1034 足の指が痛む

第1034号  ’18年5月14日
▼ 足の指が痛む

60歳代の男性、フローリングのところを靴下で歩いたところ、強い痛みが第2趾(あしゆび)に走ったと言われます。何か落ちているのかと探ってみても、何もなかった。

さっそく拝見しました。第2趾というのですから、わかりやすく言えば足の人差し指ということですね。触ってみると、特別に腫れているなどの症状はありません。私の指先の感覚では何も異常なし。

爪の裏あたりをぐっと押さえてみても、少し違和感がなくはないが、痛みはないのだそうです。なぜわざわざ来られたのですか、と尋ねてみると、足の指は大切なところだと聞いているので、こんなところに痛みが出るのは変だ、何かあるのか、と思って心配になったと言われます。

普通はこういう時は、ここでおしまいにするのですけれど、この時は何かひっかかるものを感じ、方法がないかと考えてみました。

そうだ。こういう時は「対角線療法」があるではないか。つまり症状のある場所から、対角線上にあたる場所に何かあるのではないか、そこに手当をすれば改善するのではないか、という方法です。

右足の第2趾と対角線にあたるのは、左手の示指(人さし指)なので、そこで、左手の示指の先を持って、ジッと愉気すること、3分。反対側の右手の示指ももって、気のループを作り愉気しました。

それで硬いところを歩いてもらうと、まったく違和感もない、とのこと。第2趾を持って、ぐっと押さえてみても、何も感じません、という返事です。

時間が短かったので、いただいたお金の一部をお返しして、「喫茶店にでも寄って帰ってください」と申し上げました。

足に異常がある時、手を使った方がやりやすいし、簡単です。操者が変な気を受ける心配もない。

趾の(第2関節が膨れている)ブシャール結節がある時も、足そのものに愉気するより、手の第2関節に愉気する方が簡単でいいかもしれません。

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1029 正坐ができない人は

第1029号  2018年4月26日
▼ 正坐ができない人は

正坐ができないで悩んでいる女性が多いですね。もちろん、そういう人は膝の痛みもあって、さぞかし苦しいことでしょう。

で、正坐ができない人に、どこが痛いですか、と問いかけてみると、ほとんど例外なく、膝の裏側と答えます。

正坐ができない人は、ほとんどお皿が硬くなっていますので、その辺りが突っ張ると答えるかと思えば、そういう人は少なく、ほとんど裏側です。

太ももの裏側からふくら脛にかけてが痛いと訴える人が多い。これは何なのだろうか。というのが永年の疑問でした。

もちろん筋肉の問題とみれば、太ももの大腿二頭筋と、ふくらはぎの腓腹筋との問題だと思われます。つまり、これらの筋肉がつっぱる。でも、どうすれば解決できるのかが分かりませんでした。

というのが、私の発想法は、もっぱら骨の歪みをたどるという原則で動いているので、筋肉の歪みは苦手です。筋肉を揉んだりしたくない。

この二本の筋肉を一群の筋肉と見れば、その両端はどこにあるのだろうか。

上は、坐骨結節(つまり大腿二頭筋の片方が付着しているところです)。坐骨結節とは坐っている時にお尻が座布団にあたっているところの骨の出っ張り。

下はアキレス腱の付着部(アキレス腱が踵骨に付着しているところです)。これは、アキレス腱とかかとの境目といえば分かりやすいでしょうか。

この二つが両端ということになる。

そこで、この2点に愉気をしてみようと、考えました。で、うつ伏せになってもらって、やってみると、正坐できないと嘆いていた女性が、見事に正坐できるようになりました。もちろん、筋肉が硬化している程度の違いがあるので、誰でもこれで正坐できるようになるとは言いません。

膝の歪みを改善しないことには、正坐できるようになるわけはありません。

でも正坐できない人ができるようになるメドが立ったのは大きいと思います。それと、もう一つ、この両端の2点の重要性が分かったこと、これが大きい。

例えば、腰椎が弯曲している人がいます。というより、誰でも少々は腰椎が弯曲していると言った方がいいかもしれません。この弯曲を直そうとすると、普通には、ややこしいことをするわけですが、坐骨結節を使えば簡単にできます(これに関しては別に書きます)。

