五十肩

第1061号 2018年11月15日
▼  五十肩

五十肩の男性が来られました。70歳代なので、七十肩ということになるかもしれません。右肩を上げてもらおうとすると、痛くてここまでしか上がりません。とおっしゃって、腕は水平までもあがりませんでした。

右肩は右腕の緊張のためかかなり高くなっています。その全体を緩める目的で、手の舟状骨のあたりと、肩の烏口突起(うこうとっき、肩関節の前から5センチばかり内側にある突起)の二点に愉気します。

いよいよ1060号に登場した外川治美(とがわ・はるみ)さんの考案になる五十肩の操法を試してみる番です。こういう時は、少しうれしいような緊張するような、舞台に上がった俳優のような気分です。

もちろんこれまでにも五十肩の操法はしているわけですが、たった1回という訳にはいかなかった。随分あちこちさまよった挙げ句に、目的地にたどり着くような感じでした。

とことが今回は、たった1回でいいというのですから、やはり緊張します。薬指と人差し指を同時に反らせました。あとの手順は、1060号に書いた通りです。それを3回繰り返して、さて腕をあげていただくと、何の抵抗もなく、かなり上まですっと上がりました。

あまり簡単だったので、私の方がひょうし抜けしてしまった、というのが本当のところです。念のため、方法を再掲しておきましょう。

── 五十肩がびっくりするほど変化します。右の五十肩は、右手の人差し指か、薬指のどちらか、または(症状の重い人は)両方の指を強く反らします。

右の腕が上がりにくい場合は、右手の薬指をきつめに反らし、反らしたまま、小指側と中指側に倒し、どちらに倒した方が痛いかを聞いて、痛い側にキープします。15秒くらい。

中指側に倒しても痛い場合は、そちらに倒し15秒位キープ。できれば、3回位ずつ。

薬指は痛くないけど、人差し指が痛いという場合は、人差し指を。

敏感な方の場合、”始めは右腕が重かったのに、右をやったら左腕が重く感じる”ということがありますから、そんな場合ば左も行った方が良いですね。(以上引用)

五十肩でお困りの方は、ぜひこの方法を試してみてください。きつい症状がある場合は、2度繰り返すことも必要でしょうが、ともかく、1回で随分楽になって、この先の人生が変わるかもしれません。

朱鯨亭 shugeitei.com

1052 肩と上部胸椎の密接な関係

第1052号  ’18年9月24日
▼ 肩と上部胸椎の密接な関係

上部胸椎とは、胸椎のうちでも、肋骨の反対側が胸骨に繋がっている部分、つまり肩甲骨の間に背骨が存在している部分です。胸椎上部といっても同じことです。

ちかごろ、この辺りが硬くなっている人が多い。先日、肩が痛いといってこられた男性Aさんもそうでした。肩が痛いというケースは腕を緩めることから始めるのが常道ですが、この方の場合、腕を緩めてみても、効果がない。

こういう場合はどこかに方向転換しなければならないわけですが、肩というのは、色々な要素が絡んできて、どこを選ぶかが必ずしも簡単ではありません。時には、足が絡んでいたりしますから。

さて、 Aさんの場合は、初めに背中を観察していたので、上部胸椎が気になっていました。
そこで、上部胸椎に左手の親指の側面を添え木のように当てがって、右手は烏口突起に当て、しばらく愉気をしていると、(ここのところは実際に見てもらわないと分かりにくいし、言葉による説明も十分ではないので、関心のある方は教室などにお越しください)

まず上部胸椎がまっすぐになってきました。そこで腕を上げてもらうと、なんと肩が痛くないというのです。肩が痛いという人で、上部胸椎の歪みが原因の一端をなしているケースを確認できたことになります。

例えば四十肩・五十肩の人で、上部胸椎に問題がある人が確かにいて上部胸椎を処置すると、楽になるケースがあります。ですから、肩と上部胸椎とは密接な関係にあるといえる。

というわけで、上部胸椎は、その裏にある胸骨と表裏一体の関係にあることを操者はわきまえている必要があるということになります。

身体の前面でいえば、胸骨・肋骨・鎖骨・肩は連動していることが分かります。さらに付け加えると、腕や手もこれらと連動しています。そして身体の後面にある、上部胸椎・肋骨・肩甲骨・腕が連動しているということになるでしょう。

1047 肘痛・腕と鎖骨の関係

第1047号  ’18年7月22日
▼ 肘痛・腕と鎖骨の関係

肘の痛みは、簡単に見えますが、複雑な場合もあるという例。

このメールマガジンに登場いただくのは、何度目か、珍しい症状が現れている場合が多いので、過去にも何度かご登場願ったことのある50代の男性Sさん。

機械の操作をして居られるので、普通にはない複雑な症状で、いつも頭をひねることになります。

痛みがある時、その原因が周辺の筋肉の緊張にあると考えて取り組むと、どうもうまく行かないという場合は往々にしてあるものです。

原因の一部は遠く離れたところにあることが多い、と考えた方がいい。

肘が痛むという訴え。前回もそう言って来られて、一か月後に改善していないということです。

肘といえども侮れないですね。

腕の異常の出発点として、前腕から始めるのは定石通り。

確かに、前腕が緩んでくると、腕全体が楽になります。しかし、まだ完全にはとれていないらしい。

次の定石は何か。

手に異常があるとき、胸鎖関節に異常がある場合が多い、ということです。

例えば、指が動かなくなっている人で、胸鎖関節を調整すると、ただちに動くようになった例がありました。そんな困難な症例でなくとも、指の動きが悪い人は、胸鎖関節を調整すればよい。

どうするのか。難しいことは何もなく、胸鎖関節の飛び出しを三本の指でつまんで、じっとしているだけでいいのです。

これで肘の痛みが少し軽くなった。

次は何をすればよいか。胸鎖関節が硬くなっているのですから、その一端に連なる鎖骨を緩めればよい。

つまりは地獄の整体、失礼、極楽の整体ですね。そう言われれば、朱鯨亭の講座を受けた人なら、ご存知、極楽整体をしてあげればよい、と考えました。

これは鎖骨の後ろに指を差し入れて、腕を大きく回す方法です。非常に痛がる人が多いので、俗称、地獄の整体、しかしその後の解放感を思えば、極楽の整体というべきです。

これで、ほとんど肘の痛みが消えたようです。

というわけで、手指の動きが悪い場合、肘の痛みが簡単に消えない場合など、腕の不調があると、原因の一端は鎖骨周辺にあることが多い。リュウマチのような場合でも、鎖骨で指の動きが少し軽快することも、今日、別の方で確認しました。

1034 足の指が痛む

第1034号  ’18年5月14日
▼ 足の指が痛む

60歳代の男性、フローリングのところを靴下で歩いたところ、強い痛みが第2趾(あしゆび)に走ったと言われます。何か落ちているのかと探ってみても、何もなかった。

さっそく拝見しました。第2趾というのですから、わかりやすく言えば足の人差し指ということですね。触ってみると、特別に腫れているなどの症状はありません。私の指先の感覚では何も異常なし。

爪の裏あたりをぐっと押さえてみても、少し違和感がなくはないが、痛みはないのだそうです。なぜわざわざ来られたのですか、と尋ねてみると、足の指は大切なところだと聞いているので、こんなところに痛みが出るのは変だ、何かあるのか、と思って心配になったと言われます。

