1026 経行の勧め

第1026号  2018年4月9日
▼ 経行の勧め

経行(きんひん)と言っても、ご存知ない方が多いでしょう。禅寺で坐禅をする時に、坐禅の1セッションが終わり、次のセッションまでの合間に、禅堂の中を修行僧たちが抜き足差し足、ゆっくりとねり歩くことです。

そんなことに何の意味があるのかと不審に思われたとしても不思議ではありません。私は最近、坐禅に取り組んでいますが、禅寺でやるだけでなく、大衆禅と呼んで、奈良の西にある生駒山の東斜面にある山荘で、数人の方々と坐禅をやっています。そこでこの経行をやっているというわけです。

これをやると、耳の後ろの乳様突起が、寝ている間に不思議に上がる。(もちろん、こんな話は禅僧の方々には知られていないでしょう)。

乳様突起が上がるのは、側頭骨が前の方に回った(頭蓋骨が開いた、弛んだ)ということを表しています。そのため、頭頂部の膨らみも消える。

頭蓋骨は、決してカチッと固まったものではなく、縫合のところで動いています。季節により、その人の生活により、変動するわけです。

交感神経の優位な状態になると、側頭骨が下がります。逆に副交感神経が優位になれば、側頭骨が上がります。

一般的に自律神経の変動と言われる変化は、このような頭蓋骨の変動としても表れます。だから頭蓋骨を変化させることができれば、自律神経を整えることが可能だということになります。

と言っても、頭蓋骨に力を掛けて、ぐっと押すようなことをすると、たいへんなことになります。でもそういう人がいるらしい。それで具合が悪くなった人が来たことがありました。

そんな危険なことをする必要はありません。初めに書いた「経行」をすると、その日の夜、自分の頭の形を朝起きた時に調べてみると、見事に側頭骨が変っていました。側頭骨が上がって、副交感神経優位になったということです。

自律神経を整える福田・阿保理論では、交感神経優位になっていることが色々な病気につながると言われています。でも手足の爪の横のツボを押し続けるのは、かなりの努力を必要とするわけで、私などは、面倒くさくなって止めてしまいました。効果もすぐには感じられないので、続けるのは、なかなか大変なのではないか。

それより「経行」をやるのは、簡単ですし、やると、ただちに効果が出ます。自律神経失調と言われて悩んでいる人は、これを試してみてはいかがでしょうか。

「隻手」(せきしゅ)という手の形をとって、部屋の回りをそっと歩くだけです。

「隻手」の形は宗派によっても違いがあるようなので、私は、気功の時の掌の重ね方も考慮して、女性は、左手の親指を右手で握って両手を胸の前に当てる。男性は、右手の親指を左手で握って両手を胸の前に当てる。という風にしています。

そうして、1息半歩と言われるように、ゆっくりと前に進みます。この時、自分の足元を見ないように、つまりうつむき加減でやらないようにしてください

自分ひとりだけでやっても効果があります。決して坐禅の後にやるということにこだわる必要はありません。

なぜ自律神経を整える効果があるのか。それはよく分かりませんが、ゆったりと行動することによって、そういう効果が出るのだろうと私は考えています。ウィキペディアの「経行」の項目には次のように書かれています。

── 義浄によれば、経行には、病を取り除き、消化を助ける、健康促進の目的もあったとされる [義浄は、三蔵法師と同じく、インドから仏典を持ち帰り、翻訳した僧侶]

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969 腓骨が下がると

第969号 2017年4月25日

腓骨(ひこつ)という骨は、厄介な骨で、同時に便利な骨でもあります。何が厄介かといえば、下がりやすいのが厄介です。何が便利かといえば、下がっているか、外へ出てきているか、という点が解りやすい、施術者にとってはわかりやすく便利な骨ですね。

しかし、下がっているのが簡単に直せるか、となれば、難しいと言わざるを得ない。よほど柔らかさが保たれている場合を除いて、非常に硬くなっている人が多く、下がっているのを上げるのは、やはり簡単とはいえません。

それと同時に、上下に影響を与える。一つは下。趾(あしゆび)が硬くなっている人が多い。これは腓骨が趾に影響を与えるというより、逆に趾が腓骨に影響しているのでしょう。それと上。腸脛靭帯(ちょうけいじんたい、太ももの外側のベルト状の靭帯)が硬くなっている人が多い。