つまりこの坐骨結節は、腕の場合の烏口突起のような役割を持っているようです。

それから下肢の裏側に異常がある時は、アキレス腱の付着部を使えば簡単です。

で、何よりも高齢の女性が正坐できることの精神的な影響は計り知れないと思います。

正坐できないことが原因となって、落ち込んでしまっている人が多いですから、ぜひとも元気を出してほしいと思っております。

1025 緩めたらアカン

第1025号  2018年4月4日
▼ 緩めたらアカン

Kさん、60代の女性、大阪府の遠方からしばしば朱鯨亭に足を運んでいただいている方。「しばしば」というのは、その時々で色々な症状が出て、すっきりしない方でもあることになります。

Kさんが何度も来てくださるのは、ありがたいのですけれど、できれば早く症状の出ない体になってほしいというのが本音です。

今回は、どうやら「坐骨神経痛もどき」(*注1)の症状。右脚に痛みやだるさがあちこちにあります。これまで、Kさんは体が柔らかいからか、強い症状がなく、比較的早く回復するものの、どうも、すっきりといかない。申しわけない、といつも密かに思っています。

「坐骨神経痛もどき」の場合に、私が定石としているのは、異状のある脚と対角にある腕を緩めることです。

両腕を緩めて、左右のバランスを取った後、前向きに立っていただくと、首が少しばかり右に偏り、右に重心があることが伺えます。つまり腕だけでは左右バランスがとれなかったということです。

まず考えられるのは、こういう方には、何か事故にあった経験があるのではないか、ということ。つまり【強い打撲痕のようなものがどこかに残っている】のではないか。

──何か事故にあったようなことはありませんか? 交通事故でなくても、階段からころげ落ちたとか、跳び箱に失敗したとか、そういうのでもいいんですが。もちろん古い傷でもかまいません。

──右足を捻挫したことがあります。こういうように内側にひねって、えらく腫れました。

(右足の外側面を触ってみて)──なるほど。ここの骨がカチカチになったままですね。

右足の立方骨やら、小指の中足骨(*注2)やらが固まっています。捻挫の直後から固まり、そのままになったと思われます。

そこで、小指の中足骨に裏側から指を添え、ジッとしていること数分。まだ甲の全体が硬い感じがするので、甲側・足裏側から両手でサンドイッチにして、また数分。

これで少しはよくなったに違いない、と思って立っていただきました。

ところが。重心が右に寄ったままです。これではダメじゃないか。

なぜ、こういうことになったのか。こういう時は、じっくりと考えることを迫られます。

右足の外側が硬くなっていたわけですから、硬くなる必要性があって硬くなったと考えられます。右に傾いていたので、あまり右に傾きすぎると不安定になって困る。そこで、右足の外側を硬くして、右に傾きすぎるのを防いでいたわけでしょう。

ところが、その硬くなって傾きすぎるのを防いでいた箇所を、考えの足りない私は緩めてしまった。そのため右に傾くことになってしまったのでしょう。

つまり、どこかが硬くなっているからといって、無闇に緩めると、全体のバランスがおかしくなる、ということです。直すのも、場合によりけりで、直したらアカン場合もある。

一般的には、硬いところを緩めるのは正しいでしょうが、場合によって正しくないこともある、と知っておかないと困ったことになる。法則として言えば、【真理というものは、すべて条件付きであって、いつも正しいとは限らない。条件をはずして、いつも正しいとしてしまうと、真理も誤謬になってしまう】。ということになりますね。

これは整体に限りません。世の中には、条件付きで一つの場合にだけ成り立つ原理を無闇に拡大して、何にでも当てはまるとしてしまう誤りがどれだけ多いことか

*注1 「坐骨神経痛もどき」 普通に坐骨神経痛と呼ばれているが、必ずしも神経痛とは限らず、一方の脚に体重がかかりすぎているにすぎないことの方が多い。だから私は、神経痛とは呼ばず、「坐骨神経痛もどき」と呼んでいる。

*注2 中足骨 足の甲を触ってみると、それぞれの指ごとに細長い骨があって、足首の先まで続いている。この長い骨を中足骨と呼ぶ。区別したい時は、親指から順に、第1中足骨、第2中足骨、という風に第5中足骨まで。