普通はこういう時は、ここでおしまいにするのですけれど、この時は何かひっかかるものを感じ、方法がないかと考えてみました。

そうだ。こういう時は「対角線療法」があるではないか。つまり症状のある場所から、対角線上にあたる場所に何かあるのではないか、そこに手当をすれば改善するのではないか、という方法です。

右足の第2趾と対角線にあたるのは、左手の示指(人さし指)なので、そこで、左手の示指の先を持って、ジッと愉気すること、3分。反対側の右手の示指ももって、気のループを作り愉気しました。

それで硬いところを歩いてもらうと、まったく違和感もない、とのこと。第2趾を持って、ぐっと押さえてみても、何も感じません、という返事です。

時間が短かったので、いただいたお金の一部をお返しして、「喫茶店にでも寄って帰ってください」と申し上げました。

足に異常がある時、手を使った方がやりやすいし、簡単です。操者が変な気を受ける心配もない。

趾の(第2関節が膨れている)ブシャール結節がある時も、足そのものに愉気するより、手の第2関節に愉気する方が簡単でいいかもしれません。

1005 動悸に新ムドラー

第1005号  2017年11月30日
▼ 動悸に新ムドラー

以前、[971号](17年5月14日発行)に「不整脈(注*1)に井形ムドラー(注*2)」という記事を書きました。

それはそれでいいのですけれど、形が複雑で理解しがたい難点がありました。そこで、その改訂版を。

動悸・不整脈といっても、どれにもこれにも効くというわけには、もちろん参りませんが、少なくとも「期外収縮」という種類にはよく効くようです。

ところが、この「期外収縮」という種類の不整脈は、病院では相手にしてもらえない。「これは治療の対象外です」などと冷たくスルーされてしまうのです。

私自身も、これが気になって病院に行ってみたことがありましたが、誰でもこの種のものは、出ていますよ、という説明でいなされてしまいました。

普通に脈を打っている時に、突然トーンと強い脈が混じったり、トトーンと脈が跳んだりするのが「期外収縮」です。

言われるように別段心配のないものなのかもしれませんが、本人にとっては気持ちの悪いこと夥しい。何とかならないかと思うのが自然です。

ましてトトーン、トトーン・・・と連続して出たりすると、自分の心臓はどうなっているのかと心配になってくるのは自然のなりゆきでしょう。

ところが現代医学では解決策がない、となると、自分で対応策を考案するしかない。「動悸がする」という人は多いですから、ぜひともカンタンな誰でもできる方法を提案したいと前から思っていました。

分かっていたことは、不整脈は胸椎4番(注*3)と関係があるという事実です。もちろんパートナー・家族に胸椎4番を整えてもらえばいいわけですが、これがカンタンではありません。胸椎4番を具体的にどうするのか、一から順に説明しなければなりませんから。

そこで、どうするか。胸椎4番の代わりに、胸椎4番の対応点に愉気すればいいはずです。胸椎上部の対応箇所は、手の中指の基節骨(注*4)です。

中指を掌側にぐっと折り曲げて、その基節骨のところを親指で押える。したがって、人差し指は上に突き上げるような形になります。この形のまま、不整脈が止まってくるまで続ければいいわけです。

結論は、これだけ。カンタンですから、ときどき動悸がするという人は、お試しください。特に寝ている時に動悸がするなどという人にはお薦めです。

注*1 不整脈──脈が正確に規則正しくリズミカルに打たず、リズムが乱れたり、その波形が乱れたり、速くなったり遅くなったりするものをいう。

注*2 ムドラー ──手で結ぶ印のこと。インド等で、手の印を健康法とする考え方がある。

注*3 胸椎4番──背骨を上から順に、くびの頚椎、むねの胸椎、こしの腰椎などと呼ぶ。胸椎は、首の下後ろから始まり、肋骨の下の端あたりまで。上から順に1番・2番と番号をふる。12番まで。

注*4 基節骨──指の骨には、指先から順に、末節骨・中節骨・基節骨となづける。基節骨は、したがって指の付け根の骨という意味。ここでいう場合は、中指の基節骨。

996 ブシャール結節

第996号 2017年10月24日
▼ ブシャール結節

昨日の「ヘバーデン結節」をネットで調べているうち、「ブシャール結節」というものもある、ということが分かりましたので、お知らせしておきます。

ブシャール結節は指の第二関節に発症するもので、第一関節に発症するヘバーデン結節と混同することはありません。

シャルル・ジャック・ブシャール Charles Jacques Bouchard (1837-1915) というフランスの病理学者が報告したので、この名前がついています。

しかし第二関節だと、リュウマチと間違えそうです。ブシャール結節とリュウマチとの違いについて、こちらに詳しい記事があります。
→ http://kansetutuu-sinkeituu.com/bouchard

要するに、第二関節周辺に「骨棘」(こつきょく、骨のとげ)ができているかどうか、が大きな差のようです。リュウマチの場合は、骨棘ではなく、レントゲンで関節そのものの破壊が観察される、ということになっています。

第二関節の異常は、非常によく見かけるものです。大抵の人が第二関節のところが大きく膨れていることが多いもので、それは突き指だろうと勝手に想像していたのですが、そうではなく、このブシャール結節なのかもしれません。

いずれにしても、これは私自身の今後の研究課題でもあります。おそらくこのブシャール結節であろうと思われる例を、先日見ています。触った時の感じはリュウマチとは違い、触っただけでも、慣れれば区別できるのではないかと思います。

指の使いすぎが関わっているように思われます。外国の文献をあたってみると、ヘバーデン結節と同じく趾(あしゆび)にも発症するようです。

私としては、リュウマチとの区別より、突き指との区別の方が気になるところです。足の第二関節が膨れている人など、珍しくもありませんから。

983 末端に注目(2)

第983号 2017年7月29日
▼ 末端に注目(2)

「末端に注目」の第2回です。症状のある場所そのものをいくら触ってみても、うまく行かない時、その末端にあたるところに注目すればうまく行くことがある、という原則です。

ご承知の通り、私は夏休みでいま操法を休んでおりますので、記憶を頼りに書きます。細部は少し実際と違っているかもしれません。中年の女性を仮にAさんとしておきます。

Aさんは、肩に痛みがあると、来られた方です。肩こりをとおり越して、肩が痛いという方も実に多いですね。ひどくなると、腕が動かないということになります。

肩に何か問題があるのかと尋ねてみると、レントゲンを撮ってもらったが、骨はなんともないそうです、といった答えが返ってきます。肩を打って骨折をしているなら、夜間もシクシク痛むという理由が分かりますが、そうではありません。

そうなると、肩にシクシク痛む箇所があるのは確かですが、なぜ痛みが出るのか、その原因が分からないわけです。

こんな時、私は「末端に注目」します。肩から見て末端とはどこか。いうまでもないと思いますが、手指が末端です。時に途中の肘や手首に原因が潜んでいることがないとは言いませんが、大抵は手指に問題があります。

Aさんに尋ねてみました。

── お若い頃、中学生、高校生の時代に指を傷めたことはありませんか?
── あります。あります。突き指を何度もしていました。
── そうですか。バレーボール、バスケット?
── ソフトボールです。
── なるほど。それで分かりました。

