1030 腰椎の弯曲が直る

第1030号  2018年4月28日
▼ 腰椎の弯曲が直る

坐骨結節(坐った時に座布団や台座に当たっているお尻の骨) を使って腰椎の弯曲を正す方法について書きます。

坐骨結節は、大腿二頭筋の腱のうち一本が付着していて、下肢のエネルギーの流れの、それこそ「結節」点になっているところと思われます。

「結節」という名称が付けられている場所は、一般に骨の尖っているところで、恥骨結節、オトガイ結節などと呼ばれているのは、解剖図をご覧になれば一目瞭然です。

そこで、次のようなことを考えてみました。

腰椎は、仙骨が傾斜した時に、弯曲してしまいます。逆に言えば、腰椎が弯曲している人は、仙骨が傾斜しているとも言えます。そうすると、脚長が違って(脚長が違うことを鬼の首をとったように強調する人がいますが、それは疑問)きたり、脊柱起立筋(背骨の両側に上下に通っている太いスジ)の緊張に左右差が出てきたり、さまざまな不調の原因になります。

ですから、仙骨の傾斜は、なるべくなら避けたい。以前からお話ししているように、仙骨の傾斜は、両手首の茎状突起に愉気することで、簡単に正常化することが可能です。

仙骨の傾斜を正しておいて、次に弯曲の対策にかかります。弯曲がきつすぎる人の場合は、逆にした方がいいかもしれません。そこのところは、研究課題です。

どうやって弯曲に取り組むのか。

まず、腰椎がどちら側に弯曲しているのかを確かめます。左に弯曲していると仮定しましょう。事実、左に弯曲している人の方が多いでしょう。側弯には逆S字タイプが多いということ
です。

左に弯曲があるとして、操者は受者の伏臥した左側に坐ります。操者は自分の左手の親指の内側を弯曲部の外側にあてがいます。そうして少しばかり押し加減にする。

次に操者は右手を受者の坐骨結節のところにあてがいます。どの指でも結構です。そのままその両手で愉気を続けます。

これだけです。坐骨結節には、エネルギーの結節という意味があるらしく、これで弯曲が改善してきます。背骨を一本ずつ愉気する必要はありません。

(胸椎上部の弯曲はどうすればよいのか)。それは烏口突起を使って同様にします。つまり、胸椎上部の弯曲側に親指をあてがい、反対側の指を烏口突起にあてがうようにします。

今回は少しばかり詳しく書きすぎました。解剖用語に慣れていらっしゃらない読者には、却って分かりにくくなってしまったかもしれません。解剖図を広げてお考えになってみてください。

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1027 失敗は成功のもと

第1027号  2018年4月9日
▼ 失敗は成功のもと

先日のことです。ダブル・ブッキングをやってしまいました。記憶が曖昧になったからなのか、日付に疎くなっていたからなのか、ともかく年寄りの大失敗です。

ともかく、大きなミスをやってしまったわけです。どうにもならないので、片方のAさんにしばらく待っていただき、もう片方のBさんにとりかかったと思ってください。Bさんは”坐骨神経痛もどき”の症状です。

Aさんは待ってもらっているので、たいへん気の毒です。Bさんに今度は交代で、少し待ってください、と言って、Aさんに入ってもらいました。

驚いたことに、Aさんの症状も、Bさんと同じような”坐骨神経痛もどき”です。フシギなめぐり合わせですが、ともかく、ありがたい。

何がありがたい、と言って、Bさんの症状は少し複雑だったのですが、Aさんの症状は、割合に単純というか、対角線上の腕を緩めてしまえば、症状が消えるタイプです。

こっそりと申しますと、Aさんの症状に取り組めば、Bさんの症状に取り組むための練習になるわけです。ですから、複雑なBさんの方は複雑なことをしないで、スラスラと解決してしまいました。結局、お二人と取り組んで、1枠より短い時間で終わってしまった。

ダブル・ブッキングで、どうしようと焦っていたのが、簡単に終わってしまいました。こんなにありがたいことはない。

つまり失敗は成功のもと、という諺を地でいったわけです。別の言い方をすれば、【ピンチはチャンス】ということ。皆さんも、これがピンチというところに陥った時は、ピンチはチャンスという言葉を思い出してください。どこかにチャンスの種がころがっているはずです。