1022 腕だけやればよい

第1022号  2018年3月13日
▼ 腕だけやればよい

このところ、たびたび腕の重要性を確認しています。脚が悪い人に腕で対応するなんてことがしばしばです。

右脚の痛みに左腕で対応する。あるいはその逆。

こういう話をすると、それは対角線療法(*後述)ですか、というご質問が出てきそうですが、そうではありません。

例えば、右の「坐骨神経痛もどき」の人がいるとしましょう。そういう痛みが出るのは、重心が右に寄っているわけです。右脚の「膝痛」という人がいる場合でも、同じような事情が
あると考えます。

なぜこの人の重心が右に寄っているのか。腕の重さが左右で違い、肩の高さも違っていることが大きな要因になっているのです。

つまり、このような場合は、左肩が高くなっていて、右肩が低い。すると、体重が右にどうしてもかかってきます。左肩が高い場合、通常は左腕に緊張があります(そうでない例外的な場合もありますが)。

先日は、50年ほど前からの友人Kさんが訪ねてきました。Kさんは、右のお尻の辺りが痛く、それから下へずっと引っ張っている感じだといいます。つまりいわゆる「坐骨神経痛もどき」です。

(もどき)とつけるのは、本当に神経痛というケースは少なく、たいていは重心の偏りによるものだからです。

彼の場合は、痛みそのものは酷くなく、しびれも感じず、引っ張っている感じが嫌で、坐りにくい。仕事の関係で正坐することが多く、その時に嫌なようでした。

上のようなケース、つまり坐骨神経痛もどきを最近何度も経験していますから、さっと見ただけで、これは脚を触っても意味がない、腕だと直感しました。

ですから、通常の仰臥姿勢ではなく、椅子に坐ってもらう姿勢で、私が彼の左腕をつかむという恰好で操法をしました。

操法といっても、前にどこかで書いたように、手首の金星丘の付け根あたりと、烏口突起の2点に愉気を続けるスタイルです。だから私は側に正坐してじっとしているだけです。

彼は何も言いませんでしたが(要するに任せているということ)、内心、これは何をしているのか、といぶかしく思っていたことでしょう。それで、こういう症状は腕で解決するのだ、とか何とか私は呟いていたと思います。

このスタイルで、およそ数十分。時間を測っていたわけではないので、正確に何分だったかは不明ですが、要するに私の腕に気が流れている感じが途絶えるまで続けました。ここのところが大事で、途中でやめると、いい結果になりません。

あと足首に問題が残っていたので、少し触ったと思いますが、足の引っ張っているというスジ状のところには、何も手を触れていません。

さて、すべて終わって、立ってもらった。歩いたり、体を捻ったり。少し残像が残ってるかな、と。

翌日Kさんからメールが入り、

──今朝起きて全く痛みなし。昨日のことがうそのようです。

実は私自身は、少し何かが残るだろうな、と考えていたのですが、何もないとなると、これまでああでもない、こうでもないと、ゴチャゴチャやっていたのは何だったのか、と反省すること頻り。

というわけで、左腕の気のめぐりが滞っていると、それだけで重心が右に偏ってしまうことがわかります。それが解決した途端、左右のバランスが回復して、痛みが跡形もなく出なくなる。そういうものなんでしょう。

結論。どちらか片脚の「坐骨神経痛もどき」があると、反対側(対角線)の腕に操法するとよい。

ですから、最初に症状について聞く時に、左右のバランスについて考えなければなりません。

*対角線療法――ある場所に症状があると、それとは対角線の位置に操法するという方法。例えば、右脚の外側・ふくらはぎに症状があれば、左腕の前腕に操法することになる。

 

1019 第2関節操法

第1019号  2018年2月26日
▼ 第2関節操法

大抵の人の足の第2関節(PIP関節)は硬くなっています。これが柔らかいのは赤ちゃんだけではないかと思うほど。

第2関節が硬くなると、ハンマー・トウであったり、浮き指であったり、と趾の変形に繋がってきます。

これは恐らく、靴が合わない・靴の履き方が悪い・スリッパ状のものを履いている、などの原因によるものでしょう。

今日は、靴の履き方の話ではなく、硬くなっている第2関節をどうすればいいか、という話。

といっても第2関節のところをじっとつまんでいるだけです。

(そういう姿勢が苦しくてできない人には、また別の問題がありますが、それは別の機会に)