といいながら、Aさんの手指を見ると、第2関節がどれもこれも節くれだっています。突き指はどういうわけか第2関節に多いものです。

手指を曲げてみると、第2関節がもっともよく曲がるはずです。第1関節・第3関節はさほどではない。ということは、ここがダメージを受けやすいということになりますね。

ですから、突き指を調べる時は第2関節を調べるといい、と思います。第2関節を握ってみて、かなり硬く節くれだっている感じを受けたら、まず突き指と考えて間違っていません。

いまは、そこに異常を感じていないかもしれません。しかし、そこに突き指の痕跡が残っていることが多い。体の他の部分ですと、打撲痕が問題になりますが、指の関節は曲がる構造ですから、突き指の痕跡を残していることが多いわけです。

実際に硬くなっている関節を解剖してみたわけではないので、推測ですが、第2関節の周辺の組織にカルシウムなどが沈着して硬くなっているのだろうと思います。指節間の靭帯などが硬化して、関節と関節のあいだに圧痛を感じる場合もあります。

さて突き指の直し方ですが、誇張法が最適です。突き指になったら、すぐひっぱれ、などと言われますが、そんなことをしたら、よくなるものも、逆に悪くしてしまいます。人間の体は、外力に抵抗する習性があって、引っ張ると、縮もうとする。押し縮めようとすると、逆に伸びようとするわけです。

ですから、突き指があれば、(仮に数十年前の故障であっても)その関節を軽く押し縮める方向でじっと押さえて(といっても愉気の感覚でよろしい、強く押すと失敗します)いればよい。すると、関節がもとに戻ろうとします。

比較的新しい突き指であれば、そのようにじっとしていると、骨が勝手に動いたと感じる瞬間がやってきます。(それは操者も受け手も同じように感じます)それでOKです。それ以上、押える必要はありません。古い突き指では、そう行かない時もあります。直ったと感じる瞬間がない時もあります。

Aさんの場合は古すぎて、いずれも動く感じがありませんでした。そこで、このくらいの感じかな、とカンで終わったのですが、第2関節を動かしてもらうと、何れも動きが改善していました。

すると、肩の痛みがずいぶん軽くなったようです。かなり自由に腕を動かせるように変化していました。

というわけで、肩の問題が突き指を直すことで解決したわけです。突き指かどうかを判断するカンタンな方法があるのか。と尋ねられると、当該の関節を突く方向に動かしてみることです。突く方向と、ひっぱる方向に軽く動かしてみて、突く方向が行きやすければ、突き指の可能性が高いことになります。

そんな面倒なことを一つ一つやってられないと感じるならば、ともかく第2関節を拇指と示指とで挟んでみて、硬い節くれだった、盛り上がった感じがするかどうか調べてみてください。そうすると、ほぼ突き指かどうか判別できることでしょう。

足の指についても同様な方法が使えることがあります。

前回は膝の痛みの原因が踵にあった、という話でしたが、今回は肩の痛みの原因が手指にあった、という話で、いずれにせよ、「末端に注目」という原則がそこに潜んでいました。

977 ツボをきつく押されすぎて

第977号 2017年6月23日
▼ ツボをきつく押されすぎて

からだほぐし教室の常連のひとりMさん。左の肩が異常に痛いという。肩が痛いだけでなく、上腕にも痛みや違和感が広がっているらしい。

教室が始まる前に、色々やってみたものの、いまいちよくならない。そこで教室終了後に空き枠があったので、そこに入ってもらいました。

心当たる原因について話合っている内に、次のような話が出てきました。

先日、某足ツボの講座に参加したそうです。そこまではよかったが、その指導者にツボを必要以上に強く押されたという。それも足のツボではなく、手のツボ、拇指と示指(人差し指)の谷間にある、よく知られたツボ、「合谷」(ごうこく)を思い切り押されたらしい。

痛いのを通り越して、思い切りしびれるほど押された。それも一度でなく、何度も強圧されたという話です。それ以来、肩の調子が悪いように感じるという。

もちろん、こんな話を聞けば、誰でも何かおかしいと思うことでしょう。ツボを押すという方法は、確かにありますが、そんなに思い切りしびれるほど押すなどという激しい方法は聞いたことがない。どんな方法を使うにせよ、まずは気持ちがいい程度というのが原則です。

押されたことも原因の一つかもしれないと考えて、指を触ってみると、示指の基節骨や中手骨が異常に硬くなっています。この辺りが硬くなっていることはよくあることで、珍しくありませんが、それにしても、ここだけ異常に硬い。

「合谷」というツボは、普通、拇指と示指の谷間というふうに説明されていることが多いものですが、ツボの専門書の記述をみると、示指側の中手骨の付け根くらいの位置で、どちらかといえば、示指寄りの位置です。

だからこの指導者が合谷の位置を正確に採っていることは間違いない、としても、あまりに強い押さえ方をしてしまうと、打撲を受けたのと同じことになってしまう。何か硬いもので叩かれたほどの損傷を受けていると感じられます。ひどいことをやったものです。

このように拇指・示指のあたりに損傷を受けている場合、以前にメルマガでも取り上げた「小菱形骨点」(拇指の付け根にあたる金星丘のねもと)が一つのポイントになります。

肩の状態から考えて、掌側だけでなく、甲側にも問題があるように感じられたので、「小菱形骨点」と、その裏側にあたる点(大菱形骨の裏側、皇帝の嗅ぎタバコ入れの辺り)を軽く押さえて愉気しました。

いつも「小菱形骨点」を愉気すると感じるのは、ここがよく気の通るポイントであるということです。鍼灸のツボとしては登録されていない点ですが、そういうツボの一つに入れてほしいくらいよく効く。

手の拇指側から、肩まで続く拘縮の繋がり(普通スジと呼ばれるもの)が解消するとよいのですが、それがなかなか簡単には行かない。肘の捻れがあるからです。

この問題については、永くなるので稿を改めて書くとして、肘の捻れが解消すると、肩がよくなってきました。

というわけで、押されて青タンができるほど押すようなところは避けることです。そこに拘縮ができて、打撲を受けたのと同じ結果になります。あな恐ろしや、強いツボ押し。

971 不整脈に井形ムドラー

2017年5月14日  不整脈に井形ムドラー

仏像好きの方は、仏の手が結ぶ印にも関心をお持ちでしょう。色々な形があり、この形をムドラーと呼びます。仏像といえば奈良・興福寺の阿修羅像が超有名で、人気がありますが、三面六臂の手の形が(左右はほぼ対称のようですが)少しずつ違っていることにお気づきでしょうか。

もちろん仏像でなくても、生きた人間がやってもいいわけで、かつてスリー・チャクラバルティというインドの女性ヒーラーの本 『永遠の旅路』 を紹介したことがありました。そこに各種のムドラーが載っていて、たいへん役に立つことを指摘しました。

そこで、私も一つムドラーを追加してみようというわけでもありませんが、こういうのもムドラーと呼んでもよかろうと思うので、一つ付け加えておくことにします。

最近、動悸がするとか、不整脈がある、という訴えをよく聞きます。西洋医学的に言えば、心臓の洞房結節というところから発する電気信号が乱れている状態です。骨格の面から言えば、胸椎3番(とその周辺)の異常があるものと思われます。