ついでに言っておきますが、HPに成功話だとか、自慢話ばかり羅列して書いてあるところは、警戒した方がいい。失敗と成功は常にセットになって現れるもので、成功が100回あるなら、失敗も100回あると考えるのが自然です。

1025 緩めたらアカン

第1025号  2018年4月4日
▼ 緩めたらアカン

Kさん、60代の女性、大阪府の遠方からしばしば朱鯨亭に足を運んでいただいている方。「しばしば」というのは、その時々で色々な症状が出て、すっきりしない方でもあることになります。

Kさんが何度も来てくださるのは、ありがたいのですけれど、できれば早く症状の出ない体になってほしいというのが本音です。

今回は、どうやら「坐骨神経痛もどき」(*注1)の症状。右脚に痛みやだるさがあちこちにあります。これまで、Kさんは体が柔らかいからか、強い症状がなく、比較的早く回復するものの、どうも、すっきりといかない。申しわけない、といつも密かに思っています。

「坐骨神経痛もどき」の場合に、私が定石としているのは、異状のある脚と対角にある腕を緩めることです。

両腕を緩めて、左右のバランスを取った後、前向きに立っていただくと、首が少しばかり右に偏り、右に重心があることが伺えます。つまり腕だけでは左右バランスがとれなかったということです。

まず考えられるのは、こういう方には、何か事故にあった経験があるのではないか、ということ。つまり【強い打撲痕のようなものがどこかに残っている】のではないか。

──何か事故にあったようなことはありませんか? 交通事故でなくても、階段からころげ落ちたとか、跳び箱に失敗したとか、そういうのでもいいんですが。もちろん古い傷でもかまいません。

──右足を捻挫したことがあります。こういうように内側にひねって、えらく腫れました。

(右足の外側面を触ってみて)──なるほど。ここの骨がカチカチになったままですね。

右足の立方骨やら、小指の中足骨(*注2)やらが固まっています。捻挫の直後から固まり、そのままになったと思われます。

そこで、小指の中足骨に裏側から指を添え、ジッとしていること数分。まだ甲の全体が硬い感じがするので、甲側・足裏側から両手でサンドイッチにして、また数分。

これで少しはよくなったに違いない、と思って立っていただきました。

ところが。重心が右に寄ったままです。これではダメじゃないか。

なぜ、こういうことになったのか。こういう時は、じっくりと考えることを迫られます。

右足の外側が硬くなっていたわけですから、硬くなる必要性があって硬くなったと考えられます。右に傾いていたので、あまり右に傾きすぎると不安定になって困る。そこで、右足の外側を硬くして、右に傾きすぎるのを防いでいたわけでしょう。

ところが、その硬くなって傾きすぎるのを防いでいた箇所を、考えの足りない私は緩めてしまった。そのため右に傾くことになってしまったのでしょう。

つまり、どこかが硬くなっているからといって、無闇に緩めると、全体のバランスがおかしくなる、ということです。直すのも、場合によりけりで、直したらアカン場合もある。

一般的には、硬いところを緩めるのは正しいでしょうが、場合によって正しくないこともある、と知っておかないと困ったことになる。法則として言えば、【真理というものは、すべて条件付きであって、いつも正しいとは限らない。条件をはずして、いつも正しいとしてしまうと、真理も誤謬になってしまう】。ということになりますね。

これは整体に限りません。世の中には、条件付きで一つの場合にだけ成り立つ原理を無闇に拡大して、何にでも当てはまるとしてしまう誤りがどれだけ多いことか

*注1 「坐骨神経痛もどき」 普通に坐骨神経痛と呼ばれているが、必ずしも神経痛とは限らず、一方の脚に体重がかかりすぎているにすぎないことの方が多い。だから私は、神経痛とは呼ばず、「坐骨神経痛もどき」と呼んでいる。

*注2 中足骨 足の甲を触ってみると、それぞれの指ごとに細長い骨があって、足首の先まで続いている。この長い骨を中足骨と呼ぶ。区別したい時は、親指から順に、第1中足骨、第2中足骨、という風に第5中足骨まで。

1022 腕だけやればよい

第1022号  2018年3月13日
▼ 腕だけやればよい

このところ、たびたび腕の重要性を確認しています。脚が悪い人に腕で対応するなんてことがしばしばです。

右脚の痛みに左腕で対応する。あるいはその逆。

こういう話をすると、それは対角線療法(*後述)ですか、というご質問が出てきそうですが、そうではありません。

例えば、右の「坐骨神経痛もどき」の人がいるとしましょう。そういう痛みが出るのは、重心が右に寄っているわけです。右脚の「膝痛」という人がいる場合でも、同じような事情が
あると考えます。