先日も復習会の席上、靴屋のKさんが言われるのに──趾が硬くなっているのが困る。とくに小指がカチカチですね、皆さん。──そう言われてみると、私の足の小指も確かにカチカチです。なぜか。答えを出しにくい疑問ですが、考えてみれば、腓骨が下がってくることと関係しているのではないだろうか。

腓骨が下がってきて、体重がそとにかかるようになる。すると勢い、小指に負担がかかりますから、カチカチになる。そういうことではないでしょうか。以前に小指の関節が少ない人が増えているという話題を載せましたが、こういうことと関係しているのかもしれません。腓骨が下がるという現象が、人間の退化と関係しているのでしょうか。

そうすると、O脚という現象も、腓骨と関係していることが見えてきますし、その他、坐骨神経痛なども、関連する現象であることが見えてきます。

★前号(足が攣る)へのご感想
(1) 群馬県在住 Aさん
「私は、夜中に足がつるのは、冷えからじゃないかと思います。特に夏場は冷たいものを飲んだり食べたり内蔵が冷えています。そうでなくても、冷房で冷えています。冬と違い湯船で温まることもなくシャワーでさっと済ませてしまう。私も以前はふくらはぎがつりましたが、夏場でも寝る時にレッグウォーマーをつけて寝るようにしたところ、つることはなくなりました。」

(2) ベルギー在住 Kさん
「こむら返り(足が攣る)だけでなく、私の場合は太ももから背中もずっと攣ってしまい、今までに相当苦しみました。・・・確かに寝ている時だと、気温が数日後に落ち込むだろう時とか、日中冷え込んだ時に発作の様に起こります。その痛さは経験していない人にはわかりません。

こむら返りは続いても20分です。その間冷えないようにして毛布にくるまってとにかく立ちます。まっすぐに立って待つのです。誰かがいても、どうできるわけではありません。でもそれであとは楽になりぐっすり眠れます。父はこむら返りで他の筋肉の疲れを全部持って行ってくれるからだと言ってました。

マルセル石鹸が[攣りに効きます] ・・・[足にマルセル石鹸をすり込んでおく]。 なぜ効くのかというのは、シーツの間で温まった石鹸が発生するカリウム=ポタシウムのせいです。それが引き攣りをおさえてくれるのです。これ確かに効きます。

[注]マルセル石鹸というのは、地中海マルセイユで作られていた石鹸で、海藻のカリウムを含んでいるという。日本でも、「マルセル石鹸」の名前で売られているものがある。普通の石鹸は、カリウムではなく、ナトリウム。

というわけで、「足が攣る」人は、色々と苦労が絶えないようです。

940 靴はからだに悪い

第940号 2016年12月27日
▼ 靴はからだに悪い

愛知県刈谷市から来られた 50 代の男性 K さん。前回単独でこられた奥様にひっぱられての来訪。

まず、奥様が来られて効果を感じ、続いてご主人が来られるというのは、よくあること。逆は少ない。こういうところにも、女性の積極性が伺えます。

聞いてみると、右手の親指から前腕にかけてひっかかりを感じ、痛むという。触ってみると、手首のあたりが妙に硬い。

硬いというより、ほとんど動いていない感じです。このごろ流行りの表現を使えば、ほぼほぼ動かない。

まずは定石どおり親指から始めます。親指の MP 関節(付け根の関節)が硬く固まっている。ただ、それだけではなく、IP 関節(指先側の関節)も硬く、そのあいだ・指節間の甲側も固まっています。

これはずいぶんひどいことになっているな、と思いながらとりかかります。

と言っても、硬いところをじっと持っているだけですが。これが最近の私の操法スタイル。ごちゃごちゃと色々やらず、じっと持っているだけの方が簡単だし効果もよい、と感じられます。

そうやって数分たち親指は少し緩んで来たものの、動きがあまりない。これ以上続けても、効果はたかが知れています。方向を変えて、手首にかかるとしよう。

手首の操法の対象は下橈尺関節です。つまり、手首の橈側・尺側にある二つのグリグリ、言ってみれば手のくるぶし二つ。茎状突起と呼ばれる二つのグリグリを両手で軽く押さえて、掌側・甲側に動かしてみる。