もちろんここだけが異常だというのではなく、仙骨の歪み、尾骨の歪みに始まって、腰椎・胸椎下部のあちこちにも歪みがあるわけですから、背骨全体を整える必要があります。そのためには、「体幹操法」 が有効です。(これについて知りたい方は教室にお越しください)

共鳴法からいうと、胸椎3番は、中指の基節骨の中ほど甲側に相応します。そこで、そこを左右両手の指で互いに愉気すればどうか、と考えたわけです。

まず左手中指の基節骨の甲側まん中へんに、右手の示指の先を当てます。次に左手の示指の先を右手中指の基節骨の甲側まん中へんに当てます。

下から順にどの指かを書きますと、まず左手中指、次に右手示指、次に左手示指、という順で、右手の中指が右手示指と並んでいます。

全体の形をおおまかに言えば、右手の示指と中指の二本を並べて、左手の中指と示指とで下と上から挟んでいるということになるでしょうか。上から見れば、左右の二本ずつの指で 「井」 の字が出来ているでしょう。大阪風に言えば、四ツ橋の形になっているというところかもしれません。

それで、この形を 「井形ムドラー」 と呼んでおくことにします。井形ムドラーをすると、不整脈が改善する可能性がある、と言っておきたいと思います。永久に改善するというわけではありませんが、ともかく、一時的であっても不整脈が改善する。

ひょっとすると、汗の異常がある人がやってみてもよい。汗の異常も改善する可能性があります。

不整脈がある人は、いつ起こるか、と不安な気持ちを抱えているもので、一時的にでも改善する方法があれば、不安が消えて楽になるかもしれません。不安ほど体に悪いものはありませんので、このムドラーで助かる人が多いのではないかと考えます。どうぞ、お試しください。

965 掌・内臓・手のしびれ

2017年3月21日

三題噺(さんだいばなし)のようなタイトルで、何のことかと訝しく思う人が多いかもしれません。

え、三題噺って何か分かりません? まったく関係のない3つの題を出してもらって即興でお話を作るということです。

ここで三題噺の練習をしようというわけではなく、こんな題が付くような操法をすることになった経緯をお話しようという次第です。

以前、毎回のように教室に通っておられたFさんに梅林でばったり出会ったんです。

以前ちかしくしていた人と、どこかでばったり出会うということがあるものですが、それは単なる偶然ではない。自分自身が、この人を引き寄せているのではないか、そんな風に私は感じます。

案の定、それから数日して、このFさんからメールが来た。手が痺れて鉛筆が持てない。何とかならないか、というご依頼でした。

してみるとFさんの方からも、私を引き寄せていたのかもしれません。

さて、Fさんが奥様づれで、いらっしゃいました。さっそく手を拝見するのですけれど、どこが悪いのか、よく分からない。手がしびれるという人には、胸鎖関節やら、肘やらを探ってみるものですけれど、そんなところを調べてみても、一向によくなりません。

時間がかなり経って、こちらにも焦りが出て参ります。

こういう時は操法を止めて、じっくり考えるに越したことはありません。トイレに行くのもよし。お茶を飲むのもよし。別にサボっているわけではなく、気分転換を図るわけです。

そうすると、いままで自分を縛り付けていた発想から離れることができます。

しびれの原因が掌側にあるのか、甲側にあるのかを確かめてみよう、という発想が沸いてきました。

── 掌を広げる時と、閉じる時と、どちらが痺れを強く感じますか。
── 広げる時ですね。
── そうですか。屈筋側に問題があるわけですね。

という答えが出たということは、掌側に問題が潜んでいるということになります。肩から肘、手首とたどる道筋は主に甲側に発想しているでしょう。これは逆のことをしていたに違いない。

屈筋側に問題が潜んでいるとすると、手首から先の屈筋は掌の「浅指屈筋」が代表的ですから、その辺りに何か原因があるのではないか。

とすると、最近よく取り上げている、金星丘と内臓の関係が、どこか知ら繋がっている気がします。

内臓の下垂があって、そのために浅指屈筋に拘縮が発生している。それが痺れの根本原因になっているのではないか。

今まで、こういう発想で操法をしたことはないのですけれど、こういう発想を採用しなさい、と「天からの声」が届いているのだと考えてみたんです。場合によって、このような飛び離れた発想を採用することも必要です。

自分の発想が何かに固定してしまうほど怖いことはない。

固定してしまうと、にっちもさっちも行かなくなって、苦し紛れにおかしな操法をしてしまって失敗したことが、これまでにも何度もありました。力づくで何かをしようとしてしまう。これは完全に失敗のパターンです。

発想の転換をすることが、ぜひとも必要な場面がときどきあります。特に従来の操法で、いかんともしがたい場合。

そういう訳で、Fさんの掌をあちこち押さえてみました。すると、案の定、あちこちに圧痛があります。圧痛の位置に応じて、内臓を軽く押さえて押し上げてみると、圧痛が消えて行きます。

手の痺れを取る操法としては、何重にも迂回して手に戻っているという奇妙な操法に違いない。

けれど、やっていて、これだ、という感触を感じました。圧痛が次々を消失していくからです。

── これでどうですか。痺れは?
── 大部らくになりました。これなら鉛筆が使えそうです。
── それは良かった── といいながら私は、本当かな、と疑っています。

結局Fさんは、逆立ちをして、内臓の下垂を直してみます、とおっしゃる。確かFさんは、80歳が近いはずです。この元気に私は唖然とするしかありません。

私は今年70になりますが、負けてはいられないとFさんの元気をいただきました。何かと勉強になった一日でした。やはり偶然にFさんに会ったのではないと今でも思います。

内臓の下垂→掌の屈筋の拘縮→手の痺れ、という三題噺のような関係ですが、こういう関係が明らかになるというのも、共鳴法のメリットでしょう。

940 靴はからだに悪い

第940号 2016年12月27日
▼ 靴はからだに悪い

愛知県刈谷市から来られた 50 代の男性 K さん。前回単独でこられた奥様にひっぱられての来訪。

まず、奥様が来られて効果を感じ、続いてご主人が来られるというのは、よくあること。逆は少ない。こういうところにも、女性の積極性が伺えます。

聞いてみると、右手の親指から前腕にかけてひっかかりを感じ、痛むという。触ってみると、手首のあたりが妙に硬い。

硬いというより、ほとんど動いていない感じです。このごろ流行りの表現を使えば、ほぼほぼ動かない。

まずは定石どおり親指から始めます。親指の MP 関節(付け根の関節)が硬く固まっている。ただ、それだけではなく、IP 関節(指先側の関節)も硬く、そのあいだ・指節間の甲側も固まっています。

これはずいぶんひどいことになっているな、と思いながらとりかかります。

と言っても、硬いところをじっと持っているだけですが。これが最近の私の操法スタイル。ごちゃごちゃと色々やらず、じっと持っているだけの方が簡単だし効果もよい、と感じられます。

そうやって数分たち親指は少し緩んで来たものの、動きがあまりない。これ以上続けても、効果はたかが知れています。方向を変えて、手首にかかるとしよう。

手首の操法の対象は下橈尺関節です。つまり、手首の橈側・尺側にある二つのグリグリ、言ってみれば手のくるぶし二つ。茎状突起と呼ばれる二つのグリグリを両手で軽く押さえて、掌側・甲側に動かしてみる。