これを続けると、やがて第2関節が柔らかくなってくる。そうすると、体のあちこちが楽になってくる。

手の指では、共鳴法の対応関係で考えると、第2関節は、膝・肘・胸椎1番または頸椎7番、と対応しますから、もちろん、そういうところも柔らかくなってきます。

しかし、それよりもここの関節が柔らかになることで、体の捻れがとれていきます。そういう点からすれば手の第2関節も重要ですが、それに関しては、すでに触れています。

ここのところ私の課題としているところは、体の捻れはどうすれば解決するか、という点です。体の捻れに最も関係しているのは、足ではないか、というのが結論です。

あなたが仰臥した時、両足の角度が揃っていますか。左右で角度が大きく違っている人は、捻れがきついと思われます。だからゴルフのようなスポーツには問題があります。

普段、人の体に触れている方なら、足が捻れに関わっているという話に同感されることでしょう。今回は、短い文章で終わりますが、内容の重要性は格別です。

1017 蝶形骨のゆがみ

第1017号  2018年2月10日
▼ 蝶形骨のゆがみ

「ゆがみ」って、どういうことですか、というご質問を時々いただきます。具体的に説明してみたいと思います。

Yさんという女性。年齢不詳(ということにしておきます)。症状は色々あったのですが、特に注目に値するのは、目の周りが痛いという珍しい症状です。

初めにお断りしておかなければならないのは、人の体に絶対的な座標などないことです。高校数学の空間座標なら、X軸・Y軸・Z軸という座標があって、そこからの変位を「ゆがみ」ということができますが、そんなものは人体にはありません。

あえて座標を設定するなら、正中線が基準になるかと思われますが、人体は精密に言えば左右対称ではありませんから、おおよその基準として、左右対称を基準にするしかありません。前後については、個人差が大きく、相対的に考えるしかないでしょう。

さて、目の周りが痛いという症状。目の周りには、多くのツボがあって、そのポイントは誰でも若干の痛みがあるでしょう。ですが、そういうツボが痛いというのではなく、非対称にある痛みでした。

右の眉の上が痛い、左のこめかみが痛い、このこめかみで気づいたのです。こめかみに痛みがあると、たいてい舟状骨(*1)がゆがんでいます。つまり舟状骨が通常より盛り上がっている。

「ゆがみ」とは何か、と難しいことを言わなくても、ゆがんでいると、そこに痛みが出るわけです。この舟状骨にかぎらず、どこかに痛み(圧痛)があると、そこいらの骨にゆがみがある。

例えば、手の指が痛いという人をよく見掛けますが、そういう人は、手の指の関節がゆがんでいることが多い。関節のあるべき位置に骨がきっちり嵌っていない。こういうのが典型的なゆがみと言っていいでしょう。

ですから、目の周りが痛いという症状があるなら、その辺りに何かのゆがみがあることになります。目頭の上あたりですと、鼻の上にある篩骨(*注2)という骨がゆがんでいる場合がありますが、Yさんの場合は篩骨に痛みはなく、どこか別のところのようです。

そこで舟状骨を触ってみると、「痛い」という。すれば、舟状骨と密接な関係にある蝶形骨(*注3)がゆがんでいるのだろう、と思ってこめかみを触ってみると、盛り上がり感があり、しかも押えると違和感があるという。

そこで、舟状骨を正常な位置(*注4)に戻してやると、こめかみの違和感が消え、もりあがりもなくなりました。

それだけではなく、目の周りの痛みも消失したというわけです。

ところで、まだおまけがあります。この女性Yさんには、他にも違和感のある場所があった。それは左足の第3趾の中足骨(*注5)です。ここに違和感があれば、顎関節症が疑われます。「顎はおかしくないですか」と尋ねてみると、「おかしいです」という返事。

ということは、第3趾→舟状骨→蝶形骨というつながりがあったと考えられます。言い換えると、ここの線上に歪みの連鎖があったわけです。こういう線を無視すると、改善できないゆがみが残るということになります。

この線状の連鎖は経絡とは異なりますし、筋膜トレインなどというものとも違います。こういう線が身体のあちこちに巡っているのではないか。そういうものに注目していたのは、ひょっとするとチベット医学ではないかと今は思っています。

