983 末端に注目(2)

第983号 2017年7月29日
▼ 末端に注目(2)

「末端に注目」の第2回です。症状のある場所そのものをいくら触ってみても、うまく行かない時、その末端にあたるところに注目すればうまく行くことがある、という原則です。

ご承知の通り、私は夏休みでいま操法を休んでおりますので、記憶を頼りに書きます。細部は少し実際と違っているかもしれません。中年の女性を仮にAさんとしておきます。

Aさんは、肩に痛みがあると、来られた方です。肩こりをとおり越して、肩が痛いという方も実に多いですね。ひどくなると、腕が動かないということになります。

肩に何か問題があるのかと尋ねてみると、レントゲンを撮ってもらったが、骨はなんともないそうです、といった答えが返ってきます。肩を打って骨折をしているなら、夜間もシクシク痛むという理由が分かりますが、そうではありません。

そうなると、肩にシクシク痛む箇所があるのは確かですが、なぜ痛みが出るのか、その原因が分からないわけです。

こんな時、私は「末端に注目」します。肩から見て末端とはどこか。いうまでもないと思いますが、手指が末端です。時に途中の肘や手首に原因が潜んでいることがないとは言いませんが、大抵は手指に問題があります。

Aさんに尋ねてみました。

── お若い頃、中学生、高校生の時代に指を傷めたことはありませんか?
── あります。あります。突き指を何度もしていました。
── そうですか。バレーボール、バスケット?
── ソフトボールです。
── なるほど。それで分かりました。

といいながら、Aさんの手指を見ると、第2関節がどれもこれも節くれだっています。突き指はどういうわけか第2関節に多いものです。

手指を曲げてみると、第2関節がもっともよく曲がるはずです。第1関節・第3関節はさほどではない。ということは、ここがダメージを受けやすいということになりますね。

ですから、突き指を調べる時は第2関節を調べるといい、と思います。第2関節を握ってみて、かなり硬く節くれだっている感じを受けたら、まず突き指と考えて間違っていません。

いまは、そこに異常を感じていないかもしれません。しかし、そこに突き指の痕跡が残っていることが多い。体の他の部分ですと、打撲痕が問題になりますが、指の関節は曲がる構造ですから、突き指の痕跡を残していることが多いわけです。

実際に硬くなっている関節を解剖してみたわけではないので、推測ですが、第2関節の周辺の組織にカルシウムなどが沈着して硬くなっているのだろうと思います。指節間の靭帯などが硬化して、関節と関節のあいだに圧痛を感じる場合もあります。

さて突き指の直し方ですが、誇張法が最適です。突き指になったら、すぐひっぱれ、などと言われますが、そんなことをしたら、よくなるものも、逆に悪くしてしまいます。人間の体は、外力に抵抗する習性があって、引っ張ると、縮もうとする。押し縮めようとすると、逆に伸びようとするわけです。

ですから、突き指があれば、(仮に数十年前の故障であっても)その関節を軽く押し縮める方向でじっと押さえて(といっても愉気の感覚でよろしい、強く押すと失敗します)いればよい。すると、関節がもとに戻ろうとします。

比較的新しい突き指であれば、そのようにじっとしていると、骨が勝手に動いたと感じる瞬間がやってきます。(それは操者も受け手も同じように感じます)それでOKです。それ以上、押える必要はありません。古い突き指では、そう行かない時もあります。直ったと感じる瞬間がない時もあります。

Aさんの場合は古すぎて、いずれも動く感じがありませんでした。そこで、このくらいの感じかな、とカンで終わったのですが、第2関節を動かしてもらうと、何れも動きが改善していました。

すると、肩の痛みがずいぶん軽くなったようです。かなり自由に腕を動かせるように変化していました。

というわけで、肩の問題が突き指を直すことで解決したわけです。突き指かどうかを判断するカンタンな方法があるのか。と尋ねられると、当該の関節を突く方向に動かしてみることです。突く方向と、ひっぱる方向に軽く動かしてみて、突く方向が行きやすければ、突き指の可能性が高いことになります。

そんな面倒なことを一つ一つやってられないと感じるならば、ともかく第2関節を拇指と示指とで挟んでみて、硬い節くれだった、盛り上がった感じがするかどうか調べてみてください。そうすると、ほぼ突き指かどうか判別できることでしょう。

足の指についても同様な方法が使えることがあります。

前回は膝の痛みの原因が踵にあった、という話でしたが、今回は肩の痛みの原因が手指にあった、という話で、いずれにせよ、「末端に注目」という原則がそこに潜んでいました。

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