柔らかな手首であれば、どちらにも動くものですが、固くなっていると一方には動きません。そこで、動く方向に軽く動かして、持続するというのが普通のスタイル、つまり誇張法です。

ところがKさんの手首はまったくどちらにも動かない。重い症状です。動かないものを無理に動かすのは賢くないので、二つのグリグリを軽く持って、そのまま持続することにしました。こんなことはしたことがありません。しかし、この場合やむをえない。

── ずいぶん硬くなっていますが、どうされたんですか。

── 犬と遊んでいる時に引っ張られて。

── ああ、なるほど。

二つの茎状突起を押さえて、じっとしていると、やがて手首がカクッと内側へ捻れて来ました。何度もそういう現象が続きます。何十秒かに一度カクッ、カクッと動く。これは手首が外へ捻れていたのが内へ戻ってくるわけでしょう。

というと、腕はもともと内へ捻れているんじゃないのか。逆ではないのか、と考える人もいるに違いない。からだの関節は、どちら向きに捻れるのか、という問題は難しい点を含んでいます。

機械的に原則通りで何でも考える人は。よく言われるように、この関節はこちら向き、その関節はあちら向きと、原則どおりでいいのかもしれないが、私は、そういう原則どおりに考えることのできない人間で、一から自分で納得できる考え方をしないと満足できません。

そこで、この点の確認は、今後の課題として残しておきたい。私の脳の中の整理箱には、この種の課題がおもちゃ箱のように雑多に詰まっていまして、その中からいつも何かの課題を引き出して考えています。

K さんの手首に話しを戻します。次にどうするかを考えなければなりません。足首にこれと似た現象を見ることはありますが、普通は、このような動きをみることは手首ではありません。K さんの手首には前腕を捻るような力がどこからか働いているに違いない。

どこにそんな力が働いているのか。考えられるのは、足でしょう。足から捻れが腕にまで昇って来ているとは考えられないだろうか。足首、特に距骨周辺には、全身を支配する何かがある。

── 足首がおかしいのではありませんか。

── はい、右足首は、若い時に捻ったことがありました。ハンドボールをしていて、足首を踏みつけられ、足首が直角に回ってしまったんです。直後には、切断しなくてはならないかもしれない、と言われたこともありました。

── なるほど、そんなことがありましたか。それが手首に影響を与えているような気がします。足から引っ張られて上部がおかしくなっていることは、よくあるんですよ。

足首をみると、そんな酷い事故があったことを伺わせる痕跡は残っていませんでした。普通より少し硬い程度。しかし足指を触ってみると、かなり浮き指です。

── 靴に問題がありそうに思いますが、いつもどんな靴を履いていらっしゃいますか。

── 紐のないタイプ、スポッと履ける靴です。

やはり靴に問題がありそうです。そのことを告げると、K さんも、うすうす靴が問題だと感じていたのでしょう。すぐに靴を変えます。とおっしゃる。

というわけで、手首を対象にやっていたのに、足の問題に変ってしまいました。手と足が繋がっているというのは、私が直感的に感じたことですが、K さんも密かに感じておられたらしい。

K さんの例は、かなり珍しい例ですが、一般論として拡大できるかもしれません。つまり、手首の捻れがある人は、足にも問題があり、靴を再検討する必要がある、と。あるいは、もっと拡大して、【からだのどこかに問題のある人は、足にも問題があり、履物を再検討する必要がある】。

私たちは、手首を傷めると、手の使い方に問題があったと考え、膝を傷めると、足や歩き方に問題があると考えるのに慣れていますが、ひょっとすると、そうではなく、すべて靴に問題があるのかもしれません。

しばらく趾(あしゆび)の一つ一つに愉気をしてみました。すると、手首の動きが出なくなりました。やはり足から何らかの力が働いていたと思われます。

それほど靴の問題は大きい。「靴はからだに悪い」という名言もあります。せめてぐすぐすの靴は止め、紐をしっかり結ぶ努力くらいはしたいものです。

934 小菱形骨点 16/12/12 

前号で小菱形骨(しょうりょうけいこつ)について書いたところ、そんな話は聞いたことがない、というお便りをいただきました。

確かに、小菱形骨にいついて本誌上で書いたことはなかったと思います。自分で書いたように思い込んでいたのでしょう。

そこで、今回は小菱形骨点について。

小菱形骨という骨はどこにあるか。手の付け根、つまり手根部です。詳しく言うと、示指(じし、人差し指)の付け根。「手の骨」で画像検索してご覧ください。

「ペンフィールドの図」というものをご覧になったことがあるでしょう。ペンフィールドというカナダの神経学者が描いた図で、例えば次のところにあります。変な形の小人を使って表示することから、「ホムンクルスの図」と呼ばれることもあります。ホムンクルスとは小人の名前です。

http://www.gokkuncho.sakura.ne.jp/sector06/20051223.html

これを見ると、拇指(親指)と示指とが神経の働きとしては大きいことがわかります。実際によく使うのも拇指と示指ですね。よく使う指が緊張しやすいというのも理解しやすいことで、拇指と示指の付け根は緊張しやすいところであるようです。

逆に言えば、示指の付け根にある小菱形骨の周辺はコリの発生しやすいところです。ここのコリが肩の緊張とつながっていることに気づいたので、小菱形骨の付け根の手の平側のポイントを【小菱形骨点】と名付けました。

ここは、大抵の人が圧痛を感じる点なので、解りやすい点だろうと思います。示指のラインを手前に伸ばして、手首のラインと交差するあたりの少し上です。拇指の付け根のふくらみ=金星丘の下端あたりといえばいいでしょうか。

肩の前が、前に飛び出している人が多いですね。その飛び出している箇所を押さえてみてください。硬くて、前に飛び出していることがわかります。

これを【前肩点】と呼んでおきます。そこの感触をつかんでおいて、次に【小菱形骨点】に反対手の指を当てて、しばらくジッと愉気をしてください。

すると、さきほど調べた前肩点が緩んでいることが分かるでしょう。これは薬指の付け根(第3関節)のポイントを使っても同じようにできますけれど、薬指の第3関節より、【小菱形骨点】を使った方が効率的に緩みます。

これは、示指や拇指の付け根が肩と密接に結びついていることを示しているわけで、肩の問題を抱えている人は、示指や拇指を緩めることに利点があることを示しています。

【肩の問題を抱えている人は、示指や拇指を緩めるとよい】。

一昨日のセルフ整体教室でも、むかし中指を傷めた経験のある人の中指をジッと握っていると、肩が緩んできました。つまり難しいことをしないでも、示指や拇指を握ってジッとしていると、それだけで肩が緩んでくる可能性があるということです。

そうした中でも特に【小菱形骨点】はよく効果があがる点だと言っておきましょう。

 

933 基本を守る 16/12/9

Sさんは40歳代男性、茶畑で働いておられ、以前から月に一度くらい健康管理の意味で通って来てくださっています。

そのSさんが珍しい症状を昨日、訴えて来られました。左肘のすぐ下あたりが痛く、これが手首から来ているような感じ。それだけではなく、そのスジが上腕にも伸びており、左腕全体がだる重い感じで、非常に不快である、と言われます。