なぜこの人の重心が右に寄っているのか。腕の重さが左右で違い、肩の高さも違っていることが大きな要因になっているのです。

つまり、このような場合は、左肩が高くなっていて、右肩が低い。すると、体重が右にどうしてもかかってきます。左肩が高い場合、通常は左腕に緊張があります(そうでない例外的な場合もありますが)。

先日は、50年ほど前からの友人Kさんが訪ねてきました。Kさんは、右のお尻の辺りが痛く、それから下へずっと引っ張っている感じだといいます。つまりいわゆる「坐骨神経痛もどき」です。

(もどき)とつけるのは、本当に神経痛というケースは少なく、たいていは重心の偏りによるものだからです。

彼の場合は、痛みそのものは酷くなく、しびれも感じず、引っ張っている感じが嫌で、坐りにくい。仕事の関係で正坐することが多く、その時に嫌なようでした。

上のようなケース、つまり坐骨神経痛もどきを最近何度も経験していますから、さっと見ただけで、これは脚を触っても意味がない、腕だと直感しました。

ですから、通常の仰臥姿勢ではなく、椅子に坐ってもらう姿勢で、私が彼の左腕をつかむという恰好で操法をしました。

操法といっても、前にどこかで書いたように、手首の金星丘の付け根あたりと、烏口突起の2点に愉気を続けるスタイルです。だから私は側に正坐してじっとしているだけです。

彼は何も言いませんでしたが(要するに任せているということ)、内心、これは何をしているのか、といぶかしく思っていたことでしょう。それで、こういう症状は腕で解決するのだ、とか何とか私は呟いていたと思います。

このスタイルで、およそ数十分。時間を測っていたわけではないので、正確に何分だったかは不明ですが、要するに私の腕に気が流れている感じが途絶えるまで続けました。ここのところが大事で、途中でやめると、いい結果になりません。

あと足首に問題が残っていたので、少し触ったと思いますが、足の引っ張っているというスジ状のところには、何も手を触れていません。

さて、すべて終わって、立ってもらった。歩いたり、体を捻ったり。少し残像が残ってるかな、と。

翌日Kさんからメールが入り、

──今朝起きて全く痛みなし。昨日のことがうそのようです。

実は私自身は、少し何かが残るだろうな、と考えていたのですが、何もないとなると、これまでああでもない、こうでもないと、ゴチャゴチャやっていたのは何だったのか、と反省すること頻り。

というわけで、左腕の気のめぐりが滞っていると、それだけで重心が右に偏ってしまうことがわかります。それが解決した途端、左右のバランスが回復して、痛みが跡形もなく出なくなる。そういうものなんでしょう。

結論。どちらか片脚の「坐骨神経痛もどき」があると、反対側(対角線)の腕に操法するとよい。

ですから、最初に症状について聞く時に、左右のバランスについて考えなければなりません。

*対角線療法――ある場所に症状があると、それとは対角線の位置に操法するという方法。例えば、右脚の外側・ふくらはぎに症状があれば、左腕の前腕に操法することになる。

 

979 仙骨の超カンタン調整

第979号 2017年7月10日
▼ 仙骨の超カンタン調整

仙骨の調整は、昔から難しいものでした。特に仙骨全体の横への傾きは難しい。ところが、、

カンタンなやり方で改善できることが明らかになりました。セミナーなどで、これとは違った方法を聞いたという方も、この方法を試してみてください。その効果のすさまじさに驚かれると思います。ともかく、この方法だけで腰痛から開放される人が続出するのは確かですから、多くの整体院が潰れるような事態にならなければいいが、と変な杞憂に苛まれながら、これを書いています。逆にこれを使いこなせた整体院は大繁盛まちがいなし。

まず準備段階から。と言ってもこれも難しいことではありません。受け手に伏臥(うつむき)になってもらって、足の内くるぶしの左右の位置を確かめます。足先に坐り、人差し指を両方の内くるぶしに当て、左右の脚長(脚の長さ)が同じになっているかどうかを見るだけです。仙骨の左右への傾斜があると、脚長が違っているはずです。中には、左右の脚長が同じに見える人もいるでしょうが、それならそれでもかまいません。脚長が同じに見えるからといって、仙骨に傾きがないとは言い切れないのが微妙なところです。

