突っ張る。緊張のない側は自由に動かせるというわけです。

左右差があれば改善させておきたいですね。どうすればいいのか。簡単にいえば動きやすい方へ動かせばいい。

動かしにくい方は、身体がそちらへ動かすのは危険だから動かすな、と言う声を身体が出していることになります。そうして面白いのは、動きやすい方へ何度か動かすと反対側も動きやすくなることで、これは、操体法の原理ですね。

左が動きにくいという人は、右へ動かしてみればいい。右へ動きにくいという人は、左へ動かしてみればいいわけです。何度か、それを繰り返してやってみると反対側も動きやすくなってくる。

こういう動きを全身でやってみると、前屈でもなんでもかまいません。行きにくい行きやすいという差を感じたら、楽な方へ動かしてみる。すると、全身が動きやすくなってきます。無理なく全身を動かしやすくすることができます。

この記事を書き始めたのは昨日でしたが、いま14日の朝これを書いています。先ほど左右のチェックをしてみたところ、左右どちらも同じように動きます。昨日、やった成果が出ていることになります。

ラジオ体操などは、左右が同じ動きですが、そういうことをするより、動きやすい方へ主に動かすやり方の方が身体全体が楽になりやすいはずです。体操をするならこちらの方がはるかに効率がよい。もちろん専門的な難しい体操法は色々あるのだと思いますが、一般人がやる方法としては、これが簡単でやりやすい。

身体が歪む原因は【偏り疲労】です。全身をまんべんなく使うのではなく、偏って使うので、だんだんに筋肉の疲労が溜まってくる。ある場所が疲れてくると、その疲れが関連するところを引っ張って、線状につながる凝りを作り始めます。典型的なのは、背骨の左右の起立筋群。これが片方だけ硬くなり始めると、際限なく偏り疲労をためていくことになります。

「肩こり」という現象は、主に起立筋(群)の偏り疲労によると、私は考えます。起立筋(群)の左右差が解消すると、肩こりが消えることで、これが証明できます。だから、常に【偏り疲労】を処理しておくことが、全身の健康につながるはずです。ところが、世の中には「筋肉を鍛えなければ」という迷信があって、整形外科医まで患者に筋肉を鍛えなさいと勧める。筋肉を鍛えるというのは、別の観点からすれば【偏り疲労】をわざわざ作りだすようなものです。

この春に来られたお客様で、80代の女性がバーベル上げをしていると聞いて仰天したことがありました。普通の生活をしていれば、よほどの【異常がない限り】筋肉がさほど衰えることはない、と思いますが・・・。

昨日の「ためしてガッテン」は足首の捻挫が、そのような異常にあたることを指摘していましたね。

マップの効用

路地裏の整体術 第799号 2015年4月28日
▼ マップの効用

先日、大阪の阿倍野で岡嵜さんのセミナーがあった時、私もちょっとばかり
顔をのぞかせました。その時「首の斜角筋が緩まなくて困っている人がいる。
なんとかなりませんか。」という質問を受けました。

そういう人を扱った記憶がないので、よく分かりません、と答えたと思いま
す。これが常に私の流儀で、分からないことはすぐに分からないと答えます。
こう言ってしまうと身も蓋もないことになるかもしれません。だから、もう
少し考えてみるのがよかったか、と後で思い直しました。

昨日のからだほぐし教室で、首の胸鎖乳突筋を緩めるのは、どうしたらいい
のか、という質問が出ました。これが突っ張っている人は、鎖骨の動きが失
われているので、鎖骨が動くようにすればいい、と答えたと思います。

その人からさらに胸鎖乳突筋の奥にある筋肉が硬い、どうにもならないのか、
という次なる質問。胸鎖乳突筋の奥にある筋肉といえば、先日の質問に出た
「斜角筋」のことでしょう。斜角筋と一口にいっても、前斜角筋、中斜角筋、
後斜角筋とありますので、正確に言えば、「斜角筋群」というべきでしょう。
頸椎上部から始まって、肋骨に停止する筋肉です。

咄嗟に私が考えたのは、手のマップを使うことです。頸椎に相応するのは、
中指の第一関節から第二関節のあいだです。だから鎖骨のあたりは第二関節
の掌側に相応します。(普通なら「相当」という言葉を使うところですが、
高麗手指鍼では「相応」という言葉を使うので、それに倣いました)すると
斜角筋群は、第二関節の横紋の両側で指先に近いあたりに当たることになり
ます。で、「斜角筋、緩め」と思いながら、中指第二関節の横紋の両側を、
指先方向へさっと撫でると良いことになるでしょう。

実際、これで斜角筋が緩みました。それから16時間ほど経った今も、首の両
側が緩んでいます。

この実例で知られるように、手を全身のマップとして、相応位置を調べだし、
そこをさっと撫でると、その筋肉を緩めることができるはずです。これって、
新しい操法として使えそうだ。メモっておこう。

手の平がくすぐったい

路地裏の整体術 第791号 2015年4月10日
▼ 手の平がくすぐったい

珍しい現象なので、忘れないうちに書いておきます。昨日こられた女性です。
色々と現在かかえている症状についてのお話を伺って、最後に出たのが、手の
平がくすぐったい(関西弁でこそばい)と言われる。言われてみれば、私自身
も、そんなことがあったような気がします。

しかし記憶を辿ってみても、最近そういうことを訴えて来られた方はなかった
はずです。

で、これを聞いて私はどう思ったか。こういう症状に対応したことがない、ど
うすればいいか、と考えた。考えても、いいアイデアが出てくるわけではあり
ません。でも、この時は、足の類推で行きました。足の裏に違和感を覚えると
いう訴えは時々あります。そんな時、どうしたかを辿ってみました。

足の裏がくすぐったい、という訴えに遭遇したら、多分、足の中足骨が落ちて
いると考える。だから、これに反動をかければ解決するはずだ。手も同様にし
て解決するはずです。

そこで、咄嗟に私は、

──それは、手の骨が歪んでいるんですよ。

と答えた。自信があったわけではありません。でも思いつきでそう答えた。
判断が外れていれば面目丸つぶれになるところですが、私の場合、こういう咄嗟
の判断がものを言うことが多い。

40代の女性の手をとって、両手で相手の手をサンドイッチにし、甲側からぐっと
押さえ、パッと放す操法を試しにやってみました。

──どうですか。
──何もありません。
(何もありません、て、こそばいのが取れたという意味だろうか)
──こそばくありません。と彼女。
(やれやれ、良かった)

反対側の手も同じようにします。

──はい、何もありません。
──それは良かった。
──ありがとうございます。

ということで、この件は落着です。手に歪みがあると、肩に影響があるはずです。
から、これを先にやっておくのが正解です。

足の裏がこそばいというのも、同じ操法で、甲側からぐっと押さえてパッと放す
ということを繰り返せばよろしい。

何にせよ、人が言ってくる症状はさまざまで、予想外の症状も、色々有ります。
こんなのテキストになかったと嘆く前に、よく似た症状を頭の中で探してみて、
その類推でやっていけば、案外、案ずるより産むがやすし、となるものです。

ただし、どんな症状でも、どんな操法でも、そうですが、カチカチに硬くなって
いる人の場合は、うまく行くとは限らない。その部分を柔らかくする算段を前に
やっておくことが必要です。そうでないと、操法がうまく効かないかもしれない。
この操法はうまく効きません、と弱音を吐く前に、カチカチを緩めてかかること
が必要かもしれない。このことをお忘れなく。