こういう症状は決して珍しいものではなく、よく見かけるものですが、Sさんとしては珍しい。そこで、尋ねてみました。

── 何か左手をよく使うような作業をされているんですか。と私。

── いやあ、別に通常どおりですけど。

── 通常どおりというと、今は普通の事務仕事が中心ですか。

── まあ、そうですね。

といったやりとりの後、取り掛かります。腕の場合の手順がありますので、それを順にやって行きます。

1) 前腕の親指がわにある橈骨を上げる。

2) 寝床体操の5番、つまり前腕の二本の骨を締める操作をする。

3) 下橈尺関節の引っかかりを改善する。

4) 肘の内側、内側上顆と肘頭のあいだの窪みを押してみる。

5) そこに少し痛みがあるので、外側から愉気をする。

6) 小菱形骨のところを愉気して、肩の前を緩める。

7) 腕全体を引っ張りつつ、左側から前に回転させ、肩の前部の脱出を修正する。

・・・というような操法の手順で、少しはよくなったようですが、決定的ではない。何かが足りないようです。

── 左手で何をされたんですか。

── 別に何も・・・。

── 何もせずに、こんな風になるわけないですよ。

── うーん。

ひょっとして左手の親指が硬いのではないか、と考えて、Sさんの親指を触ってみますと、IP関節(親指の先の方の関節)とMP関節(親指の付け根の関節)の間が、どうも硬い。

そうか。これか。さっそくそこをじっと握って愉気をします。異常に硬いというほどではないものの、通常の状態ではない。これを見落としたのがいけなかった。

腕の問題がある時は、親指をよく調べるのは、「基本のキ」であったはずだ。しばらく愉気を続け、これでどうですか、と尋ねると、

── あ、よくなりました、という答え。

── これは、必ず親指を使っていますよ。

── あーそうか。お茶を刈る機械があってね、その機械を動作させるレバーを親指でじっと押さえていたんです。

── なるほど。それですね。

── それが、かなり強い力で押える必要があるんです。

── 腕が悪い時は、親指を調べるのが基本なんですが、それを抜かしていました。

── いつもやっていることなんで、あれが悪かったとは、思いませんでした。

というやりとりの後、その機械の写真をみせてもらうと、かなり大掛かりな機械です。 Sさんが操作されていたのと同じ機械かどうか、定かではありませんが、例えば、次の写真

http://www.kawasaki-kiko.co.jp/chaen/pdf/KJ2.pdf

機械の運転台の横についているレバーを押し続けると、お茶の木を刈って行くことができるそうで、「茶刈機」というそうです。

ここまで来て、私の反省点は、基本に忠実ということ。私自身も時々操法テキストを読んで勉強しています。「いいことが書いてあるなあ」と自画自賛で感心しながら。

この場合は、「腕を見る時は、まず親指から」──これです。

これを忘れて遠回りをしてしまいました。でも、これはテキストに書いてなかったな。

筋肉が収縮するのに、「等尺性収縮」というのがあり、これは筋肉の長さが変わらず、力だけがかかるタイプの収縮です。

レバーを同じ位置で押し続けるような動作が、これに当たります。スマホをじっと持っているのも同じことで、筋肉の長さが変化する「等張性収縮」に較べて疲労が少ないわけではないようです。

スマホやタブレットをジッと持っていると腕が疲れてきませんか。どこの筋肉を使っているか、感じてみてください。スマホの場合は、親指を使って文字を打つという動作が加わりますから、さらに疲れがひどいかもしれません。

腕がだるい、腕が痛い、というような症状が出た時は、親指に注意です。筋肉が硬くなっている場所を探して、そこに愉気(反対側の手指を当てて)をしてください。

 

924 指輪が怖い 16/10/17

指輪が怖い先日の上級講座の席上、左肩に違和感のある男性Nさんの左腕を操法している時に、はっと気づいたのは、薬指に指輪がしてあることでした。

これまで指輪は、対象外にしていたのですけれど、どうも怪しい感じがする。ブレスレットなどと同じような影響を与えているのではないだろうか。手の中手骨を緩めていた時、どうもこの指輪が気になる、思わず「これや!」と叫んでしまいました。

こういう時の直感は、的確なことが多くあります。Nさんは、この指輪を外しながら、「これを外してもいいのなら、嬉しい」とか、何とか、冗談を言っておられましたが、外してみると、肩の違和感が消えたという。

指輪だけで違和感が消えたのかどうか。そこのところはよく確認してはいなかったのですけれど、肩の違和感と指輪とが関係していることは確か。

次は、先日のお客様。この方も、左肩に違和感がありました。Nさんの場合と同じように左腕を対象に操法をしようとしたのですが、この時、気づいたのは、右と左とで、鎖骨の位置、正確にいえば、喉の下にある二個のグリグリです。つまり胸鎖関節の位置が少し違っています。

右に較べて、左が少し下がっているのに、気づきました。操法をしようとして、今回も気づいたのは、薬指の指輪。しかもこの方の場合は中指にも指輪が嵌っていました。それでまず中指の指輪を外していただきました。

「怪我よけ」で有名な大阪サムハラ神社の指輪だそうです。その次に薬指の指輪を外してもらおうとしても、なかなか食い込んで外れない。やっとの思いで外された時、私が「はっ」と気づいたのは、胸鎖関節が左右で揃っていることでした。

ご本人は、そんなことには気づかないでいられたのですけれど、肩の感覚をお聞きすると、軽くなっています、とのこと。やっぱり、指輪は影響しているんだ、と改めて確認する結果になりました。

指輪がなぜこのような結果を生んでいるのか、その理由は不明です。色々なことが考えられます。指輪の金属と、歯に詰めてあったり被せてある金属とのあいだに微弱電流が流れるからかもしれませんし、薬指を締め付けて、いるために、その共鳴点である腕に何かの障害が発生しているのかもしれません。

いずれにせよ、指輪を外すと、鎖骨の位置が微妙に変化したのを、この目で確かめたのは事実です。

読者の皆さん、指輪を外すと、肩がどんな結果になるか、お知らせくださると、今後の参考になります。どうぞ、よろしく実験結果をお送りください。

908 肩痛のカンタン操法

2016年8月1日

肩を傷めている人が多い。寝ている間に疼くので、眠れない、というような訴えをよく聞きます。そこで。

もちろん、来ていただいて、すべて解決すれば、それに越したことはないが、なかなかそうも行かない場合、慢性化している場合がありますから、そんな時は、自己操法をしていただくことになります。

とはいえ、複雑な操法をお教えしても、覚えていただけないことが多い。そこで、カンタンで効果の高い方法を案出しなければなりません。

考えたのは、肘のカンタン操法の肩バージョンを作ればどうか、ということです。

つまり、こういう方法です。

まず右手で左の肩をつかむ(左利きの人は左右逆)。肩と言っても、肩先よりも、その下(三角筋のあたりでよい)をつかむ。次に、左手で右の肩をつかむ(左利きの人は左右逆)。そのまま数分のあいだ、じっとしている。以上です。