次は手の甲を表にしてもらう。言い換えると、掌を床に当ててもらう。共鳴法を使うためです。読者の皆さんは、すでにご承知のとおり、中指の中手骨の手前、手首の少し指先側に「有頭骨」という小さな骨があり、これが仙骨に対応しています。ですから仙骨の調整は、有頭骨を操作すればいいわけです。

有頭骨のどこを操作するのか。有頭骨の外側、小指の中手骨の付け根あたりから始めます。ここらあたりからこすり始めます。いつもの通り、強くこすってはいけません。そおっとです。そおっと、有頭骨のあたりまでこすったら、有頭骨のところで、少しだけ戻します。つまりJターンします。Jの字の先のように、カーブを描いて曲げる。5ミリか1センチか、その程度で結構です。これを左右同時にやってください。(自分でする場合は、同時には出来ませんから、左右別々にやってもらってもよろしい)。

仙骨がどっちに傾いているから、どちらかを長くするなどという配慮は不要です。左右とも、
同じようにやればよろしい。これが不思議なところで、これで何でもかんでもよくなってしまうとは私も予想しませんでしたが、結果は上々。仙骨はこれだけでまっすぐになります。

もしも、これで結果が出ない時は、仙骨の周辺が硬くなっているわけで、尾骨を調整するなり、仙結節靭帯を緩めるなりしてください。(この辺りは皆さんの工夫のしどころだろうと思います)。 (仙結節靭帯の緩め方についてはテキストを参照してください。)

その次に必要なこと。実は、仙骨がまっすぐになるのは、この後かもしれません。仙骨の上には腰椎5番が載っていますから、この腰椎5番(L5)を整えないと、仙骨を調整した甲斐がありません。L5の調整というのも厄介なものですが、これは手首の茎状突起を使います。

手首には、橈骨茎状突起と尺骨茎状突起という二つのぐりぐりが手首にあります。この突起の上の皮膚、これをそっと内外へ捻ってみます。ひねりやすい方向と捻りにくい方向とがありますから、捻りやすい方向へ捻って30秒ほど、そのままジッとしているとL5が整います。この時、お尻の辺りをじっとみていると、密かに動いているのがわかるはずです。ですからこの時に仙骨が整うのかもしれません。この点は、まだ確かめていません。どなたか確かめてくださる方がいらっしゃれば、お教えください。

さて、以上で仙骨の調整は終わりです。この方法で、これまで多数の方の腰痛がカンタンに治って、拍子抜けしました。効果は腰痛だけではありません。背骨の調整にも威力を発揮します。それは仙骨の上に背骨が載っているんですから。それから股関節。股関節が痛いという人の大半は、仙骨の異常であることを確かめました。股関節が痛いという人に福音が訪れることでしょう。

昨日のお客様は、股関節が痛い、腰が痛い、膝が痛いという人でしたけれど、仙骨の操法だけで、すべて解決してしまいました。何よりも、ご本人がびっくりされたのは言うまでもありませんが、やっている私自身も、驚いてしまいました。あとは、皆さん方の工夫しだいで色々な効果が期待できるはずです。

901 肘のカンタン自己操法

第901号 2016年6月8日
▼  肘のカンタン自己操法

肘に問題を抱えている人が多いですねえ。というと、私は何ともない、という反論が返って来そうです。

ところが、肘の先の肘鉄(肘頭)の周辺をぐっと押さえられると、あいた、となる人が多い。自分では痛みがないつもりでも、押さえられると痛い。こういう人は肩や膝にも問題を抱えていることが多いものです。

肘鉄の周辺をあちこち押さえてみてください。どこも痛いところはありませんか。

もし痛ければ、どうして治すか。カンタンな方法があって、抜群によく効きますから試してみてください。

まず、痛みがあった肘頭を反対の掌で包む。次に痛くない方の肘頭も痛みのある側の掌で同様にします。つまり腕組みを、肘と掌でするわけです。

後はこのまま数分の間じっとしている。それだけです。

またまた「数分」とは、どれくらいですか、などと初歩的な質問をする人がいるといけないので、言っておきますが、数分というのは目安で、当然、人により、体の状況により、違います。2分で止めて痛みが取れていなければ、もっと続ければいいだけのことです。