*注1 舟状骨 ここでは足の付け根あたりにある横長の骨。間違って「せんじょうこつ」と読む人があるが、「舟」は「せん」ではなく、「しゅう」がただしい。手にも同名の骨があるので、区別する時は、「足の舟状骨」、「手の舟状骨」といわなければ、混乱する。

*注2 篩骨 鼻の付け根あたりに存在する複雑な形状の骨。詳しくは画像検索をかけて、調べてみてほしい。

*注3 蝶形骨 左右のこめかみを貫いて、目の奥に存在している。これも複雑な形状なので、詳しくは画像検索で。これがゆがむと、目の周りに痛みが出るばかりでなく、こめかみにも違和感が出る。脳とも関係の深い位置にあるため、全身への影響も無視できない。

*注4 舟状骨を正常に戻す これについては 『共鳴法教本』 に詳しく書いてあるので、そちらを参照。

*注5 中足骨 足の指の手前にある長い骨。ここは、足の捻れと関係し、複雑な捻れ方をするので、放置すると全身に影響がある。逆にいえば、ここで全身のゆがみを直すこともできるかもしれない。

1006 踵は最大の着眼点

第1006号  2017年12月5日
▼ 踵は最大の着眼点

よくどこを観察すればいいのかが分からないという声を実習生の方々から聞きます。皆さんが分からなくて悩んでいるのは、その点なのですね。先日も「鎖骨」という着眼点を取り上げました。今回は踵(かかと)を取り上げます。

「かかと」というポイントは、おそらく人体の中でも最重要のポイントの一つです。なぜそんなところが、と首をかしげる人もいらっしゃるでしょうか。

考えてみてください。踵に全身の体重がかかります。いわば人間の土台。

特に踵に左右差があると、両脚の長さが違っていなくても、まっすぐに立てず、どちらかに重心が偏るために、色々な問題が発生します。

「かかと」を見て、どうすればいいのか、というお尋ねでしょうか。踵の後ろを見るんです。見るというより、触ってみるのがいいかもしれません。

踵に問題が潜んでいる人は、どこがどうなっているかといえば、踵の上にある距骨が後ろに出ています。後ろに出るという意味がわかりにくければ、踵骨が前にずれて、逆に距骨が後ろにずれている、といえばわかりやすいでしょう。

アキレス腱の前に距骨がありますから、距骨に後ろから触れようとすると、アキレス腱の横から距骨を触ってみればよいでしょう。その辺りに圧痛があれば、距骨が後ろに出ていることが分かります。

この辺りに圧痛があれば、距骨が後ろに出ている、逆にいえば踵骨が前にすべっている。こういう状態になっていれば、重心が後ろに寄ってしまっているわけです。

そのため、靴に踵(ヒール)をつけざるを得なくなる。男性の靴でもヒールがあるのは、そのためでしょう。

というわけで、何かよく原因の分からない症状がある場合、踵に問題があると考えてみると問題が解決する可能性があるというわけです。例えば坐骨神経痛もどき、正坐できない人、などがこれに相当するのではないか、と考えています。

その瞬間、あなたの取り組んでいる相手の人生が一変する可能性があると言っておきましょう。【かかとが変わると全身が変わる】といっても過言ではない。

距骨の位置を変えるには、踵に愉気する方法も考えられるでしょうし、距骨と踵骨を誇張法で処理するのも一方法です。ですが、こういう言い方では非常に分かりにくいかもしれません。難しく考えず、距骨を前へ押すのも一つの方法です。

踵が重要と書きましたが、正確に言えば足首にある「距骨」(*注)が重要ということです。ほんのわずか距骨がズレていると全身の不調を呼ぶということになります。靴の重要性も、これで納得していただけるでしょうか。

操法を受けに来られる方々をみていると、ほとんどの人が足首の調整を必要としています。履物がどれだけ身体に影響を与えているかを毎日、実感しています。

靴(履物)をけちったら医療費がかかるから、履物にお金をかけるのが得ということです。変な健康サプリや健康グッズにお金を掛けるらいなら、履物にお金をかけよう。

それとともに、かかりつけのいい靴屋さんを探そう。病院ショッピングをする前に、靴屋ショッピングを。

*注 「距骨」──スネの骨(脛骨)の下、踵の骨(踵骨)の上にある独立した小さい骨。これの位置のわずかの変位で、人は体のバラスをとっている。もちろん、バランスに関係した骨は他にもあって、距骨だけではないが。