なぜ右手で左肩をつかむ方を先にするのか。それは右利きの人は、右肩が前に来ている人が多く、それを修正するのに、左肩が前に来る方が望ましいからです。

ですから、この操法をしばらく続けると、胸椎上部の捻れがとれてくる可能性もあります。そのためには、テレビでも見ながら、じっと十分でも、する方が効果が高いかもしれません。お試しください。

ただし、坐り方が悪いと、かえって逆効果ですから、横坐り状態などでは、決してしないように願います。正坐か椅子坐がよろしい。脚を組んではいけません。

お断りしておきますが、これですべての肩痛が解決すると、大げさなことを言うつもりはありません。肩痛を解決するためには、いつも申している通り、手の捻れなどを解決する必要があることを申し添えます。

901 肘のカンタン自己操法

第901号 2016年6月8日
▼  肘のカンタン自己操法

肘に問題を抱えている人が多いですねえ。というと、私は何ともない、という反論が返って来そうです。

ところが、肘の先の肘鉄(肘頭)の周辺をぐっと押さえられると、あいた、となる人が多い。自分では痛みがないつもりでも、押さえられると痛い。こういう人は肩や膝にも問題を抱えていることが多いものです。

肘鉄の周辺をあちこち押さえてみてください。どこも痛いところはありませんか。

もし痛ければ、どうして治すか。カンタンな方法があって、抜群によく効きますから試してみてください。

まず、痛みがあった肘頭を反対の掌で包む。次に痛くない方の肘頭も痛みのある側の掌で同様にします。つまり腕組みを、肘と掌でするわけです。

後はこのまま数分の間じっとしている。それだけです。

またまた「数分」とは、どれくらいですか、などと初歩的な質問をする人がいるといけないので、言っておきますが、数分というのは目安で、当然、人により、体の状況により、違います。2分で止めて痛みが取れていなければ、もっと続ければいいだけのことです。

あまりカンタンすぎて、信じられない。そうでしょう。でも、やってみればわかります。

肩が悪い人、膝が悪い人にお勧めです。

ただし、この操法をいくら続けても痛みが取れない人は、症状が深刻化しているわけで、そういう人は、ただちに朱鯨亭に駆け込んでください。

「肘のカンタン自己操法」について、その効果を知らせてくれた方が複数あり、ご紹介しておきます。

●大阪府在住のMさん

先日、腰痛で来られた時に、「友人に教えたら、1分もしないうちに効果があったみたいですよ」と。そして、もう一人の人に勧めたら、肘だけでなく、腰まで治ったようです」とのことでした。

●静岡県在住のOさん

丁度良いタイミングで、妻が肩と膝と腰が痛いと言ってきましたので、早速、肘の操法を試してみましたところ、おっ!肩も膝も腰も良くなった! とお褒めの言葉を頂きました。

というわけで、この操法(具体的には、前号を参照してください)は、膝や腰にも効果があるようです。

肘を治すと膝が治るのは、昔から言い習わされていることで、特に珍しくありません。ですから、膝が痛くて困っている人は、この操法を繰り返し行なって肘周辺の痛みを治しておくと、膝にもよい効果があるに違いありません。

ですが、腰が治るのは、どのような理由からでしょうか。肘を治すと、肩の動きが改善します。ということは、肩から背中にかけての影響も変化するということです。背中の状態が変われば腰が変わるというのは、操法をしている人なら、いつも経験している現象でしょう。

こんなふうに、肘が変わると腰も変わります。人体には、このような連動性があちこちに観察できますから、連動制の体系をとらえることは、操法に取り組む人の大きな課題であると思います。

894 連動という対応関係

第894号 2016年4月29日
▼  連動という対応関係

全身と手とが相応(対応)関係にあることは、このメルマガの読者の皆さんには、基本的なことがらであると思います。例えば足首は小指の第1関節と相応する。要するに手は全身の縮図になっています。

ところで、手の変化と全身の変化とは、どちらが先に起きるのか。たとえば、先日の実例。股関節が痛むという方でした。

股関節の痛みは、『共鳴法教本』 では薬指と小指のそれぞれの中手骨の間の溝の部分に手を当てていればよい、となっています。

ですから、その基本通りにそこに手を当ててみたのですが、何だか掌側の触り心地が落ち着かない。ごつごつして骨が飛び出しているような感触です。

おそらくは、薬指の中手骨が掌側へ転位して(ズレて)いるに違いない。そこでそこをわざとグッと強めに押さえてみると、「あ、そこは痛いですね」 という反応。

そこで、掌を敷物の上に押し付けてもらって、甲側から手でぐっと押え、パッと放すという反動法をやってみると、ズレが解消しました。そこで、股関節はどうか、と尋ねてみると、痛みが取れているようでした。

そうなると、股関節に異常があるから、手の相応箇所に異常が出たのか、それとも手に異常があるから、股関節に異常が出たのか、どちらともいえそうな状況です。

こういう場合は、一方が他方の 【原因】 であると捉えるよりも、手と股関節が 【連動】 していると捉えるほうが事実に近いのではなかろうか、と思いました。

つまり相応関係とは、他方が一方を映し出しているという関係であると捉えるより、互いに連動する関係と捉えるほうがいいのかな、とも考えられます。

そう考えてみれば、からだの各所に連動関係がありますから、各所にさまざまの相応関係が観察できるとしても不思議ではありません。「足つぼ」 なども連動関係なのかもしれませんね。

888 鎖骨になぜ左右差があるのか

第888 2016年4月1日
▼ 鎖骨になぜ左右差があるのか

鎖骨は人体の中で、左右対称になっている典型的な場所として、捉えている人が多いのではないでしょうか。確かに水着姿の女性の鎖骨など美しいと感じる人もいるでしょう。

ところが、よく調べてみると、さほどでもないことが分かります。見かけ上、左右が対称であるように見えても、胸鎖関節を押さえてみると、圧痛を訴える人が多い。

さらに鎖骨の部分をはだけて、よくよくみると、胸鎖関節の位置が左右で違っていることも多い。

【胸鎖関節とは、喉の下にグリグリが二つありますね。それです。胸の中央にある胸骨と、鎖骨のつなぎ目なので、胸鎖関節と呼ばれている】

先日、私自身の胸鎖関節が左右でえらく違って来ていることに気づきました。触って見なくても、関節のところに違和感があります。

同時に、背中の胸椎のどこかが痛む。えらいことになって来たと思って、どうしようどうしようと少し焦りぎみになった。胸椎を通常の方法で整えてみても、痛みが変わりません。

その前日のこと。『共鳴法教本』を使って講義をしていたので、そこに胸鎖関節の直し方が書いてあったのを思い出しました。書いた本人が自分で読んで役に立つこともある。

【『共鳴法教本』についてはHP参照。→http://shugeitei.com/stext.html

鎖骨と対応する場所は普通に考えれば中指の付け根、手のひら側ということになります。確かにそのあたりでも効果が出る場合もありますが、そこより中指の第二関節の横紋のところ(つまり手の平側)、をクルッと撫でると良い。