柔らかな手首であれば、どちらにも動くものですが、固くなっていると一方には動きません。そこで、動く方向に軽く動かして、持続するというのが普通のスタイル、つまり誇張法です。

ところがKさんの手首はまったくどちらにも動かない。重い症状です。動かないものを無理に動かすのは賢くないので、二つのグリグリを軽く持って、そのまま持続することにしました。こんなことはしたことがありません。しかし、この場合やむをえない。

── ずいぶん硬くなっていますが、どうされたんですか。

── 犬と遊んでいる時に引っ張られて。

── ああ、なるほど。

二つの茎状突起を押さえて、じっとしていると、やがて手首がカクッと内側へ捻れて来ました。何度もそういう現象が続きます。何十秒かに一度カクッ、カクッと動く。これは手首が外へ捻れていたのが内へ戻ってくるわけでしょう。

というと、腕はもともと内へ捻れているんじゃないのか。逆ではないのか、と考える人もいるに違いない。からだの関節は、どちら向きに捻れるのか、という問題は難しい点を含んでいます。

機械的に原則通りで何でも考える人は。よく言われるように、この関節はこちら向き、その関節はあちら向きと、原則どおりでいいのかもしれないが、私は、そういう原則どおりに考えることのできない人間で、一から自分で納得できる考え方をしないと満足できません。

そこで、この点の確認は、今後の課題として残しておきたい。私の脳の中の整理箱には、この種の課題がおもちゃ箱のように雑多に詰まっていまして、その中からいつも何かの課題を引き出して考えています。

K さんの手首に話しを戻します。次にどうするかを考えなければなりません。足首にこれと似た現象を見ることはありますが、普通は、このような動きをみることは手首ではありません。K さんの手首には前腕を捻るような力がどこからか働いているに違いない。

どこにそんな力が働いているのか。考えられるのは、足でしょう。足から捻れが腕にまで昇って来ているとは考えられないだろうか。足首、特に距骨周辺には、全身を支配する何かがある。

── 足首がおかしいのではありませんか。

── はい、右足首は、若い時に捻ったことがありました。ハンドボールをしていて、足首を踏みつけられ、足首が直角に回ってしまったんです。直後には、切断しなくてはならないかもしれない、と言われたこともありました。

── なるほど、そんなことがありましたか。それが手首に影響を与えているような気がします。足から引っ張られて上部がおかしくなっていることは、よくあるんですよ。

足首をみると、そんな酷い事故があったことを伺わせる痕跡は残っていませんでした。普通より少し硬い程度。しかし足指を触ってみると、かなり浮き指です。

── 靴に問題がありそうに思いますが、いつもどんな靴を履いていらっしゃいますか。

── 紐のないタイプ、スポッと履ける靴です。

やはり靴に問題がありそうです。そのことを告げると、K さんも、うすうす靴が問題だと感じていたのでしょう。すぐに靴を変えます。とおっしゃる。

というわけで、手首を対象にやっていたのに、足の問題に変ってしまいました。手と足が繋がっているというのは、私が直感的に感じたことですが、K さんも密かに感じておられたらしい。

K さんの例は、かなり珍しい例ですが、一般論として拡大できるかもしれません。つまり、手首の捻れがある人は、足にも問題があり、靴を再検討する必要がある、と。あるいは、もっと拡大して、【からだのどこかに問題のある人は、足にも問題があり、履物を再検討する必要がある】。

私たちは、手首を傷めると、手の使い方に問題があったと考え、膝を傷めると、足や歩き方に問題があると考えるのに慣れていますが、ひょっとすると、そうではなく、すべて靴に問題があるのかもしれません。

しばらく趾(あしゆび)の一つ一つに愉気をしてみました。すると、手首の動きが出なくなりました。やはり足から何らかの力が働いていたと思われます。

それほど靴の問題は大きい。「靴はからだに悪い」という名言もあります。せめてぐすぐすの靴は止め、紐をしっかり結ぶ努力くらいはしたいものです。

938 靴の履き方と学校

2016年12月20日
靴の履き方と学校

読者のSさん(大阪府在住)から、靴の履き方に問題があることに、学校が一役買っているのではないか、と次のようなお便りをいただきました。

──【靴紐を前の方までいったん緩め、しっかり縛り治すプロセスが必要だ】、

これ、自然にやってました! 前の方が緩いと、フィットしませんから。靴紐をちゃんと締めると、足が軽ーく(自動的にという感じ)前に出てくれて、楽に動けるということはわかりました。