あまりカンタンすぎて、信じられない。そうでしょう。でも、やってみればわかります。

肩が悪い人、膝が悪い人にお勧めです。

ただし、この操法をいくら続けても痛みが取れない人は、症状が深刻化しているわけで、そういう人は、ただちに朱鯨亭に駆け込んでください。

「肘のカンタン自己操法」について、その効果を知らせてくれた方が複数あり、ご紹介しておきます。

●大阪府在住のMさん

先日、腰痛で来られた時に、「友人に教えたら、1分もしないうちに効果があったみたいですよ」と。そして、もう一人の人に勧めたら、肘だけでなく、腰まで治ったようです」とのことでした。

●静岡県在住のOさん

丁度良いタイミングで、妻が肩と膝と腰が痛いと言ってきましたので、早速、肘の操法を試してみましたところ、おっ!肩も膝も腰も良くなった! とお褒めの言葉を頂きました。

というわけで、この操法(具体的には、前号を参照してください)は、膝や腰にも効果があるようです。

肘を治すと膝が治るのは、昔から言い習わされていることで、特に珍しくありません。ですから、膝が痛くて困っている人は、この操法を繰り返し行なって肘周辺の痛みを治しておくと、膝にもよい効果があるに違いありません。

ですが、腰が治るのは、どのような理由からでしょうか。肘を治すと、肩の動きが改善します。ということは、肩から背中にかけての影響も変化するということです。背中の状態が変われば腰が変わるというのは、操法をしている人なら、いつも経験している現象でしょう。

こんなふうに、肘が変わると腰も変わります。人体には、このような連動性があちこちに観察できますから、連動制の体系をとらえることは、操法に取り組む人の大きな課題であると思います。

861 立ったままで

路地裏の整体術 第861号 2015年12月17日
▼ 立ったままで

立ったままで操法できるのだろうか。

ところで、奈良の中心街には古書店が多い。街の面積からすれば多いといっていいように思います。さして長くもない餅飯殿(もちいどの)商店街に4軒あります。周辺を含めると6軒になる。大阪天神橋に比べれば少ないですが、街の規模がぜんぜん違いますから。

その中でF堂という書店が私のお馴染みです。ともかく安い。販売価格がこれほどの店は他所で見たことがない。高橋迪雄の『正体術矯正法』もここで買いました。私に必要な本が怖くなるほど安い値で見つかるのですから、F堂通いが止められません。

で、餅飯殿商店街にあるF堂へ朱鯨亭からの帰り道に寄ったと思ってください。振るい付いて読みたいと思う本を今日は2冊みつけた。ほくほくしてカウンターに出した。女性の店員さんが、「ちょっと待ってくださいよ」と言いながら、椅子からゆっくり立ち上がるんです。その動きは腰が痛い人の動きです。支払いを済ませてから

── 腰が痛いんですか。
── はい、昨日ぎっくりとやってしまって。
── ほんなら直しましょう。
── え。直すって?
── 私、整体屋ですから。
── そうなんですか。どうしたらええのでしょう。
── そのままで結構ですよ。手を出してください。
── 手?
── たいてい手を使って直してるんです。
── はあ。

というようなわけで仙骨操法をやりました。第854号「仙骨と背中(下)」に書いた操法です。この店員さんは、普通とは逆の捻れ方で、右側が後ろ、左側が前に大きく捻れていましたから、854号に書いた方法とは左右が逆になります。

── 何か、楽になって来たような。
── ひょっとして左利きですか。
── いいえ、右利きです。
── そうですか。多分少し時間がたつと楽になってくると思います。

と言って店を出ました。

翌々日に同じF堂に行ってみました。

── こんにちは。
── ああ、先日はどうもありがとうございました。
── いえいえ、お安い御用で。どんな具合ですか。
── いまは普通に動けます。
── それは良かった。
── ただ、翌日、きのうですね。ここの前がとても痛くなって困りました。

と言って左の鼠径部を指さされる。

──ああ、なるほど。行き過ぎたわけや。

と言ってもこの店員さんには、何を言っているのか通じなかったでしょうが。仙骨の回旋が修正されすぎて、前が痛くなったと思われます。

この仙骨操法は、効き過ぎるのが欠点です。ともかくよく効きます。たったままでも効果のあることが確認できました。ただし、その人に応じて、加減する必要があります。ここのところが難しいといえば難しい。

この方の場合、捻れ方がきつかったので、少し効くように2度操法したのですが、それが効きすぎた原因です。まことに操法の加減は難しい。

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