なぜ、こんな場所が鎖骨と対応しているのか。それは頚椎、胸椎の関係から考えれば、ここの場所が頚椎・胸椎のつなぎ目の裏側にあたるからでしょう。

で、この操法をやってみました。すると、驚いたことに、鎖骨が正常になっただけでなく、背中の痛みも消えてしまった。今に至るまで痛みが出ていません。

共鳴法の操法には強い効果の出るものが色々ありますが、これほどの操法は私の記憶の限りでは初めてです。

以上の経験を総括してみると、鎖骨の左右差は、胸椎の歪みと連結していることが分かる。つまり胸椎のどこかがゆがんで、それに伴って鎖骨の左右差が出てくるわけです。考えてみれば、当然のことですが、当然のことも経験してみないと、なかなか分からないものです。

言い換えると、あなたの左右の胸鎖関節のどちらかに圧痛があれば、あなたの胸椎のどこかが歪んでいるといえる。それが中指の横紋をクルクルっと撫でただけで解決するといえるわけです。

からだほぐし教室で、この操法をやってみた時に、Fさんが、クルクルと撫でた瞬間、頭にピキッと来た、とおっしゃっていました。

これは想像ですが、鎖骨のような横長の骨は互いに連動することがあるらしい。横長の骨とは何か。足の舟状骨、膝の半月板、鎖骨、そして頭の中の蝶形骨です。これらは連動することがあるらしい。

ですから、中指の横紋をクルクルっと撫でる操法で、実は蝶形骨も整ってしまう可能性があるだろうと思います。

昨日、緑内障の方の足首を整えたところ、目が楽になったとおっしゃっていましたが、これは舟状骨が整ったために、蝶形骨が動いた結果かもしれません。

横長の骨が互いにどのように連なっているかは、興味深い研究課題です。と同時に、足を整えることによる効果が、どこまであるか、これも深い研究課題だと思っています。【これについては、いずれまた書きたいですね】

人体の不思議は尽きることがありません。

880 複合症状【3】

第880号 2016年2月1日
▼ 複合症状【3】

【承前】一週間後、Aさんが来られた。「痛くなった」と言われるのではないか、
とこちらはひやひやものですが、開口一番が、こうだった。

──夜中にうずいて眠れないということはなくなりました。

ということは、胸肋関節のズレが解決したということです。

やれやれ。「ホッと胸をなでおろす」というのは、こんな時。ひどい肩の痛みは、肘関節と胸肋関節の二原因による複合症状だったわけです。

こういうことがあるから操法は難しい。ここでも、「なぜ」という質問に答えるのはさらに難しい。なぜ、こんなことになっているのか。二原因のあいだに必然的なつながりがあるのかどうか。これはAさんの生活を詳細に検討してみなければ判明しないでしょう。

でも、なぜ過去の例のように激痛が出ることはなかったのか。おそらく、その人の感受性による違いです。同じ操法であっても、人により時期により、その反応は違います。

一般論として言えば、「正體術」の高橋迪雄が書いているように、比較的柔らかな女性や子どもでは、強い操法を避けなければならない。それに対して頑健な男性や身体の硬い成人では少々強い操法でも大丈夫なことがある。そういうことでしょう。

という次第で、Aさんの場合は強い操法が正解であった、ということになります。しかしこれは事後に言えることで、やはり普通は強い操法を避け、緩やかな操法を採用した方が危険が少ない。

よく整骨院などで、グッと力をかけて押されたので、おかしくなったと言って来る人があります。そういうことは、くれぐれも避けなければなりません。Aさんの場合、いわば結果オーライといえますが、Aさんの身体は頑健なものだったのでしょう。

さて、Aさんの症状はまだすべて解決してはいません。肘と膝が残っています。この先、どうなるか、お知らせするに足る情報が含まれていれば、続きを書いてみたいと思っています。

879 複合症状【2】

第879号 2016年1月31日
▼ 複合症状【2】

【承前】寝た時に、肩がズキズキ痛むというAさん。尾骨の処理で背骨がまっすぐになったのに、肩が一向によくならない。さて、どうしたらよいか。

肩の高さが違う場合に、まず第一に調べるべきは、腕のうしろにある伸筋の上腕三頭筋です。肩の高さが違う人は、高い側の上腕三頭筋が硬くなっています。

これを、操者の好みの方法で柔らかにしてやれば、肩の高さは揃ってくる。だがAさんは、肩の痛みが強いために、上腕三頭筋が痛いかと尋ねられても、何が何だか分からないらしい。大して痛みを感じるほどではない、ということでしょう。

しきりに「この辺りが痛い」と腕の上の方を押えるだけで、何がどうなっているのかよく分かりません。そうすると、次に調べる候補は肘ですね。肘頭の周辺に圧痛があるかどうか。

ところが、肘も肩の痛みとくらべれば、大したことではないらしく、むにゃむにゃで終わりです。こうなると、こちらとしては打つ手がなくなってくる。操者にとっては苦しい局面。指を調べてみても、何ともない。

どこが痛いのかよく分からない人は難しい。何が難しいかといえば、こちらは症状を手がかりにして、次の一手を考えているからです。「むにゃむにゃ」では一手を考えようがないわけです。

こういう時に、こちらの体勢を立て直すには、どうすればいいか。方向転換。これですね。こういう時は。とりあえず「むにゃむにゃ」というところは置いておく。そうして、新しい方向の探求に向うわけです。そのうちに、さきほどの方も道が開けてくるものです。

すみません。このあたりは完全に操法をする人向けの話になっていますね。自分の症状を自分でなんとかしようと考えている方々には、興味のない話かもしれません。でも、自分でやる場合も、操者と受け手が同一人であるというだけで、実は同じことだと私は思っています。時に自分でやる場合でも方向転換が必要なことがある。

方向転換しても、いずれ道が開けてくるのは、全身がつながっているからですね。

で、この場合、どこに方向転換したか。肩が痛いというだけではなくて、胸の上部が痛いと言っておられたので、そこを見てみようと。胸が痛いというのは、肋骨の変位があるからです。それ以外に、肋骨にひびが入っているケースもありますが、Aさんの場合は、そういう軽い痛みとは違っています。ひびはまず考えなくてよい。

そうすると、ありうるのは、胸肋(きょうろく)関節のズレです。胸の中央に縦に存在している胸骨と、肋骨とのつなぎ目。それが胸肋関節です。ですから、一つではなく、肋骨の数だけあります。

痛みの場所から見当をつけて、3番の肋骨と胸骨との関節をぐっと押さえてみた。すると、「痛い!」と強い反応。ここに間違いありません。ということはAさんの肩の痛みの正体は、腕から来ているものと、胸肋関節のズレから来ている部分とが合しているから、分かりにくく、本人にとっては辛い症状になっていると思われます。

そこで、この胸肋関節の調整にかかります。右腕全体を、当該の胸肋関節の延長上に持ってきます。そしてグッと腕を引く。一度やっても、改善したという声がないので、もう一度ひっぱりました。この日は、これで終わりです。書いてみればこれだけのことで、何だ短いというようなものですが、やっている当人にとっては、長丁場です。

こういう複合症状を持っている人の場合、痛みが消えたかどうか尋ねてみても、よく分からない場合がある。そうすると、これでよくなっただろうという想定のもとに、終わりにしなければなりません。

ところが昔の話になりますが、胸肋関節のずれていた人を調整したら、翌日、激痛になったというケースがありました。ひょっとしてAさんの胸が今ごろさらに痛くなっていて、今晩あたり電話がかかってくるのではないかと、気が気ではない。あんな強い調整法を採るべきではなかったかと反省しきり。(続く)