それにしても日本人の靴紐締めがいい加減になるのは、ある程度は学校のせいだと思います。とにかく校舎の中に上履きゾーンと下履きゾーンが混在し、靴を大慌てで脱ぎ履きしなければならない場面が多い。

そのため靴を中途半端な(すぐ脱げるような)状態にしておいて、そのまま走ったり、階段登ったりすることが常態化しているんですね。学校の先生もしています。かかとを踏んだり、クロックス等のつっかけを履いたり。

私は仕事柄、大学に取材に行くことが多いのですが、土足禁止の研究室に行くことがわかっている時は、脱ぎ履きが面倒な靴は履いていけないなと考えます。。。他の人を待たせることになってしまうからです。しかし研究室の上り口に脱ぎ散らかしてある靴たちの有様を見ると、持ち主の歪み/捻れ具合が推し量れてしまい「あーあ」と思います。──

なるほど。これが実情だとすると、ますます意識して靴紐に接しなければなりませんね。Sさん、ご意見ありがとうございました。

937 靴紐についての注記

第937号 2016年12月19日
靴紐についての注記

935号で、靴紐の結び方について書きましたが、その時、これでは何かが足りないな、という思いが付きまとい、発信を躊躇した瞬間もあったのですが、それに関して靴屋のKさんから昨日の復習会の時に口頭で的確なコメントをいただきました。

YouTube にある靴の結びかたは、紐がほどけない結び方ということであって、あれで十分な靴紐の扱いとはいえない。靴紐がほどけなくても、紐の前の方がユルユルであっては、足が靴の中でぐらぐら動くので、何にもならない。

まず、【靴紐を前の方までいったん緩め、しっかり縛り治すプロセスが必要だ】、ということです。

では、どのように紐を結べばいいのか、ですが、YouTube に最善といえる動画がなく、興味のある方は、色々見てご自分で考えていただくことだと思います。

ただ、その中で、これは比較的まともなものをKさんのご意見もお聞きして、ご紹介したいと思います。→https://www.youtube.com/watch?v=Wb44ZKl08so

この動画はランニング・シューズの話になっていますが、他の靴でも同様に考えたらいいでしょう。

930 脚長が揃う 16/11/18

脚長(脚の長さ)が違うと色々不都合が出て来るかもしれません。ちょっと考えてみただけでも、歩きにくい。まっすぐに絶ちにくいといったことがありそうです。股関節の不都合もあるかもしれません。

脚長をどこからどこまでと考えるか、考え方によって違いがあるでしょうが、とりあえず、大転子のところから始まると考えれば解りやすいと思います。

大転子というのは、股関節の外側、大腿骨の角といえばいいか、骨盤に大腿骨が差し込んである場所といえばいいのか。要するに、股関節の横あたりにぐりぐりの骨の突起が感じられます。と言っても、腸骨(こしぼね)のことではないので、お間違えのないように。

もっと、ずっと下、股関節の横です。。この位置は、手との相応関係でいえば、どこになるのかというと、小指の中手骨骨頭の側面です。わかりやすく言うと、手の小指の手前にある長い骨の付け根の側面。これが大転子に相応します。

この点に軽い刺激を入れると、大転子が変化し、脚長も変化するということです。

さて、それでは始めましょう。

初めに左右の内果(うちくるぶし)の位置で、脚の長さを較べてみます。仮に右が長く、左が短いと仮定しましょう。もちろん逆の人もいます。

こういう場合、小指の中手骨の骨頭側面を、右は手前方向、左は足先方向に撫でて、しばらく、そのまま受け手に寝ておいてもらいます。

すると、受け手の内部感覚で右脚が伸びる感覚があって、数分してから見てみますと、両足の長さが揃っています。そんなばかなことがあるはずがない、と思う人は、実際にご自分の脚で試してご覧になればよいでしょう。

今まで色々な人で試してみましたが、全然動かなかったのは、ご老体のみで、大抵の人は、脚長が揃って、立ち上がった時に、「違いますね」「あっ長くなった」などとおっしゃいます。

もっとも何にでも例外はあるもので、股関節に人工関節が入っている人の場合は、左右の脚長が違う状態でバランスをとっているらしく、脚長が揃うと却ってあるきにくくなった人もいると試してみた人から聞きました。でも、これも慣れの問題かもしれません。

教室で、この実習をしている時に、片方をどんどん伸ばしたら、どうなるかしら、などと奇抜なことを考えていた人もあるようですが、心配しなくても、そういう摩訶不思議なことは起こりません。

多分、関節のアソビの部分で縮んでいたところが伸びるのでしょう。決して必要以上に伸びるような奇妙なことはありませんので、ご心配なく。

また操法を間違えた時とか、逆にしてみたいという時は、操法を逆にすればいいだけのことですから、言ってみれば、脚長を自由に揃えることができるわけです。

脚長が大きく違う人の場合は、うまく行かないでしょうが、少しばかりの足底板で調節するような厄介なことをしなくてもよくなれば、脚の不自由で困っている人にとっては朗報になるかな。色々お試しください。

不都合や、すばらしい成果などありましたら、お知らせくださると、さいわい。

 

893 かかと呼吸

第893号 2016年4月22日
▼  かかと呼吸

中国の古典中の古典 『莊子』(そうじ) の中に次のようなくだりがあります。

「真人の息は踵を以ってし、衆人の息は喉を以ってす。」
(福永光司・他訳、ちくま学芸文庫「内編」・大宗師編第六)

現代語訳の部分には、どう書いてあるか。「真人の呼吸は踵の底でするが、普通の人の呼吸は喉でする」 とあります。「踵の底でする」 とは、どうするのか、もちろん、そんなところから呼吸ができるわけはありません。「真人」 とは何か。これも現代語訳を読んでみると、「天の営みを知り、天とともに自然に生きる人」 というくらいの意味らしいと思われます。

そこで、どうするのか、やってみました。踵の底で呼吸をする気持ちで息をする、ということでいいのではないか。つまりある種の気功法を表しているのではないか、と考えたわけです。

歩きながら、やってみました。ゆっくり歩きながら二歩進む時に息を吸います。次に四歩進む時に息を吐きます。この時、踵の底から息を吐くつもりで吐く。これをしばらくやっていると、足がぽかぽかと暖かくなります。足の気のめぐりがよくなったのでしょう。冷え性の人は、試してみる価値があると思います。

なぜ二歩と四歩なのか。まず奇数にすると、左右が混乱して歩きにくい、という理由があります。そして、二歩と四歩は、吸う息は短く、吐く息は長くという原則に合っています。

なお、念のために付け加えておきたいこと。歩き初めの一歩は、自分の重心側と反対側でやるのが望ましい。歩いている時には、自然に重心側に意識が行っているもので、例えば私は左側に重心があって、左に左にと行きやすい。そこで、意識的に左右を逆にするのは難しくありません。

すると、吸う息の二歩の最初の一歩は重心とは反対側を出していることになりますし、吐く息の四歩も最初の一歩は重心と反対側を出しています。

このようにして歩くと、自然に無意識の世界を書き改めることができるように感じられます。どちらの足から先に出すか、というのは無意識の世界でどちらかに偏っているもので、そういう無意識はなかなか変更しにくいと考えられていますが、そうでもありません。かかと呼吸をしながら歩くと、自然に無意識が変更される。

そして、ここが重要なところですが、かかと呼吸を続けながら、私の場合ですと、朱鯨亭まで30分あまりを歩いて行くと、自然にからだ全体がぽかぽかとしてきます。気功法をしていることにもなる。一石二鳥にも一石三鳥にもなる。

手が冷たくて悩んでいる人は、かかとでなく、手先呼吸をしてください。手がぽかぽかと暖かになってくるでしょう。

これであなたも 「真人」 になれるかもしれません。そういえば、私の玄祖父(おじいさんのおじいさん)は、「真人」 という名前だったらしい。「まこと」 でも 「まさと」 でもなく 「しんじん」 だったそうですから、名付け親は 『莊子』 を読んでいたのでしょう。ちなみに 『莊子』 を書いた人は、「そうじ」 ではなく、「そうし」 という名前でした。